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竜の王子と時の姫  作者: てしこ
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時の魔法

 九月に入り、学校が始まる前日に、アレス第一王子とフローレンシア、ジーク第二王子とマーガレットの婚約内定の発表が行われた。

 アレスとジーク両王子の婚約が決まったことにより、どちらを先にお祝いに訪れるかで城の中がざわめいた。

 国王は王太子をまだ決めていなかった。

 幼少期のアレスは呪われていたので、王太子は無理だと思われていた。しかし、国王はアレスが人である間は、人として尊重したいと思っていた。だからアレスが竜に化身するまで、王太子のことは保留にすると決めていた。アレスの呪いのことは秘密とは言え、城中の誰もが知っていた。必然的にジークが王太子になるだろうと誰もが考えていた。

 しかし、アレスの呪いが解けたとき、魔力も知力も優れたアレスを王太子にすべきという者が現れたため、国王は二人がもう少し大きくなるまで様子を見ることにした。その為、王太子を決めずに今日に至っていた。

 ただ大きくなるのを待っているという事でもなく、国王もいろいろ考えているらしい。昨年には二人に執務室を与え、少しずつ国政に関わる事を覚えて貰うようにしていた。

 とりあえず、婚約披露パーティまでは、表だったお祝いはしないようにと、皆に伝えるに留めた。


 新学期が始まった。

 シアは回復魔法と薬草の講義を受けていた。

 シアの回復魔力は普通レベルと評価された。とても強い魔力を秘めているはずなのに、なぜか評価は低かった。シアは初歩から回復魔法を学ぶことになった。

 魔力についての評価は低かったが、薬草の知識は先生が驚くほどだった。薬草の基礎知識は教えなくても大丈夫とのことで、早々に調合の割合やポーションの作り方を習うことになった。シアのすごいところは、一度聞いたり、見たりしたことは、すべて頭に入ってしまう記憶力の良さだった。この記憶力が、魔法になるとあまり生かされないのは不思議だった。


 一週間ほど経った放課後、シアは図書館でアレスを待っていた。

 学校に慣れるまでというより、新学期前の婚約の発表で、入学前から有名人になってしまったシアを心配したアレスが、送り迎えをすることを申し出たのだ。授業が終わったら図書館に行き、魔法に関する本を読みながらアレスを待つことになっていた。

