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竜の王子と時の姫  作者: てしこ
18/91

エオリカ

 収穫祭のパレードの前夜、王宮では国内の貴族とグランダル国の王太子夫妻を招いた、国王主催の第一王子と第二王子の婚約者のお披露目パーティが開かれていた。

 主役である王子達とそれぞれの婚約者は国王の両隣に位置していた。

 アレスはフローレンシアの手を取り、ジークはマーガレットの手を取って、国王が招待客に紹介するのを聞いていた。

 アレスはグランダル国の王太子夫妻が昨日無事王宮に着くまで、警備の手配等で動いていたので、今夜くらいはゆっくりとしたい気分だったが、主役が休むわけもいかず、眠たい目を半分開けた状態で出席していた。

 それでも紹介されると、キリッとした表情で、優しくシアの手を取り挨拶を終えた。

 シアの美しさに会場はざわめいた。ユリウスの婚約パーティに出席していた者は、シアがあの時の娘と同一人物と思えず、学校ではいつも前髪を下ろして顔半分が隠れて、疲れた顔をしているシアの印象が強い分、髪をあげた顔を見た人々は思わず息を飲むほどの美しさに衝撃を受けたようだった。期待値が低い分、割り増しで驚いたのだろうとアレスは思った。

 ファーストダンスをアレスと踊り、その後国王陛下や公爵達と踊ったシアは、アレスが部屋の隅にいるのに気が付いた。

 次のダンスを少し疲れたと断り、アレスの元に行った。

「どうしたの?アレス」

 アレスは給仕が持ってきたグラスを二つ受け取ると、一つをシアに渡した。

「俺はこういうのは苦手だから」

「分るわ、私も早く終わらないかなと思っているもの」

 アレスは壁にもたれて、フロアーを見渡す。ユリウスとコーデリアが楽しそうに踊っていた。ユリウスもグランダル国の王太子夫妻を国境で出迎えてから、昨日まで随行していたので疲れていると思うのだが、そんな仕草はみじんも感じさせない様子でコーデリアに微笑みかけている。

 ユリウス達の手前を、グランダル国王太子夫妻が踊っていた。

 王太子は母のルチアと同じホワイトゴールドの髪に碧い目をしている。40代半ばにしては若く見えた。今でも人目を引く容姿をしているので、若いときはさぞモテただろうなと思った。

 アレスは周りの様子をぼんやり見ながら、今日までの事を振り返る。

 ウルルの森から帰った翌日、シアを訪ねるともう万能薬は出来ていた。

 ウルルから預かったノートに万能薬の作り方が書いてあったらしい。「採ってきた毒草と数種の薬草を加えて、後は回復魔法を使う者の血を一滴」と書いてあったのよ、とシアが教えてくれた。回復魔法が使えたらレベルは関係ないと書いてあったから自分の血を使ったとも言っていた。

 出来た万能薬は、国境までグランダル国王太子夫妻を迎えに行くユリウスに大急ぎで渡した。

 幸い王太子夫妻は誰からの攻撃も受けること無く、昨夜無事王宮に到着した。

 アレスは明日のパレードの準備や警備の打合せで忙しく、シアはウルルのノートに載っていた、面白く興味を引いた薬を作るのに忙しかったみたいで、二人とも大いに寝不足だった。

