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【完結】悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子  作者: ma-no
五章 引きこもり皇子、進軍する

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110 急転直下


 時は数日戻り、帝都……


 お城の一室では、フレドリク皇帝に凶報が届けられていた。


「なんだと!? フィリップが町を攻め落としただと!?」


 そう。ヘルゲソン伯爵軍がフィリップの名を出して町を占拠していたことが、間違った形で伝わっていたのだ。


「それは本当なのか!?」

「およそ二千ほどの兵が集まっていると聞いています。ただ、そこには、フィリップ殿下はいないとの情報もあります」


 伝令兵から確認を取ったフレドリクは少し考える。


「フィリップはわざわざ到着日時も書いて手紙を送って来ていたのだ。それよりも早いとなると、フィリップに合流しようと集まった兵か……」


 フレドリクの呟きに、同席していたカイ・リンドホルム近衛騎士長が補足する。


「確かにフィリップの人望というよりは、フレドリクに恨みを持つ元貴族が集まったというほうがしっくり来そうだな」

「うむ。フィリップに乗っかって大義名分を得ようとしているのだろう」

「それでどうする? フィリップも兵を手に入れたら調子に乗るかもしれないぞ。こちらから兵を出して倒すか?」


 カイの問いにフレドリクも即決できないのか、少し悩んでから答えを出す。


「明日にはフィリップが合流しているだろうから止めようがない。少し様子を見てみよう。もしも兵に加えるとなったら、それは、もう……」

「わかった。準備だけしておく」


 フレドリクが全てを語らずとも、幼馴染みのカイにはわかる。フィリップが謀反を起こしたのだと……



 それから2日後、フィリップの使いだという者が帝都城を訪れ、手紙を差し出した。それを読んだフレドリクは、使いを一室に軟禁するように指示を出してから、イケメン4を執務室に呼び出した。


「また厄介なことになって来たのだが……どこから話そうか……」


 フレドリクが頭を抱えているので、カイはフィリップの謀反が現実になったと思っている。


「やはり、兵に加えたのだな」

「いや……町を占拠していた犯罪集団は全員裁いたとなっているのだ」

「はあ? 貴重な戦力だろ??」

「それがな。元貴族が殺人や強姦、強盗をしていたらしいのだ。それぞれの罪も罰も事細かに書いてある。やや罰は重いが、軍隊が組織的にやっていたとしたら妥当な裁きだと思う」


 フィリップの裁量が納得がいかないとカイたちは話し合い、最終的にはホーコンがやったのではないかとの結論となっていた。


「それは置いておいて、残りの兵士はどうなったのですか?」


 ヨーセフ・リンデグレーン宰相も気になって質問すると、フレドリクは頭を掻いて答える。


「軽犯罪者は利き手を砕き、犯罪に関与していなかった者は、無傷で故郷に帰したらしい。全員、武器防具を町に支払って農業従事者になることが罰だと書いてあった」

「ますますやりたいことがわかりませんね。それだけの兵士をみすみす捨てるなんて……」

「それなんだがな……フィリップの原文をそのまま読むぞ」


 フレドリクが手紙の1枚を持つと、皆の視線が集中する。


「兄貴に文句を言いたいって人を手当たりしだい加えていたら、100万人以上に増えちゃった。てへ」

「「「はあ!?」」」


 10万人も集められないと思っていたのだから、いくらフィリップがかわいく書いてもその10倍になっていては驚きを隠せない一同。


「フィリップの人望で集めたわけでないとしたら、私に不満を持つ者がこれほど多いことになるのだが……」


 そんな中、フレドリクは現実を突き付けられて気落ちしてた。


「待て待て。あいつの言ってることだろ? 嘘じゃないか??」

「そうですよ。フィリップ君は、基本的に嘘しか言いません」

「うんうん。陛下に甘えて体調不良とか言っておけば、部屋から出ないでいいと思っていたのですよ」


 でも、カイ、ヨーセフ、モンス・サンドバリ神殿長はまったく信じようとせずに、フィリップを嘘つき扱い。いや、確かにイケメン4の前では嘘ばっかりついていたフィリップが悪いのだろう。


「とりあえず、事実かどうかだけ確認しておく。もう近くまで来ているだろうから、すぐに答えはわかるはずだ」


 この時点でフィリップたちは馬車で2日の地点までやって来ている。なので早馬を出したら1日で行って来いして戻って来たが、その伝令兵はとんでもなく焦って戻って来た。


「陛下、手紙は事実でした! いえ、100万どころではありません! 下手したらその倍はいます!!」

「「なんだと~~~!?」」

「「なんですって!?」」


 噓だと思って軽く見ていたフレドリクたちは、いきなりのことに大声を張り上げた。


「へ、兵を集めろ! 民にも説明しなくては!?」


 フレドリクが珍しく焦っているので、カイが冷静に問い質す。


「謀反ってことでいいんだな?」

「それだけの数がいるのだ。文句を言うだけでは終わらないだろう……それでかまわない。ただし、戦闘は私がフィリップと話をしてからだ。わかったな?」

「「「はっ!」」」


 急転直下。帝都では突然、内乱が勃発すると告げられて、住人は混乱するのであった……


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