「シア姉様」

 珍しくコーデリアの声がした。

 コーデリアは授業が終わると、おしゃべりする間もなく、ソルレイト家の迎えの馬車に乗って帰ってしまう。コーデリアの声が聞こえるはずはないのにと思って目を上げた。

 シアのすぐ横にコーデリアが立っていた。

「コーデリア、お迎えの馬車が来ないの?」

 何故ここにコーデリアがいるのか分らないシアは、コーデリアに尋ねた。

「ちがいます。今日はシア姉様にお願いがあって来ました」

「私に?」

 コーデリアはシアの隣に座った。

「ソルレイト公爵様が、シア姉様に一度お目に掛りたいとおっしゃっているの」

「ソルレイト公爵様?」

「婚約パーティの時は、お姉様達はフロアーに行かれていたから、ソルレイト公爵様とはお顔会わせ出来なかったでしょう」

「ユリウス様とお部屋に挨拶にいらした方は、ソルレイト公爵様ではないの?」

「あの方は、ユリウス様のお父様で、爵位は継がれないと聞いているわ」

「どうして?」

「よく解らない。なんだかいろいろあるみたい。シア姉様に会いたいと言われているのは、ユリウス様のお爺さまのソルレイト公爵様よ」

「そうなの・・・」

 そこにユリウスとアレスとラウルが現れた。

「あれ、コーデリア」

 ラウルはコーデリアを見て驚いた。

「ラウル?」

 コーデリアはラウルが一緒に現れたのに違和感を感じた。

「コーデリア、馬車が来なかったのか」

 ユリウスが尋ねた。

「いえ、馬車は待たせています。今朝ソルレイト公爵様に、シア姉様と会ってみたいと頼まれました。そのお願いをしていたところです」

 アレスがしまったという顔をした。

「そうか、ソルレイト公爵の所には、まだ挨拶に行っていなかったからな」

「では、今から家に来る?」とユリウスが言った。

「そうだな、そうしよう。ラウル、ブライダム公爵にソルレイト公爵のところに寄るので、帰りが少し遅れると伝えて貰っても良いだろうか」

「はい、アレス殿下、そのようにお伝えします」

 ラウルはアレスの言葉を受けると、軽く礼をして立ち去った。その様子をコーデリアは驚いて見ていた。

「ラウル、どうしちゃったの?」

「ラウルもこれからの進路を考えて、少しずつ勉強を始めたみたいだよ」

 ユリウスはアレスからラウルを側近にした話しを聞いていたが、コーデリアに悟られないように説明した。

「アレス殿下に雇われたの?」

「いや、雇ってないよ。先日の授業で、今後の進路について先生に尋ねられた事があっただろう。その時騎士見習いの話しを聞いて、ラウルがやってみたいと言ってたから、試しに俺の護衛をやってみたら、と言っただけだよ。今は見習い中ってとこかな」とアレス。

