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ほっこりしていきましょうby香依and扶郎

「じゃあね。」

「ほなね。」

僕と栄花が廊下で別れを告げ、栄花が教室に入るのを見届けた。

そして、僕も開いているドアを視界にいれ、入ろうとした。

その瞬間、魔力感知に教室から扉にむかって全速力で走ってくる人間がひっかかった。

瞬時に脳をフル回転させる。

迫ってくる人とその人の体勢を考慮し、どうすることによって自分に利益が出るのか。

出た結論は“そのまま気にせずに入る”だった。

―――ゴツンッ

鈍い音が響く。

思った通り、教室に入ろうとした僕の頭と教室から全速力で出てきた“女子”の頭がぶつかった。

そして、やわらかくて生温かく、まるで桃源郷のような「ナニか」が”ポヨン”と僕の胸に当たった。

「いったあぁぁぁあああー」

黄色い悲鳴がけたたましく教室に響く。

「イテ!」

魔力で防御していたから別に痛くないけど、普通を装うためとりあえず痛そうな素振りをみせた。

誤算としては、思ったより周りの視線がきついこと。

それに口と口が触れなかったこと。これが一番惜っしい。

しくったな。

「大丈夫ですか?」

「あー、すみません、すみません。私は大丈夫です。」

「ならよかったです。」

僕は今までの中二病プレイ・言動を感じさせず、アレが当たったことを気にしていないような爽やかで優しいイケメンを全面に出した。

そして、倒れて頭をさすさすしている空嵩香依に手を伸ばす。

「あ、ありがとうございます。えーっと風凪君・・・も頭大丈夫?」

差し出された僕の手を取りながら、起き上がる空嵩さん。

物理的には大丈夫だけど、心情はお花畑でだいじょばないよね。

あと、名前を言った後に「合ってる?」って顔するのやめろ。僕の名前一瞬忘れてた感じだすな。

「うん、当たり所が良かったから大丈夫だよ。」

「すみません、私ちょっと用があるので、先行きます。」

それでも、僕はイケメンを見せる。

そして、空嵩さんは、颯爽と廊下を駆け抜けていった。

心は若干えぐられたけど、得られたものが大きかった。

うん、いろいろ大きかった・・・

「ふう、朝からラッキースケベか・・・」

「朝からなに言ってんだお前。」

「お、よ!おっはぁ。」

「はい、おはー。」

僕が胸に残留した感触をかみしめていると、横から扶郎が来た。

バッグを持っていないところを見ると、僕よりも先に登校していたのか。早いな。

「てか、お前さっきやったなあ。」

「いやー、最高やった。」

「せこいぞぉー。」

そういって、僕の胸をツンツンしてきた。見られてたか。

まあ、一〇〇:〇で向こうが悪くて僕は被害者だから悪気はないけどね。

罪悪感はあるけど・・・それよりも幸福感があるからいいんだよね。ガハハ!

そして、僕は扶郎と談笑しながら、荷物をロッカーに入れて、席に着いた。

「てか、今日お前クマヤバイな。夜更かししたか?」

前の席に座りながら、扶郎が僕の顔を覗き込んできだ。

なんか、それしか言われてない気がしなくもない。

「それ、朝も言われたわ。普通に夜更かしだけどね。」

「そりゃそうだよな。ってか、誰と一緒に行ったの?」

「ん?栄花だけど・・・」

「はい?」

なぜか、僕が栄花のことを言ったら、不思議がられたんだが・・・

あれ?僕、まだあいつとの関係言ってなかったっけ?

「なんで、露崎さんと一緒なんだよ。」

扶郎がすごい剣幕で訝しんできている・・・目つきが獲物をとられた野良猫のそれなんよ。

「僕と栄花が幼馴染って言ってなかったっけ?」

僕がそういうと、扶郎が勢いよく立ち上がって、無言で僕の隣にきて肩に腕を回してくるのだが。

怖すぎやろがい。

「な、なんだよ。」

「いやー、俺は悲しいよ。友の恋愛をただ傍観している人になってしまうだなんて。私、そんな子にあなたを育てた覚えはありませんっ!」

「僕も。」

この。おねだりの感じは、はてや手伝えという言い回し・・・というか脅迫か。

だがな、僕はもうすでに、手を回しているのだよ扶郎君。

「ま、ま、ま。無理にとは言わんからさ。なんか引き合わせるきっかけづくりをしてほしいというのが、いいと私は思うのですよ。」

まるで髪をあがめるかの如く僕に手を合わせてきた。

こいつにプライドとかはないんかとかは思うけど、とりあえず報告はしておくか。

「そう来ると思って、僕は先に手を回しておいたさ。ちゃんと、栄花に紹介しておいたよ。」

「え、ガチ!てか、スゴ!俺のことどんな感じに思ってる?」

とんでもないドMであると紹介しているが、事実だから仕方がないとして、まあイイ感じ(主観)には紹介しておいたから、いいか。

「ウン、イイヤツダッテ、イッテオイタヨ。」

「うーん、怪しい。」

やべっ。ちょっと、カタコトプレイが強く出ちゃった。

「安心しろって。」

僕はそう言いながら、引き出しに入っている軽食用にグミを一つ扶郎に与えた。

目を輝かせながら、それを犬のようにもらって、食べる扶郎。

「信じるよ。」

まあ、安上がりということで。これで信用をかっさらっていく。需要と供給?等価交換の法則?まあなんでもいいや。とりあえず信用問題解決っと。ガハハ!

「てか、鳳花って女子力あるな。」

「え、そう?」

「だって、普通グミをそこにいつも入れておくか?」

「腹減るじゃん。」

あと、脳が疲れたときに当分摂取してリフレッシュできるし。

女子力というか、発想の転換?的なやつやで。

「てか、お前んち行っていい?」

「なんで?」

いや本当に。唐突に「消しゴム借りるね」の感じで「家行っていい?」は言わんやろ。

そもそも、われは家に行って遊んだことないでしょ。

あと、僕は年がら年中暇だからいいんだけど、扶郎は部活とかいいんか?

「別にいいけど、そっちは予定あるの?」

「ないから言ってる。」

そりゃそうか。なら別にいいか。

・・・じゃなくて、魔獣!ワンチャン襲撃あるかもしれんやん。無理すぎるって。

まあでも遊びたいしな。久々に友達と。ひとまず確認とるか。

『エイヨー、今日扶郎と家で遊んでええか?』

『びっくりした。いいんじゃね。』

『サンキュ。』

よし、保護者からのゴーサインも出たことだし、遊ぶとするか。

「僕の家、スマホで教えるね。」

「じゃあ、俺んち学校から近いから、帰ったらすぐ行くね。」

「ういー。」

僕が返事をすると、扶郎は颯爽と自分の席へと戻っていった。

ふと時間を確認すると、すでに八時半を指していた。

もうホームルームの時間か。早いなpart2。


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