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ほっこりしていきましょうby栄花

「ふわあーあ。」

大きなあくびを出しながら、眠気をとろうとしたけど、無理や。

辺りはすでに朝日に照らされ、黄金色に染まっている。

結局あの後、一時間ぐらい経って部屋から毒の魔力がなくなったから、やっと部屋に入れた。

だけど、花は全く動けないでベッドに寝ているし、僕も肉体を寝ずに生かさないといけないし、頬の回復は集中してやらんといけないし大変だったわ。

しかも、ワンチャン猫ちゃん、またあの魔獣が襲ってくるかもしれないから気を付けながら生活しろって感じだし、花も魔力感知を最大まで使ってあの魔獣について研究しているし、今日も大変というね。

この一週間・・・僕たちのことを殺す気か!おい、神!

やつれていると、目の前には、見覚えのあるロング髪に、僕よりも頭二つ小さい身長。

僕は、やや走りながら、その人のところに行く。

「おっはよー。」

「あ、おはよう。てか、クマやば。」

「あー、寝不足。しゃーなし。」

「あっそ。」

「なんで、寝不足なのか聞いてくれてもいいんだぞ。」

そっけない態度に心をえぐられながら、栄花の隣を歩く。

幼馴染ということもあって、たまにこうやって朝から一緒に登校している。

いやー、これが、かわいいお姉さんか、不思議っ子だったらよかったのに。

いや別に、栄花がブスってわけではなくて。かわいいっていえば、まあ超絶かわいいんだけどね。

ちょっと、性格があれってことや。

「あのさ。手紙の件どうなったの?」

僕の提案を完全に無視られたという事実は闇に葬るとして・・・

確かにあの件については何も伝えてなかったっけ。

なんて言おうか。何かあった風を出すか何もなかった風を出すか・・・面倒くさいから後者で行こう。

コンマ数秒でその路線の原稿を脳内で作成した。

そして、僕は平静を装い、嘘なんてついていませんよを全力で顔に出した。

「あー、あれね。何ともなくて残念だったよ。」

「なら、よかったね。」

・・・・・・

あれ?それだけなんだ。ディスの追撃はしてこないんだな。残念。

いや、待てよ。考えてみろ。

あ、そうですか(冷笑)って感じで、そっけない態度を出しただけかもしれん。

てか、そうか。普通に考えて。くっそ。小学生からの付き合いなのになんで分からなかったんだ。

まあとりあえず、会話を展開させていくか。

「そういう、お前は何かあったのかよ。」

「え、ああ。私も特に何もなかったよ。」

僕が質問すると、栄花は一瞬立ち止まったがすぐに元に戻って返答した。

これは何かあったな。ラノベでは、こういう場面を“伏線”というのか。

まあ、僕は人の困りごとに自ら突っ込んで、自発的に困った目に遭うようなMでない。

「そういえば、赤松香織子が不登校になったのって知ってる?」

「え?そうなん!?がち?」

話をすり替えるかのように、衝撃発言をブチかましてきた。

僕は目を見開いた。結構驚いている。いや、言葉以上に。

赤松香織子とは、中学校からの仲、といっても三年生のとき同じクラスだったからまあまあ仲は良かったと思う。

それで、僕と同じ高校に来たのが赤松と栄花だけだったから、一年生の最初のころは比較的頻繁に顔を出していたって感じだ。

二年生になって全く話したことなかったから近況は知らなかったけど、まさかそんなことがあったなんて。

「え、なんで不登校になったの?あいつって、なんか問題あった?」

「私も理由は知らない。」

「そうか。」

一瞬沈黙が走る。僕は直感した。

このままだと、気まずい空気のまま学校に行くことになると。

「今度あいつん家行ってみるか。気になるし。」

僕は適当に相槌を打って、重くなりそうな雰囲気を回避した。

すると、栄花は僕を見下すかのような目で見つめてくる。

こ、怖い・・・

「それ、適当に言ってるでしょ。」

げっ。ばれた。こいつ本当に、心読めるんか。

しかも、ばれたって顔しちゃったし・・・

これは、ボケの路線で話を進めていくか、。

「ソ、ソンナコトナイデス。」

フンッ!どうだ!このわざとらしい動揺ボケ。

うますぎるわ。僕、将来お笑い芸人にでもなってやろうかな。ガハハ。

「きっっっっしょ。」

栄花、渾身の“きしょ”を頂きました。

おいし・・・じゃなくて、かなし!

僕のステータス画面をみたら多分生命力〇だよ。

でも、なんか助かるわ。うん、助かる。

「ごちそうさまでした。」

僕は理性よりも本能が勝ち、ふいに手を合わせて、花にお辞儀してしまった。

「ドMか。」

栄花が僕をしり目に敷いて蔑みを混じらせながら、僕に吐き捨てる。

こういう、プレイを楽しむ人もいるよな。例えば僕・・・じゃなくて扶郎とか。

僕はヤレヤレと言わんばかりに肩をすくめる。

こいつはMがどんなゲテモノかまるで分っていない。

「いや違うね。僕はMじゃないよ。Mだったら『もっと言ってください』っていうよ。」

「同じでしょ。お前もドMも、」

「まったく。全然違うよ。今度佐久間ってやつを紹介してやるよ。お前と相性いいかもな。」

ヤバイ!僕って天才か!知っているけど。

この一瞬で扶郎の恋愛をサポートしつつ僕とMの違いを理解させる。

これが首席の脳ってことか。いやー、あっぱれ、あっぱれ!

「お前よりもヤバイやつがこの世にいるのか。佐久間・・・覚えておくか。」

なんか、ディスられた気が一瞬しなくもなかったが、まあ扶郎の存在を気にかけるきっかけを作れて僕は本望だよ。アハ、アハハハハ!

そんな悪魔の笑い声を心の中で響かせながら、朝日輝く歩道を歩いて行った。


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