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平和の轍

作者: ダイナマイト山村

世界の均衡は一瞬にして崩れたのだ。


2050年、核抑止力や、核の傘の神話が崩壊した国際社会には、終末がすぐそこまで迫っていた。


保有国が優位に立ち、真面目にルールを守った国々は永遠に発言力を持たない。無理やりにでも新規に保有した国は独自の存在感を持ち、放棄した国は蹂躙された。


抑止などという綺麗事を前面に、様々な思惑を抱えて、世界情勢は混迷を極めた。


青天の霹靂。


エネルギー問題の解決と共に、世界平和をもたらす技術が開発された。


各国への特殊原子力発電所設置を義務付けた、いわゆる特発設置条約が地球規模で結ばれた。


これまでの原発に比べても、遥かに高効率で莫大なエネルギーをもたらす。それでいて、信じられない程の安定稼働。地震やその他、あらゆる災害にたいして、ほぼ影響を受けないという、奇跡の施設を世界各国に設置。今後の電力使用量の増加等も見越して、過不足の内容に、分配された。


完全無欠のエネルギー機関。そのもうひとつの顔が、設置式核爆弾である。


国のトップがボタンを押せば、兵器としての、核爆弾の威力を持った爆発を起こすのだ。


そして、各国の原発に対応したボタンはそれぞれシャッフルされ、ランダムに各国に手渡される事になった。


全ての国が、全ての外交で、相手を刺激しないように心がける。


最悪の最善手。


そう、思われていた。

全世界が調印し、同時に建設が進み、いざ。

というタイミングで問題は起きた。


爆発ボタンのシャッフル及び受け渡しが行われる場で、とある国が会場を占拠した。各国の代表を殺害し、ボタンを全て手中に収めた。


かの国の関係者は宇宙に向かった。1つボタンを押し、消滅した国家に、新たな拠点を置く。

そうすれば、唯一安全な不可侵の、そしてランダムとはいえ、他国の生殺与奪権を持つ最強の国として、世界の頂点に君臨できる。


かくして地球の王はボタンを押した。

とある国が1つ、消えた。


しかし、それは新たな人類繁栄の序章とはならなかった。


程なくして、人類は絶滅した。


実は、誰か一人でもボタンを押すことがあれば、世界は汚染されるように出きていた。


為す術なく、地球の生物達は息絶えて行った。


どこか遠くで眺めていた神は言った。

「また最初からやり直しか」





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