黒歴史が重いのはやや邪道
「えー!まじすか!まーじすかぁ!いや?え!」
魔力?あの異世界転生系でしか見ない魔力?あの二次元でしか見ない魔力?憧れであった魔力?それを、現実で今僕が使うって、マジで本気で?嘘とかじゃない?
「そうマジだ。」
「嘘ではない?」
興奮のあまり、声裏返っちゃったしイントネーションもおかしくなっってしまった。いかんいかん。
「まあ、おちつきなさい。もちろん嘘はついてないぞ。ほら、これを見たまえ。」
花はそういうと右手の人さし指をおもむろに真上にたてた。何をするのか分からないけど、めっちゃワクワクする!
「まずは、その魔力について説明しよう。魔力というのは万物が持っているものだ。鳳も俺も持っている。こんな風に。」
そういうと、花の人さし指の先に青紫色の淡い光がふくらんだ。これが、魔力か。アニメを見すぎて中二病がかなり進行してきた僕にとっての、アコガレ☆なんか、泣けてきたなぁ。
「最高ここに極まれり状態なんですけど。もう、ありがとうござます。」
日本語がとても拙かったけどまあいいや。一旦、一旦ね、落ち着こう。そして、花先生の話を聞こう。よし!
「喜びの波は収まったか?」
僕は一度深呼吸をして、心を落ち着かせた。
「はい。大丈夫ですよ!」
「では話を戻す。この魔力は普通の人間では見ることも感じることもできない。それは、数分前の鳳が物語っているであろう。」
「なるほど?」
でもそれだと、僕も見ることができなくないか?魔力を。
「予想通りの顔をしてくれて何よりだよ。」
「へ?」
「なんで魔力が自分に見えるのか、疑問に思っただろう?」
「げっ、そうです。」
なんで見透かされてんだよ。怖すぎ!
「では、なんで、魔力が見えるようになったのか。それは、お前が死んでいるからだ。」
また、お前はもう死んでいるだよ。はい、いみわからんのやめろ。もう難しいじゃん。というより、知らんって
僕がぽかんとしているのを横目に花は説明を続けた。
「まず、この世界は原子でできているというのは常識であろう?しかし、魔力というのは原子とは相反する物質であると思っている。私の見解だがな。そして、私の見解だが、魂とはその生物を定義するもので、これも死後に感じることができるようになる。というのも、死ななければこの世界の原子やエネルギーと言った不純物が邪魔しているせいで魂はおろか、魔力すらも知覚できない。だから、花は死んだから魔力と魂を知覚できるようになったということだ。」
「えーっと、なんかなんとなくわかった。」
まあ、問題はそこじゃないんだよなぁ。
「どうやったら魔力を使って魔法を使える?」
これさえできれば本望。死んだってかまわない。だから教えてほしいなって感じだね!
「早とちりだな。そうだな、」
花は横に手を広げた
「こんなこともできる。」
ボンッと音とともに青紫の閃光が一瞬、鳳の手と手の間を通った。
それがあまりにも美しく、幻想的で、魅力的なもので開いた口が塞がらない。
「今のは魔力を圧縮させて発した魔力弾という魔法だ。もっとも、これを魔法というのか俺にはわからないがな。」
「僕も打てる?」
考えるよりも先に発言していた。と言っても過言でもないほどすかさずそのフレーズが出ていた。
「もちろん。」
僕は何かしたいと思ったらすぐ試したい性だ。しかも、魔力に魔法!わくわくが止められないと言ったらありゃしない。ガハハ。
「どうしたらできる?」
「それが人に頼みをする態度かね?」
「ふぁ?」
うざいと思うけど・・・ここはね、冷静にへりくだっていこう!クソが。
「お、おねが、い、します。」
「よかろう。まずはだな、魔力を操るイメージが大切だ。それからその魔力が圧縮して放出する感じ。それだけだ。」
いや、まず魔力を認識するのが難しいんだけど・・・まあ瞑想する感じでやるっきゃないか!よくやったわ。魔力を求めて、座禅組んで瞑想。恥ずかしいわ、こんな黒歴史。
「魔力を右手に集まり、圧縮する。そして剣みたいに固く強く伸びろ!」
目を開けて右手を見た、・・・が、特に何もなくただ圧縮した魔力だけが残っていた。つまりこれって・・・不発?失敗?
「ハハハハハ!みっともないったらありゃしない。」
花は腹を抱えて笑い、椅子から転げ落ちて横になった。ゲラゲラと汚い笑い方で、指をさしながら笑っている。そんな、おもろかったのか!てか、笑ってるときの顔がめちゃめちゃにウザいのがむかつく!
「笑ってんじゃねえ。しばくぞ!」
僕が顔を赤めて怒ると、花は起き上がり再び座った。
「すまないすまない。つい、面白くてね。」
まだ、花の体がプルプル震えていた。いい加減にしろって。まったく。
「はぁ。よし。では、なんで、魔力を思い通りに動かせなかったか分かるかい?」
「いや、イメージ不足…とか?」
とはいっても、昔の瞑想修業を通った僕が、毎授業魔法の妄想している僕がだ。イメージ不足はありえないと思う。
「それもあるけど、大きな違いは一つ!」
人差し指を立てると右上から左下にかけて斜めに空間をなぞるように降った。
「ステータスの問題さ。」




