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もふもふの人間兵器?にされてしまった悪役令嬢ですが、冷酷非道侯爵様に溺愛されています  作者: 矢間カオル


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85話外伝 悪女イザベラ、側妃への道10

イザベラが後で知ったことだが、ルーメリアはエイダンに月に一度は必ず会っていた。


と言っても二人きりで会うわけではなく、正妃と側妃とエイダンの四人が王太子宮の応接室に会して報告会が行われていたのである。


その会合で、それぞれの妃が公務の内容を報告し合うのであるが、セレニア曰く、まともに視察を繰り返しているのはルーメリア様ぐらいで、他の二人は侍女に任せているのだと言う。


本人が視察に行くのは、年に数回行けば良い方だとか・・・。


しかし正妃も第一側妃も、さも自分が行って見てきたように報告するらしい。


エイダンがその事実を知っているのかわからないが、そのことを指摘したことは一度もない。


だから、報告会と言ってもいい加減なものだと、セレニアは嘆いていた。




その報告会で、ルーメリアをアピールしよう!


イザベラのきらりと光るアメジストの瞳に炎が燃え上がる。


エイダンとルーメリアの瞳の色に合わせて明るい緑のドレスを選び、古臭いドレスのデザインを今風に縫い直し、宝石がない分、布で作った花のコサージュとレースを飾り付けた。


清楚なルーメリアの雰囲気にぴったりのドレスが出来上がった。


髪は緑のリボンを編み込んで結い上げ、ルーメリアの数少ない髪飾りの中から一番豪華な花の形のものを選んだ。


化粧は昼用だが、少し華やかさを増した。


ふふっ、いつもと違うルーメリア様に、きっと殿下も驚くわ!


「イザベラ、ありがとう。なんだかいつもと違って不思議な気分よ。」


鏡をうっとりと見つめるルーメリアが、イザベラに礼を言った。




報告会では、侍女は主人の後ろに控えることになっているので、イザベラは初めて他の妃を見ることになる。


一番早く着いたのがルーメリアだったので、応接室でルーメリアの後ろに控えながら、後から入室して来る妃を待った。


待っている間に部屋の様子を見ていたが、大理石で作られたテーブル、豪華な椅子もそうだが、壁に掛けられている絵画も、繊細な彫刻が施されているランプも、どれも一級品で王太子の身分に相応しい調度品であった。


しばらくすると正妃と第一側妃が、それぞれ二人の侍女を引き連れて入室してきた。


正妃クラリッサは、波打つ栗色の髪を腰まで流し、髪色と同じ栗色の瞳でにっこりと微笑んでいる姿は品が良く、日頃手入れを欠かさない肌には艶と張りがあり、とても二人の子を産んだ二十七歳とは思えない若々しさである。


水色のドレスは今流行りのデザインで、ちりばめた宝石がキラキラ輝きとても高そうで、ドレスを見ただけで、クラリッサの実家であるキャプラ侯爵家の裕福さがうかがえる。


第一側妃のシエンナは、露出の多い真っ赤なドレスに身を包み、宝石をジャラジャラと身につけている。


赤い髪と黒い瞳は彼女の妖艶さを引き立てて、周りに与える印象はクラリッサとは真逆である。


エイダンの地盤を固めるために、国で最も裕福な伯爵家の娘と政略結婚をしたのだとお針子仲間のナタリーに聞いていたが、宝石の数を見てイザベラはその噂は本当なのだと納得した。


現在シエンナは二十四歳で、エイダンとの間に女児が一人いる。


つまり、妃でありながら、子どもがいないのはルーメリアだけなのである。


イザベラは二人の妃を観察するように見ていたのだが、それは妃も同じことで、入室するなり、クラリッサもシエンナも驚いた顔をした。


いつも古臭いドレスに身を包み、化粧もしているのかしていないのかわからないようなルーメリアが、今日は違っている。


第二側妃としてスズラン宮に来た頃は、その若さと美しさで、エイダンの寵愛を独り占めにしないかと心配していたのだが、元々美しい素地を持っているのにそれを生かそうとしない彼女のことを蔑み、そしてある意味ほっとしていた。


この様子では、エイダンの寵愛を受けることはないだろうと・・・。


だが、ルーメリアを見た瞬間、二人の顔に焦りが現れたことをイザベラは見逃さなかった。


ふふっ、お二人とも、ルーメリア様の美しさに焦りなさい。




三人が席に着き、しばらくするとエイダンが護衛騎士と侍従を引き連れて入って来た。


護衛騎士の一人は、見覚えがある。


先日孤児院で護衛を務めたアンドレアスだ。


たしかルーメリア様と同郷だとか言ってたっけ・・・。


イザベラがそんなことを考えていると、妃三人がすっと立ち上がり、エイダンに挨拶をした。


それに合わせて後ろに控えている侍女も礼をするので、イザベラも周りに合わせて同じように礼をする。


「皆、座りなさい。では、始めようか。クラリッサ、病院の様子はどうだった?」


報告会が始まったが、座っているのはエイダンと妃三人で、護衛も侍従も侍女も立ちっぱなしである。


「病院の患者数は先月よりも増えています。伝染病に関しては・・・」


クラリッサの報告が終ると、次はシエンナの報告が始まる。


「救護院の世話になる人々は皆王室に感謝をしています。生きていられるのも、王室が健在だからだと・・・」


あからさまに王室を持ち上げる報告であったが、まあ、それもあながち嘘ではないと思われた。


ルーメリアの報告が始まった。


先日の院長の不正事件の話になると、エイダンの表情が険しくなる。


「その報告はアンドレアスから受けていたが、ルーメリア、よくやった。そなたの機転が孤児院を救ったのだ。アンドレアス、その後の調べを教えてあげなさい。」


アンドレアスの話はこうである。


院長並びに関係者を取り調べた結果、二ヶ月前に採用された職員が、過去にも別の職場で不正を働き、成功していたことがわかった。


この孤児院でも不正はできると思ったその職員は、院長を唆し、出入り業者とも癒着して公金を横領したのだと言う。


どうせ側妃なんて、帳簿の見方もわからない世間知らずのお嬢様だから大丈夫だ・・・


その職員は、何度も何度も院長の耳元で囁いた。


院長は今まで真面目に働いてきたのだが、数ヶ月前に抱えた借金が返せなくなり、不正の誘惑に負けてしまったと、今では後悔しているそうだ。


ルーメリアが結婚する前に、母国で帳簿を睨んで暮らしてきたことなど、まったく予想していなかったのだろう・・・


馬鹿なヤツだとイザベラは思った。


一通りの報告が終るとお開きになるのだが、その前にエイダンがボソッと呟いた。


「ルーメリア、なんだか雰囲気が変わったな・・・。」


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