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梅雨の訪れはどこかワクワクする~第一ラウンド~

ピピッ

雨の音と駅のホーム音。そして、顔はうつむいて、目はまっすぐ。ちょっとだけ笑みをこぼす。

闇深狂人高校生プレイができる・・・いや、普通に不審者か。やっぱ普通に歩こう。

それにしても、この時間帯は結構閑散としているな。

朝はラッシュでヤバいっていうのに。

朝と夕方の込み具合をチェンジしてほしいものだわ。ガハハ!

てか、雨ヤバいな。今朝までは晴れていたのに。これ傘忘れたやつ終わっただろ。

ちなみに僕は折りたたみ傘を常備持っているからいいんですけどね。

そう思いながら折り畳み傘を差す。

なんか、今日の日中、あの魔獣姿を現さなかったなぁ。

学校のときいつでも殺れるときあったよなぁ。扶郎と今日遊ぶから早く来てほしいところなんだが。

なんか、花が腕を吹き飛ばしたって言っていたけど、腕をくっつけるのって魔力操作とかで簡単にいけないんかな。

もしかして、治っているけど潜伏しているとか。または、今、僕の隙を待っているか・・・

怖いねえ。

今駅のホームを出たところだが、晴天時で駅から家は全力ダッシュで二十分。だけど、今は雨が降っているから早くて三十分か。

まあまあ暇だな。

隙、見せてやろうかな・・・

「スキル解除:魔力感知」

・・・・・・。

何も起きないし、襲ってこない。やっぱ、潜伏か回復中かだな。

それとも、隙をわざと作ったことを見透かして何もしてこないとか。ふう!めちゃこぉわ。

とりあえず、寄り道しないで、直で帰るとするか。

「てか、ここいつまで工事してんだよ。」

駅から少ししたところにある、大きな工事現場。僕が高校生になって、およそ一年半。

もうずーっと工事してるんだが。

昔はまあまあ大きいショッピングモールだったけど、なにができるんだろう。

「興味がある・・・それだけだ。」

僕は小声でそういいながら、中二病プレイの一環として、真上を見上げる。

「あっ?」

すると、僕の真上に小さな豆粒が見えた。

あれは・・・遠くて良く見えないな。

こういうときはねこれに限るっしょ。僕は小さくボソッとつぶやく。

「魔眼、発動。」

そして、右目に魔力で作ったレンズを手動で調節する。

どれどれ、なにが浮いてんのかなー?

えーっと、うーんと・・・魔力か?それに、大きな角を生やした人影もある。

そして、僕の真上にいるときた。ってことはだ・・・

―――ヴェノム・バレット

かすれた声で体を貫通するような低音。なのに、その言葉は上空で雨の声をかき消すように響く。

「フラグ回収はっや。」

苦笑しながら、あの突如現れた魔獣に魔力弾を発射する姿勢をとる。

すると、瞬時に大きな魔法陣の様なものが展開される。

それは地上からでも大きいと感じるほどの巨大なものであった。

刹那、一筋の凶弾が降るのを確認。

「あっぶ!」

発射動作をやめ、素早く前によけながら即座に魔力でその弾の軌道をそらす。

バッコン

その弾は威力を落とすことなく、僕の髪の毛を焦がし、地面に突き刺さる。

これに当たったら確実に死ぬ・・・威力でつぶされると、直感する。

僕が驚異的な反射神経(自称)を持っていてよかった。

「これは・・・」

思わずにやけるほどの恐怖。

巷では恐れで足が動かないと良く言う。

しかし、本当に命の危険が来たとき、人は本能的に足が動くと、僕は初めて知る。

次々と雨と混じって降り注ぐ凶弾を見極めながら、魔力をブチ当てて緊急回避をする。

そのたびに地面にちょっとしたクレーターができる。

『襲撃にあったぁー!今駅前にいる!助けてぇえ!』

僕は折りたたみ傘を折りたたんで走り、魔力を操作しながら、花に救援を要請する。

『まじか。もう回復したんか。とりあえず、二塚公園のところまで来てくれ。そこまで頑張っていく。』

『ふぁ!ざっけんなぁぁ』

『すまーん。』

二塚公園までは全力ダッシュで十分。結構遠いって!

そうグチグチ言っていても、弾は降ってくる。避けるので精いっぱいだ。

「クソ。」

こうなったら本気を出すしかねえ。

僕は雨を気にせず、魔力を足に集中する。

そして、足をばねのようにして走り始める。

その間にも降ってくる弾を魔力でそらしながら回避する。

十六歳、本気の走り。周りの目を気にしていたら埒が明かない。

とにかく公園まで行けばいい話!

