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手に汗握る戦いは王道中の王道

「くっ―――」

超高速に放たれた凶弾が、網戸に穴を作り、僕が肉体に入ったまま、頭に直撃してしまった。

痛いという感情よりも、恐怖、驚きの感情が僕の心を掌握していた。

そして、キッチン床に霊体の腕の骨折で固定している右手側に体勢を崩したから手をつくことができずに、頭から思いっきり倒れてしまった。

自分の霊体と肉体の鮮血がそこらへんに飛び散っている。

血が頭からドバドバと出ている。広がる血の水面に、自分の顔の半面が映っている。

「鳳!お前平気か!」

花が急いで、心配そうに近寄りながら、魔力でドーム状の結界を構築した。

打たれる前に見たあの人間とは思えないような姿、花の言葉から打ってきた奴は魔獣確定だな。

ということは、さっき僕にぶち込まれたのは魔力弾か。

たぶん、花は次に飛んでくる魔力弾を危惧してのことだろう。頭の回転は早!

『あ、ああ。寸前になって、回避行動をしたらギリギリ頬が貫通しただけで済んだよ。』

「なら、よかったぁ。」

僕が頬に空いた穴を見せながら、喋れないからソウルコネクトで花に伝える。花はそれを聞いて安堵の表情を浮かべている。

いやぁー、平静を装って花を安心させているけど、いってぇよ。さっきの方が痛かったからまだましだけどさぁ。頬貫通は痛いって。高校二年生がつけていい傷じゃないって。

僕が嘆いていると、魔力弾が網戸を突き破る音を出しながら、結界に次々と魔力弾が撃ち込まれていく。結界にパリンパリンとヒビを入れて、壊そうとしてくる。

しかも、ピンポイントに僕がいる先の結界部分にひびが入り始めているから、確実に僕を殺そうとしてきているということか。

『や、やべ。』

「焦んな、大丈夫だ。」

というか、あんな遠くから僕の位置を知ることができるっていうことは魔力感知が相当鋭いのだろう。

確殺を入れてくる慎重さといい、魔力感知と魔力放出のスキルの練度といい・・・

こいつ前の魔獣とは全然違うぞ。

「これは手練れだな。こちらも迎撃する。だから、鳳は結界の修復を怠らないでくれ。」

花が防御しながら指示をする。やっぱ、こいつの頭の回転早いな。

『分かったけど、傷を回復しながらになるから、出力落ちるかも。』


花が了解という顔を僕に見せると、襲撃者に向けて、結界内から打つタイミングで壁に穴をあけて、高出力の魔力弾を次々と発射していった。

その魔力弾は青紫の輝きを放ちながら流星のごとく飛んで行った。

僕は、その戦う姿勢を見ていて器用だなと、美しいなと思いながらも、結界のひび割れを魔力で補修したり、自分の頬に空いた穴を血で固め、止血をしたり、前の花のように飛び散った血を天吸と魔力操作で肉体に戻したりした。

花も相当頑張っているんだと思うんだけどさぁ。

結界の魔力補修に肉体操作、頬の止血にスキルの応用をして散らばった血の回収。そしての痛みときた。

・・・多忙、ここに極まれりすぎる。助けて—!

そんな僕の願いが届いたのか、数秒して結界に魔力弾が撃ち込まれなくなった。

そして、花がこちらを向いて、にやけながら話しかけてきた。

「フハハハ!あいつの腕を吹き飛ばしてやったぜ!」

『え、文字通り?』

「ったりめえよ。そしたらあいつ、どっか逃げやがったわ。フハハハハハ!」

目がガン決まっていますし、テンションがハイになっていますけど・・・大丈夫ですかね?