「そう・・・」

 コーデリアは訝しげな目でアレスを見た。

「コーデリア、ラウルの事はまたにして、遅くならないうちに出掛けましょう」

 シアが話題を変えるように、コーデリアを促した。

「そうでした。ユリウス様、私はシア姉様と馬車に乗りたいのですが、よろしいですか?」

 コーデリアはユリウスの顔をお願いの目で見上げた。

「いいよ。私はアレスの馬車で後ろから行くとしよう」

「ユリウスは寛大だな」

 アレスが呆れたように言った。

「君は反対なのかい」

「いや、俺もいいけど」

「では、そういうことで、シア嬢、コーデリアと一緒に乗って下さい」

 コーデリアは喜んでシアと一緒に馬車の所に行った。

「私たちも後から行くから、屋敷に着いたら馬車の中で待っていて」

 ユリウスがコーデリアに言った。

「馬車の中で?」

 コーデリアが首を傾げた。

「シアはアレスの婚約者だよ。お爺さまに挨拶するときに一緒にいないとおかしく思うだろう。だからアレスが着くまで待ってあげて」

「でも、お屋敷に着いたら、お爺さまに連絡しないと・・・」

「それは私がするから、心配しないで」

 ユリウスはコーデリアにそう伝えると、馬車を見送った。

 馬車が見えなくなると、二人はアレスの馬車のところに行った。

 アレスの馬車はいつでも出発できるように待っていた。馭者はシアがいないのに気が付くと、アレスに問いかけるように見た。

「シアはコーデリアとソルレイト家の馬車に乗った。俺たちもソルレイト家に行くよ。予定の変更はブライダム公に連絡したから大丈夫だよ」

 アレスはユリウスを先に乗せて、馭者に行き先を告げて乗り込んだ。

 馭者は頷くと、御者台にもどり馬車を走らせた。

「ユリウスは優しいね」

 馬車に揺られながらアレスが言う。

「コーデリアに対してって事」

「そう」

「コーデリアも慣れない環境で頑張っているからね。私だけでも優しくしないとね」

 ユリウスはそう言ってとぼけたが、コーデリアが可愛くて仕方ないのだろう。アレスは突っ込もうと思ったがやめておいた。

「それより、ラウルのあの態度だと、気付かれるのも時間の問題だね」

「そうだね。ラウルは真面目だからね」

「コーデリアがお前の側近になりたいと言ったらどうしよう」

「うーん、俺はどっちでも良いんだけど。あとはユリウスの家の問題でしょう」

「そうなんだよな」

 ユリウスは難しい顔をした。

「俺的には、ユリウスとコーデリアの両方が側近になってくれると嬉しいんだけど。難しいよね」

 アレスが独り言のように、ボソッと呟いた。

 ユリウスは驚いてアレスを見た。アレスはユリウスを見ていなかった。だからユリウスの表情に気付かなかった。

「着いたようだ」とアレスが言った。

 馬車は、コーデリアとシアの乗った馬車の横にピタリと着いた。

 アレスとユリウスは馬車を降りて、コーデリアとシアが降りるのに手を貸した。

 屋敷から執事が迎えに出てきた。

「アレス殿下、お嬢様いらっしゃいませ。ユリウス様、コーデリア様お帰りなさいませ」

「ライス、アレスとフローレンシアを客間に案内して」

 ライスと呼ばれた執事にアレスとシアの案内を任せて、ユリウスとコーデリアは屋敷に入って行った。

「アレス殿下とフローレンシア様はこちらにどうぞ」

 アレスとシアは客間に案内された。

「じきにユリウス様もいらっしゃると思いますので、こちらでしばらくお待ちください」

 丁寧に挨拶をして執事は部屋を後にした。

 しばらく待っていると、ユリウスがソルレイト公爵を案内して部屋に入ってきた。アレスとシアは掛けていた椅子から立ち上がった。

 シアは公爵の顔を見る間もなく淑女の礼をとる。

「アレス殿下、お待たせして申し訳ない」

 ソルレイト公がアレスに声を掛けた。

「いえ、突然伺ってすみません」

「いやいや、私の方から出向かないといけないところを、わざわざ来て頂いて申し訳ないことです」ソルレイト公はアレスと向かい合うと、「アレス殿下ご婚約おめでとうございます」とあらたまって挨拶をした。そして、アレスの横で跪いているシアを見て「そちらのお嬢さんが、ブライダム公が養女にされたという、フローレンシアさんですな。コーデリアのお姉さんと伺っています」

「初めてお目に掛ります。フローレンシア・アリシア・ブライダムと申します」

 シアは丁寧に挨拶をした。

「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。お顔を上げて下さい」

 ソルレイト公は優しくシアに声を掛けた。兄弟だからだろうかブライダム公の声と似ている。

 シアはそっと顔を上げた。

 シアの顔を見たソルレイト公はとても驚いた顔をした。

「失礼、知っている方にとても良く似ていたので、驚いてしまいました」

 シアはまただ、と思った。皆、私の顔を見ると一様に驚いた顔をする。そんなに『アリシア様』に似ているのだろうか。

 ソルレイト公は、隣に立っていたユリウスの耳元に小声で囁いた。

「ユリウス、フィリップをこの部屋に近づけるな」

 ユリウスは驚いて公爵を見た。

「このお嬢さんが帰るまで、絶対に近づけるな」

 ユリウスを見るソルレイト公爵の目には厳しい光があった。ユリウスは何も言わず部屋を出て行った。

「どうかされたのですか?」

 ソルレイト公の不可解な様子にアレスが尋ねた。

「フローレンシアさんが、ある方ととても良く似ていらっしゃるので、用心の為です」

「用心とは?」

「詳しいことはブライダムに聞いて下さい」

 話しにくいことなのだろう、それ以上は聞けない雰囲気だった。

「すみません、怖がらしてしまいましたね。もうすぐコーデリアも来ると思います。どうかゆっくりして下さい」

 ソルレイト公はシアにそう伝えると、アレスに軽く頭を下げて部屋を出て行った。

 しばらくして、コーデリアが侍女にお茶とお菓子を持たせて入ってきた。

「お待たせしました」

 学校とは違うドレス姿のコーデリアは華やいだ感じがした。

「お爺さまが恐い顔をしていらしたけれど、何か有ったの?」

「何も無い」「何も無いわ」

 アレスとシアが被るように否定した。

「まあ、仲のよろしいこと」とコーデリアが笑った。

 この訳のわからない状態にコーデリアを巻き込んではいけないと二人は思った。

 そこへユリウスが戻って来た。

「すまない、お爺さまはどうしたのかな。今度はこの部屋でシアを守れと言われたよ」

「守れって、何から?」

「よく解らないんだ。たぶんお父様から守れと言うことだと思う」

 ユリウスも訳がわからないらしい。

 ソルレイト公爵の子息、ユリウスの父のフィリップには何か事情が有るようだ。

「とりあえずこの部屋の中は安心だから、お茶でも飲んで話しをしよう」

 ユリウスはわざと明るく言った。

 アレスはヴルに周りの警戒を頼むと、ユリウスに負けずに明るく振る舞った。

 四人の共通の話題は学校の事だった。ジーク王子の婚約者のマーガレットが、婚約が決まった途端、態度が変わったということから始まった。

 女子の話だから、アレス達には関係ないと思いきや、二妃が学校の運営に口を出すかも知れないという噂が流れているらしい。マーガレットから学校の話しを聞いた二妃は、生徒会のあり方に疑問を持ったらしい。王立魔法学校の経営は国がしているが、生徒の管理は生徒会が中心になって行われている。生徒による生徒のための運営を生徒会が行ってきた。今の生徒会長はユリウスである。アレスもコーデリアもラウルもマーガレットも生徒会の一員だ。二妃とマーガレットが共謀して権力で運営に口を出すことは阻止せねばならなかった。