 そんな事を考えていると、シアが話しかけてきた。

「ねえアレス」

「ん?」とシアを見ると、シアはフロアーの一点を見たままアレスに話しかけていた。

「アレス、王太子殿下の側に女の人が見えるわ」

 王太子を見ると、王太子妃ではなく何処かの令嬢と踊っていた。

「ダンスをしているから、女の人がいるのは当たり前だろう」

「そうじゃ無くて、別にいるのよ」

 目をこらして見たが見えない。

『私も見えないわ』とルーチェが言う。

「おかしいわね。手を繋いだら見えるかしら」

 シアはルーチェと手を繋ぐ為にアレスの肩に手を置いた。

「『『『あっ!』』』」

 アレスと三体の精霊の声が重なった。

 シアの言うとおり、王太子の右側に美しい女性が憑いていた。黒い髪に魅惑的な碧い瞳の年の頃は20代半ばと思われる美しい女性が見えた。

『あれは、ルチアのお母様のエオリカ様だわ』とルーチェが叫んだ。

「やはり、そうなのね」

「やはりって?」

「だって、あの方ルチア様によく似ているんですもの。アレスはルチア様に似ていると思ってたけど、目元はよりあの方に似ているわ」

 シアはブツブツ言いながら、ひとり頷いている。

 壁際で騒いでいるのに気が付いたのだろう、王太子に憑いている女の人エオリカが手を振った。

 女の人を見ていたアレスは無意識に手を振り返していた。

「こっちを見て手を振っているぞ」

 ルーチェは喜んで『エオリカ様―』と大きな声で叫んで手を振った。他の人には聞こえないから良いけど、アレスの耳の横で大きな声でエオリカを呼んでいた。

 王太子は踊りながらアレスが手を振っているのに気が付いたようだ。

 ダンスの曲が終わり、王太子が近づいてきた。

「アレス殿下?」と王太子は戸惑った様に声をかけた。

 王太子に声をかけられるまで、アレスは手を振っていたようだ。しまった、と思っても遅かった。その時、アレスの横でシアが口を開いた。

「王太子殿下、あなたの横に憑いている女の人は誰ですか?」

『姫さん!』ヴルが止めたが間に合わなかった。

 相変わらず、シアは興味のあることを見つけると周りが見えなくなる。

「私に女の人が憑いている?」

 王太子は訝しい目でシアを見た。

「エオリカ様と言われる方をご存じですか?」

 シアにこれ以上話させないために、慌ててアレスが口を挟んだ。

 エオリカと聞いて王太子は目を瞠った。

「それは、ルチア、失礼、ルーチェルアーナの母親の名ですが、どうしてエオリカ様のことを?」

 アレスはルチアの子どもなので、エオリカと言う名前を聞いた記憶があるのかも知れないと王太子は考えたようだ。でも、この場でその名前が出てくることを不思議に思った。

 アレスが何も言えず口ごもると、王太子の横でエオリカがにんまりと笑った。

「王太子様の右横にいらっしゃるのです」とシアがこともなげに言う。

「私の右横にエオリカ様が?」

 王太子は驚いて自分の右を見た。

 でも、王太子には何も見えなかった。

 エオリカは自分に向けられた王太子の顔を寂しい目で見ている。

「ここで話しをするのも何ですから、しばらく外に出ませんか?」

 アレスと王太子が話しているのを、フロアーにいた人々が注目しはじめたので、アレスは慌てて場所を変えることを提案した。

 そこへダンスのためにフロアーにいた国王が、騒ぎに気が付いて声をかけてきた。

「アレス何をしておるのだ」

「国王陛下お騒がせして申しわけございません。王太子殿下に母の話を伺おうと思っているところでした。それでここは少し騒がしいので、静かな所でお話出来たらと提案していたところです」