『とりあえず落ち着いてもらって・・・』

「あ、ああすまない。久々の戦闘ではしゃぎすぎてしまった。」

花が少し、頬を赤らめて手を口元に当てて咳払いをする。

そんな花が一瞬かわいいと思ってしまった僕をとりあえず心の中でぶん殴ってやって・・・

『まあ、やるやん。そこは誇っていいとぉ・・・?』

僕が結界を閉じようとしている花に、ガチ感心・ガチ褒め(棒)をしようとした。

その矢先、とある奇妙なものが見えた。

『って・・・これは?』

おもわず声に漏れてしまった。それほど奇妙ということだ。

目の前には、“弾”があったのだ。

それは、この世界にあるスナイパーライフルの銃弾のような形状をしていた。

僕は弾を指さして、花にこれと言って示す。

『なんで、あるの?』

「ほんとだ。なんだこれ?魔力弾なのになんで消えないんだ?しかも、そこらへんにもあるし。」

辺りを見渡すと、目の前にあった弾と同じようなものがそこらへんに散らばっている。

『うわ、気づかんかった。』

魔力弾は、魔力の塊でできているから普通、打ったら消えるというのが僕らの認識だ。

ということは、魔力弾だと思っていたものは、魔力でもなく、の世界の物、つまり物質でもなく、違うもの。

なんか、この弾たち。見た目というか、感じというか、どこか何かに似ているんだよな。

「これ、霊体とかと同じ物質でできているな。」

『あー!それだ!』

「うるさいわ!ボケ!」

『すまん。』

ちょっと、大きな声を出しちゃった。テヘ。

「まあ、いいよ。とりあえずそこらへんに散らばっている弾拾うぞ。」

『はーい。』

そして、僕が目の前にあった弾を拾おうとすると、急にその弾が赤く点滅しだした。

僕たちが反応する前にその点滅は瞬く間に、早くなる。ほかの玉も同様にだ。

『「は?」』

僕は見たことある。この世界だとよく、海外映画とかで、ピコピコ音出して、カウントダウンをしながら、赤か青か迫られる凶器。

これはまさか・・・

『「爆弾!」』

僕と花は瞬時に、最大出力の魔力で全身を鎧のように覆った。

光っている弾数が多くて覆う時間がないと直感したからだ。

ドンッ

刹那、十発ほどの弾が同時に爆発し、部屋の中で大爆発が起きる。

しかし、その爆破は物を壊す・・・というより、何かを広範囲に散布するものであった。

散布された魔力の色は黄緑色で、霧のように散らばっていった。

これは、きっと多分おそらくだが・・・

『毒霧だ!』

「そうだな!」

その霧は瞬く間に部屋全体へへ広がっていき、僕たちのもとにも届いた。

『息をしないように逃げるぞ!』

そういう花に僕が続き、息を止めて部屋から逃げようとした矢先、着弾した頬から全身に向けて、獣が体の中をぐちゃぐちゃとつぶすような痛みが広がった。

「はっ!」

我慢しようとしたが、あまりの痛みで毒霧を思いっきり吸ってしまった。

これは、まずいのではないか?

その瞬間、案の定全身が硬直し、動けなくなってしまった。

やべえ、霊体の方が呼吸できねえ。強制的に動かそう。肉体と同じように。

しかも、心臓がいってぇんだ。一応霊体の方は動いているけど・・・

あと、めまいもするし、気持ち悪いし、吐き気がえぐいし・・・

とにかく次吸い込みすぎたら死んでしまう。

『僕を置いて一人だけでも逃げろ!』

僕は、海外のお涙頂戴ワンシーンの決まり文句を言った。

『いや、運ぶから。』

そういって、花は僕の体を担いで、急いで玄関に向かった。

『惚れちゃうわ。』

『どうせ助けてくれるって思っていただろ。』

『うぇ。』

うーん、心の中筒抜け定期なんだよな。

『まあいいわ。』

花がヤレヤレと言わんばかりの顔をしたタイミングで、部屋の外に出た。

というか、これ周りの普通の人間から見ると、浮いている人なんだよな。

「とりあえず、屋根上に行くか。人に見られたらたまったもんじゃないからね。」

花がそういうと僕をお姫様抱っこに持って、一気にジャンプして、大ジャンプした。

そして、スタイリッシュに屋上に着地した。

いやー、いろいろ突っ込みたいけど、なんかガチで体調がきつくなってきた。

え、うわ!なんだこれ?頬からの毒がきちいかも。さっきは激痛だったけど、なんか今は鈍痛?みたいな感じで全身がズキズキするー。あーやばい!

『ヤバイ。ちょっと死ぬぅー!』

「死ぬなって。」

『ガチで死ぬうううううううううううう!』

僕が助けの声を聴いていた花は、少しうつむいてから、何かを決心したような顔つきになって仁王立ちで、僕のところに来た。

え、なに?僕はなにされるの?

「天吸。」

『は?』

ピンクな妄想とは裏腹に、花が僕の顔の上に手をかざしてきたと思ったら、僕に向けて天吸を発動してきた。

あと、情けない音声が入ってしまったことお詫び申し上げますね。

「そこに魂がない魔力は吸えるんだよな。なら、毒がある魔力も吸えるよな。だって、この魔力はあいつの魂のものだからな。」

花がそういっていると、僕の中にある毒の魔力がどんどんなくなってくる。

安らぎ。それが今の僕が今頭を支配している気持ちだ。しかも、体が動く!

そんな快楽はすぐに焦りへと変わる。

こんな痛いものを急に、自分に入れれば

「うっわ。うー。きつい・・・!」

『おい!平気か!』

『ああ、こんなのでよく雑談できたな。』

花がそういうと、ゼンマイ人形の巻き数がなくなったときみたいに、バタンと倒れた。なるほど、急にソウルコネクトで話してきたのは口が動かなくなったからか。

『僕の場合は痛みにさらされ続けたから慣れているけど、花はやばいでしょ。』

『ああ。』

花は、結構疲弊困憊しているみたいだ。ほんで、部屋は毒まみれで。明日も授業があるときた。

詰んだか・・・?これは本当に。

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