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もふもふの人間兵器?にされてしまった悪役令嬢ですが、冷酷非道侯爵様に溺愛されています  作者: 矢間カオル


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91話外伝 悪女イザベラ、側妃への道16

イザベラとエイダンの、二人きりの散歩が始まった。


エイダンが腕を差し出してきたので、イザベラはその腕に自分の手を回す。


いつもなら離れずに付いてくる護衛と侍従は、話し声が聞こえない距離を空けて歩いてもらうことにした。


「それで、私に聞きたいこととは何なのだ。」


「では、遠回しな言い方はせずに、率直にお伺いいたします。」


「ふむ、いつでもどうぞ。」


「殿下はルーメリア様のことをどう思っていらっしゃるのですか? 三年前の婚儀の後、三夜訪れただけで、それ以降の訪れはなかったとお聞きしました。」


「ああ、そのことか・・・。ルーメリアには何も聞いていないのか?」


「はい?」


エイダンがスズラン宮を訪れないのは、ルーメリアの魅力が足りなかったからだと思っていたけど・・・、違うの? 


「簡単に言うと、ルーメリアが、それを望まなかったからなのだ。」


「えっ? 今何と? 三夜も寝屋を共にして、それ以降は放置状態。それをルーメリア様が望んだことだと?」


「ははっ、実はな。私たちの間に男女の関係はないのだよ。こういうのを白い結婚?とでも言うのかな?」


「よろしければ、詳しく教えていただけませんか?」


「まあいいだろう。約束だからな。」


エイダンは三年前の経緯を話し始めた。


ジェンキンス王国がランベルジオス王国に吸収されることになり、ランベルジオスのバルマン国王は、ジェンキンス王に臣下の証になるものを差し出すように言った。


それは、代々伝わる宝剣でも、土地の一部でも良かったのだ。


だが、ジェンキンス王は、まだ十八歳の若い王女を差し出した。


エイダンにしてみれば、バルマンとジェンキンスの間の取り決めなのだから、受け入れるのはバルマンでも良かったと思うのだが、歳を理由にバルマンはルーメリアをエイダンに押し付けた。


王子たるもの、政略結婚は避けられない。


エイダンはそれを受け入れ、ルーメリアは第二側妃として輿入れし、婚儀はしめやかに行われた。


ここランベルジオスの王族の婚姻は、婚儀の後、三夜連続で夫が妻の宮に通うことになっている。


「その日の披露宴で、正妃と第一側妃が私の杯にどんどん酒を注いだのだ。めでたいことだからとか言ってな・・・。どうやら飲みすぎたようで、スズラン宮に行ったものの、爆睡してしまったのだ。」


殿下、それって一服盛られてますよね・・・


「二日目の夜も、スズラン宮に行ったのだが、そろそろ寝屋にと思ったときに、近くの大木に雷が落ちたのだ。その衝撃と言ったら、それはそれはすさまじかった。運の悪いことに大木が倒れて宮殿の一部を破壊してな。その夜はそれどころではなくなった。」


「三夜目には何が起こったのです?」


「初日も二日目も夫婦の契りを結べなかったのに、ルーメリアは残念がるどころか、ほっとしたように見えた。だから聞いたのだ。そなたは私と夫婦の契りを結びたくないのでは?と・・・。」


「ルーメリア様は何と?」


「殿下が望むなら、従います・・・だとさ。嫌なら嫌と言って良いのだぞと言ったら、もしも叶うならば白い結婚でいたいと思います。と答えたのだ。」


「それで殿下は承知したと言うわけですか・・・。」


「私は嫌がる女を無理やり襲う趣味はないのだ。そんなことをして喜ぶのは、よっぽど女に飢えているか、変質的な性癖の持ち主であろう? 私はそのどちらでもない。だから、もしも白い結婚に色をつけたくなったら、そのときは言ってくれと話してある。まあ、あれから三年、まだ彼女からは何も言ってこないがな。」


イザベラはエイダンの言葉で、今まで疑問に思っていたことが全て腑に落ちた。


「殿下は心が広いのですね。殿方なら、若く美しい娘を見ると、皆その気になるものだと思っておりましたのに・・・。」


「ははっ、そなたはずいぶんとあけすけにものを言うのだな。だが、かえって話しやすい。そなたは、私のことを心が広いと言ってくれるのだな。」


「はい。わたくしはまだこの国のことをよく知りませんが、きっと殿下のことを心から慕っている臣下や人々が大勢いるのでしょうね。」


「さあ、それはどうだか・・・。父を慕っている者は国の民にも臣下にも大勢いるのだが・・・。」


イザベラには、なんとなくエイダンの顔が寂しそうに見えた。


「殿下の周りにも、いらっしゃるでしょう? 護衛騎士の方もそうですし・・・」


「アンドレアスのことを言ってるのか? あいつはジェンキンスからルーメリアと一緒に来た護衛騎士だったのだが、剣術大会で優勝したから私の護衛騎士を務めるようになったのだ。もともと父との契約でこの国に来たのだから、いざとなったら、私よりも父を選ぶのではないか?」


どうやら、エイダンは父親コンプレックスを相当こじらせているようね・・・。


「ねえ、殿下、アンドレアスさんが国王陛下よりも殿下を心から慕い、忠誠を誓うようになれば、素晴らしいと思いませんか?」


「それはそうだが・・・」


「殿下だからできることって、あるのですよ。いえ、殿下にしかできないと言うべきかしら・・・」


「そなたは何が言いたいのだ?」


「お話はここまでです。今日はわたくしの願いをお聞き届けいただきましてありがとうございました。続きを聞きたかったら、どうぞ、わたくしをお呼びください。」


イザベラは淑女の礼をした後、エイダンから離れてスズラン宮に帰った。


エイダンはイザベラの後姿を、名残惜しそうに見つめているのだった。


・・・ふふふっ、仕込みは上々だわ・・・。


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