―――ポイズン・フォグ

かすれた声がまた響く。それと同時に、膨大な魔力を感知する。

弾をよけながら、一瞬上空を見上げる。

「なんだそりゃ?」

思わず声が出てしまった。

さっきのなんちゃらバレットとは比にならないほどの大きさの魔法陣が新たに作られる。

そこから昨夜のような、黄緑色の濃霧が町全体を覆うように広がっていった。

僕はすかさず花に新たな攻撃を知らせる。

『毒霧の広範囲攻撃を確認した。どうする?』

僕と花は魔力を意識下で操作できる。

だから体の主要部位に毒が回らないようにできていた。

だけど、普通の人はそんな芸当できっこない。

下手すれば死ぬぞ。

『鳳は全力で公園まで来て。俺は遠距離で魔力弾を打ち続ける。』

『さすが!』

とはいっても、この毒霧が地上に降りてくる時間と公園までにつく時間。

絶対に間に合わないだろ。

僕がこの弾を気にせずに行ったとしても、一番霧から近い駅周辺の人たちはみんな死ぬであろう。

いや、そこまでいかなくても、犠牲者が一人も出ないなんてことはないと思う。

そうなると、今までの日常が壊れる・・・そんな気がする。

「どうすりゃ・・・」

―――限界を超える方法って知ってる?

思考の流れが、突如として断ち切られた。

雷光のような衝撃とともにに、意識が現実から離れる感覚を味わう。

前、花と出会った時と同じだ。

だけど、今回は少し違う。顔が曇っていて誰かが分からないが人影があった。

そして、僕の姿もそこにはある。

仲良く、何かを話しているみたいだ。

でも、そんな風景は、僕の記憶には存在しない。

―――どういう意図だよそれ。

僕が相手に、にやつきながら、受けごたえしている。

―――ほんとそう。何の話よそれ。

隣にいるのは・・・栄花?なんでだ?

―――高校受験の話だよ。

―――あーね。

どうやら、今の会話は中学三年生のときのものみたいだ。

―――高校受験で難しい問題とかにぶつかったときに、いつもこう思ってるんだよ。

―――どう思ってるの?

だんだん鮮明になってきた。ここは、中学時代の教室か。

―――それは・・・信念を原動力に、心の痛みは自分を突き動かすってね。

あれ?それ花も言っていたような・・・

―――なにそれ。誰からの受け入りよ。

マジか。栄花が可愛く笑ってる!ツンデレになっていない!懐かしいー。

―――いやー、これが残念ながら自分で開発しちゃったんだよな。

―――中二病か。

僕が「中二病か」って突っ込んでいるけど、あなたもですよ。

―――いや鳳花もでしょ。

あ、やっぱ栄花も同じこと思ってた。

―――いーや違いますぅ―。

―――いや、違わないでしょ!

―――なんだこのガキは。

―――反論してる鳳花の方がガキなんですけどぉー。

なんか、バチバチしてますわ。

―――ちょっと、喧嘩するなら外といってちょうだい。

―――誰がこんなやつと喧嘩するか!

―――ほんとそう!

ほほえましいねえ。というか、こんな記憶知らないんですけど。

―――あっそうですか。

―――というか、早くその意味教えろって。

ナイス催促。僕もずっと気になってるんだが。

―――まずね、信念を原動力にっていうのは、自分の思いが強ければ強いほど、より早く成長していく。痛みが自分を突き動かすっていうのは、生きていく中で、悔しいとか怒りとかそういう負の感情が燃料として、爆発的に成長するってことよ。

ヤレヤレと言わんばかりに、肩をすくめながら説明する。なんか、うざいな。

―――なる・・・ほど?

―――鳳花と同じ気持ちです。

無論、僕も同じ気持ちなんだが。

―――つまり、くじけんなってこと!

―――ざっくりしすぎやろ。

もうちょっと、いい感じにまとめてくれよ。まあいいけど。

―――とりあえず、同じ高校を目指す同士、張り切っていこうっていう、内省みたいなもんでした。

え?同じ高校を目指す?

―――なんやこいつ。

―――ばかじゃないの?

―――そこまで言うなって。じゃあ、今日も俺んち集合でいいか?

え?今日もって、そんな頻繁に・・・

―――りょーかい

―――はーい。

―――じゃあ、解散。


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