6/8
一人で歩く街の中
「散々な目にあった……」
オレは部屋に戻るなり、つぶやく。
(あれから町に行ったら声を掛けられるし)
思い出して身震いしてしまうオレ。
(本屋に行って本を探しても視線を感じるし)
何度もつぶやくオレ。
気分転換でもしたかったのだろうか。街中を歩き回りたい様子が伺える。
「まったく夢だからよかったものを」
ウィンドウショッピングを早めに切り上げてオレは部屋に戻る。
鏡を前にして、何度も深呼吸して呼吸を整えていた。
「こういう時こそ、笑顔、笑顔」
鏡の前で強引に笑うオレ。
モヤモヤした感じを吹き飛ばすために何度も繰り返す。
「ひどい夢だな……」
オレはベッドで仰向けになり、目を閉じた。
(もう寝てしまおうか)