「おお、そうか。申し訳ないがアレスの話しに少し付き合ってくれまいか。早くに母をなくしたものだから知りたいのだろう」

 国王は王太子にアレスの話しに付き合うようお願いをした。国王のお願いを断れない王太子は渋々アレスの提案に乗ることにした。

 何事かと心配して近くまで来ていた王太子妃に国王はダンスを申し込むと、王太子妃をフロアーの中央に連れて行った。

 アレスは国王に感謝して、広間の近くに用意されている休憩用の一室に王太子を招いた。

 アレスとシアの向かいのソファーに腰を下ろした王太子は明らかに困惑していた。

「アレス殿下はルチアの子どもだからエオリカ様の名前を知っていたのだろう?」

「いいえ、私は先ほどまで名前も知りませんでした」

「では、何故エオリカ様と?」

 王太子は眉間に皺をよせた。少し怒っているようだ。

「あなたの右横にいるのです」とアレスが言った。

 エオリカは王太子の横に座って、アレスにっこり笑いかけた。

「またそれか。あいにく私はその手の話しは信じていない」

 王太子は明らかに怒っていた。

 アレスはこの国の王子であり、妹ルチアの子どもでもある。だから怒鳴りたいのを押さえている感じだ。

「そうだ!王太子殿下この薬を試してみませんか?」

 突然シアがポケットから小さな瓶を出した。

「これは?」

 アレスがシアを見る。

「ウルルのノートに書いてあったの。『見えない物が見える薬』」

『またやっかいなもんを作ったなー』とヴルが呆れる。

「シア、それは何でも不味いだろう」

「どうして?信じて貰えないなら、実際に見て貰うしかないじゃない」

「それはそうだけど・・・」

 アレスは困った顔で王太子を見た。いくら何でも妙な薬を飲ませるわけにはいかない。

 ところが、王太子は「これを飲めば、エオリカ様が本当に見えると言うのか?」とシアに尋ねた。

「たぶん、見えて話しも出来るはずだけど・・・」

 シアがそう答えた途端、王太子は瓶を取って飲み干した。

 アレスは止める間も無かった。

 薬を飲んだ王太子はしばらく目を閉じて動かなかった。

 アレスは突然の事に慌てたが、その横でシアは目を輝かせて、薬の効き目を観察するように王太子の状態を確認している。

 王太子はゆっくり目を開けた。そして右横を見た。王太子の目に鮮やかに微笑むエオリカが映った。

「エオリカ様!」

「ルイス!」

 二人の目が合って抱き合おうとしたが、エオリカは実体ではないので二人共空振りをしてしまった。

「本当にエオリカ様なのか?」

「そうよ、ルイス。嬉しいわ。こうしてまたあなたと話しが出来るなんて」

 アレスとシアの存在を忘れたように二人で見つめ合っている。

「コホン」

 アレスがわざとらしい咳をした。

「で、お二人はどういうご関係なんですか?」

 二人は恥ずかしそうにアレスを見て、「私たち愛し合っているのよ」とエオリカが現在進行形で言った。

「では、母の父親は王太子殿下なのですか?」

 二人は同時に頷いた。

『え、うそーっ!』ルーチェが叫ぶ。

「ルーチェ嘘では無いわ」エオリカがルーチェを見て笑った。

「ルーチェって君の精霊の?」

「ええ」とエオリカが頷く。

 王太子はエオリカの視線の先を見たが、どうやらルーチェは見えない様だった。

『私、てっきりあの絵描きの人かと思っていたわ』

「フフフ、あの方も好きだったけれど、あの方と話している内に気が付いたの。私が愛しているのはルイスだって」

「エオリカ様は僕の憧れでした」

 王太子は少年に戻ったような顔でエオリカを見た。

「私も初めてあなたを見た時からあなたの事が好きだったわ」

 ソファーに掛けた王太子にエオリカが寄り添って答える。

「初めて会った時って、王太子殿下がいくつの時ですか?」とアレス。

「私が13歳で王妃として王城に上がったとき、ルイスは3歳だったわ。大人の真似をして、私に忠誠を誓ってくれたの。とっても可愛くて、私はそれからずっとルイスが好きだった」

「エオリカ様は僕とよく遊んでくれました。子どもの頃はただただ好きであなたの後ばかり追っていました。僕はあなたの事がどんどん好きになって、ただの好きが違うものに思えてきたのです。でもあなたは王妃様、僕のこの気持ちは王妃様に対して持ってはいけないものの様な気がして、気がつかないふりをしていました」

「私もそう思っていたの。ウルルの森に行ったとき、隣国の絵描きの青年に会ったわ。とても優しくて良い方だった。この方を好きになれたらルイスの事を忘れることが出来るかも知れないと思った。でも、ダメだったわ」

「エオリカ様が絵描きの方と会われる時は、二人で王城を抜け出してウルルの森に行き、私はいつもエオリカ様が帰ってくるのをウルルの家で待っていました。その時、私は王城で寂しい思いをされているエオリカ様が好きになった人だからと思いながらも、絵描きに会うエオリカ様をモヤモヤした気持ちで見ていました。そんな日々が続いたある日、エオリカ様がウルルに絵描きと別れたと言って涙を流していました。本当はエオリカ様の寂しさを慰めなければと思いつつ、私は喜んでいる自分に気付きました。私はその時初めてエオリカ様に対する自分の気持ちが何なのか確信したのです。でも、それは持ってはいけない思いでした。

 エオリカ様が絵描きと別れた日、ウルルの森から王城に帰る途中で雨が降ってきました。私たちは雨宿りの為に使われていない離宮に立ち寄りました。そこでエオリカ様から絵描きと別れた事情を聞きました。エオリカ様は私を愛しているから、絵描きの手を取れなかったと打ち明けてくれました。私たちはその時初めてお互いの気持ちを確かめ合ったのです。それから私たちは誰にも気付かれないように、恋人同士の逢瀬を重ねました。そして、徐々に関係を深めていきました。父上に対する罪悪感はありましたが、エオリカ様を王妃として扱わない父上の残酷さも許せなかったのです。

 やがてエオリカ様は私の子を身籠もりました。父上は誰の子だとものすごく怒りました。エオリカ様は私に黙っていなさいと言ってくれましたが、私は罰を受ける覚悟で父上に真実を話しました。父上はとても驚いていましたが、子どもが私の子だと分ると、それまでの怒りを静めて、生まれた子どもは自分の子として育てようと言って下さいました。そして、不思議な事にその後もエオリカ様と付き合うことを認めてくれたのです。ただし誰にも気付かれないようにとの注意を受けました。私たちは父上公認で付き合うことを認められたのです。わたしはエオリカ様が子どもを産んですぐに亡くなるなんて思ってもみませんでした。エオリカ様が亡くなった後、しばらくは何も考える事ができませんでした。

 私は父上と同じ髪と目の色をしています。父上は生まれたばかりのルチアを見て私の子と確信したようでした。だからルチアは約束通り王の子として迎えてくれました。でも、周りの人達はルチアが誰の子だろうかと噂をしていました。私はその時14歳でしたので、私がルチアの父と考える人は誰もいませんでした。私はエオリカ様が亡くなったのは自分のせいだと自分をせめて暮らしていました。ルチアの顔を見ると自分の罪のような気がして、本当ならもっと可愛がってあげれば良かったのですが出来ませんでした。ただ、幸せになって欲しいといつも願っていました」

