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念願叶い行く場所は
「女の子が好きだからこそ、こういう格好をして理解を深めたいのさ」
嬉しそうに先輩は話す。
「え、えーと……」
その一方で、たじろいぐオレ。
(つまり先輩は男の子でオレも男の子だからオレは男の子が好きになったってこと?)
混乱しているのか、オレの目は回っている。
「天気も良いし、お茶にでも行こうか」
先輩が話しかけても、オレは沈黙を保つ。
パニックに陥っている様子が見て取れる。
「喉乾いちゃってさ、そうだ、のど飴食べる?」
お気軽に話す先輩にカチンときたのか、オレの体は震えだす。
「そんなに……」
「あった。あった。ミカンとイチゴとサクランボ、どれが食べたい?」
「そんなに喉乾いたなら、これでも飲んでろ!」
震えた声でオレは叫ぶと、薬瓶の蓋を開け、先輩の口に投げ入れる。
泡立った液体が先輩の口に流し込まれていくのを見て、オレはその場を後にした。