「ルイス、あなたのせいではないわ。私はあなたを本当に愛していたの。あなたの子どもを身籠もったときは嬉しくて、国王からどんな罰でも受けるつもりでいたわ。でも国王は不思議な事に私たちの事を許してくださった。子どもを生んで、自分が死んだと分った時、私は子どもをルーチェに預けて、あなたの側に残ったの。あなたと離れられたくなかった。だからずっとあなたの側にいたの」

「エオリカ様・・・」

「昔みたいにエオリカと呼んで」

「エオリカ」

 また見つめ合って二人だけの世界に入ってしまった。

「コホン、では王太子殿下は私のお爺さまになるのですか?」

 王太子はアレスの顔を見て、「そうだね、君のお爺さんになるね」と笑った。

「私たちが居るとお邪魔でしょうから、外でお待ちしていますので、二人でゆっくりお話をしてください」

 アレスがそう言って、シアを促して立ち上がった。

「薬の効き目は30分程なので、あまり時間は残っていないと思いますが、ごゆっくりしてください」

 シアは王太子に丁寧に挨拶をすると、アレスと共に部屋を出た。


 外の回廊に出ると、パーティのざわめきが聞こえてきた。

「シア、あの様子だと王太子がまた薬を欲しがる気がするけど大丈夫かな?」とアレスがシアの耳元で囁く。

「そうね、あの薬自体は副作用もそれほど無いから何本か渡してもいいわ。でも、限度はあるわね。他に代用できるものがあると良いけれど、帰ってウルルのノートを読んでみるわ」とシアは考えながら小声で答える。

 回廊は声が響く、シアの薬の事は誰にも知られてはいけないものなので、ホントに囁くような声で二人は話していた。話しの内容は恋とはほど遠いものであっても、遠くから見たら恋人同士が顔を寄せあって、恋を囁いているように見えただろう。

「そうだね。でも、ひょんな事で母の出生の秘密が分ったことは良かった」

「あ、それから、あのエオリカ様が王太子殿下に憑いている限り、あの方は大丈夫よ」

「何が?」

「エオリカ様は、亡くなられてはいるけれど、とても強い力を持っているみたい。だから、王太子殿下に災いとなるものは絶対近づけないと思うわ。それに、薬があれば時々顔を見て話すことも出来るから、ますます仲良くなる気がする」

 アレスはそれはそれでどうなのかと思ったが、二人が良いのであれば母も喜んでいるだろうと思うことにした。

 10分ほどして王太子が出て来た。彼の顔が興奮で赤くなっている。

「ありがとう君たち」

 部屋の前にいたアレスとシアを見てお礼を言った。

「いいえ、お礼にはおよびません。ただ、この件はくれぐれも内密でお願いします」とアレスは囁くような声で言った。王太子も声の大きさに気付いたのだろう、急に小声になった。

「わかっているよ。ただ、あの薬をもう少し頂けないだろうか」

 王太子は申し訳なさそうにシアを見た。

「出来ないことはありませんが、今は持っていません。明日であれば用意できると思います」

 シアが事務的に答えると、王太子は嬉しそうな顔をした。

「王太子殿下、エオリカ様の事は絶対人前で見たり話したりしないで下さいね」

 アレスは王太子の顔を見て心配になってきた。この人、本当に約束が守れるのだろうか。そう思って見ていたら、王太子が急に真面目な顔になった。そして、アレスに近寄りいっそう小声になって驚くことを告げた。

「そうそう、アレス殿下。エオリカがグランダル国に来て欲しいと言っていたよ」

「グランダル国に?」

「今は詳しいことは言えないが、私が国に帰った頃来てくれないだろうか」

「そう言われましても、簡単に行けるものではありません」

 王族が他国に行くためには色々手続きが必要になり、よほど緊急でない限り少なくとも三ヶ月は見ないと行けない。

「そうだね。アレス殿下にこれを渡しておくようエオリカに頼まれた」

 王太子がそっと差し出したのは、ウルルから貰ったのと同じような魔方陣の書かれた紙だった。

「この魔方陣が光ったら、内密で来て欲しい」

「光るのですか?」

「これは光の魔方陣だ。エオリカが私の手を通して書いてくれた。君はルチアの子だから通れるとエオリカが言っている」

 アレスは魔方陣の紙を受け取った。

「君が来てくれないと、我がグランダル国はサントス国に浸潤されてしまうかも知れないと、エオリカが言っていた。だから、お願いだ、光ったら必ず来てくれ」

 王太子はアレスにそれだけを告げると、広間に戻っていった。

 アレスとシアは顔を見合わせて王太子の申し出を考えていたが、「アレス、じっとしていても何も分らないわ。前に進むしかないんじゃない」と言うシアの手を取って、音楽が鳴っている広間に戻っていった。


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