 一時間ほど話していると、ノックをしてラウルが入ってきた。ブライダム公爵が直接シアを迎えに来たそうだ。

 なぜブライダム公爵が迎えに?その場の皆が疑問に思った。

 とりあえず、学校の事はまた今度ということで、話しを終わらせた。ブライダム公をあまり待たせてはいけないと、アレスとシアは席を立った。

 部屋を出ると、ソルレイト公とブライダム公が深刻な顔で話しをしていた。

 ブライダム公はシアの顔を見ると、急に表情を和らげて笑顔を見せた。

 ソルレイト公とユリウスとコーデリアが玄関まで見送りに来てくれた。

 お別れの挨拶をしていると、何処からか叫び声が聞こえた。

「アリシア!」

 皆が一斉に声の方を見た。

 庭の先の木立の影に、ユリウスの父フィリップが立っていた。何だか様子がおかしい。

 ブライダム公がシアの手を急いで引いた。

「アリシア、戻って来たんだね」

 フィリップが近づいてくる。

「やめろ!フィリップ。その子はアリシアではない!」

 ソルレイト公が叫ぶ。

「嘘だ!お父さんはいつも嘘をつく」

 シアは近づいてくるフィリップから逃げなければと考えた。このままだとブライダム公に危害が加わるかも知れない。

 シアの前にアレスが立って「早く馬車へ」と言った。

「行かせるものか」

 フィリップが魔法を使ったようだ。強い風が吹いた。

 風が庭の砂や小石を巻き上げる。

 風はシアの周りの人を吹き飛ばした。

 シアの側にいたアレスとブライダム公は、突然の強風で防御する間もなく、一メートルほど飛ばされていた。

「さあ、アリシア、僕の所においで」

 フィリップがシアに近づく。

「止って下さい。私はアリシアではありません」

 シアは近づくフィリップを見ながら後ずさる。 

 徐々に間合いを詰められ、あとわずかで手が届きそうになったとき、

 シアが叫んだ。

「止まれ!」

 その直後、シアの周りの風が止った。そしてフィリップも止った。

 手を伸ばした状態で止ったのだ。

『あーあ、姫さん、時の魔法を発動しよった』

 ヴルが叫んだ。

「時の魔法?」

『そうや、時の魔法や』

 ただならぬ気配に、風に飛ばされて動けなかった者達が、シアの周りに集まった。

「アレス、時の魔法とは?」

 ブライダム公が尋ねた。

『オーガスト国の時の魔法や』ヴルが言うと、

「オーガスト国の時の魔法です」アレスが通訳した。

「まさか・・・」皆が驚いた。

 ヴルが補足する。

『姫さんは、初めて時の魔法を使うたので、いつもなら時の魔法に掛った者は苦痛を感じへんように夢を見させるんや、姫さんはそれがまだ出来へんから、このおっちゃんは周りが見えて聞こえてる状態で、動けへんまま時を過ごすことになる。と時の精霊がゆうとる』

 アレスは、ヴルが時の精霊から聞いた話を皆に教えた。

「時の精霊が私の精霊に教えてくれたのは、シアは初めて時の魔法を使ったので、本来なら止っている間夢を見せて苦痛を感じないようにさせるのだけれど、シアの術が未熟なため、フィリップさんは周りが見えて聞こえている状態で動けないまま時を過ごすことになる。と言っています」

「そんな・・・」ソルレイト公が膝をついた。

「解除する方法は?」

 ユリウスがシアに尋ねる。

 シアはわからないと、困った顔で首を振った。

『使うたこともない魔法を使うたんや。解除の方法がすぐ分るわけないやろ』とヴルが言ったが、アレスはそれは伝えなかった。

「とりあえずここにこのままにしておくわけにはいかない。ユリウス手を貸せ、部屋の中に運ぶぞ」

 ソルレイト公はフィリップを動かそうとした。ユリウスも手を貸したが、重くて運べない。アレスもラウルも手伝った。そうしてようやく部屋の中に入れることが出来た。

 シアはその間じっと黙って見ていた。

 一通りのことが終ると、シアはソルレイト公に謝った。

「申しわけございません。私の未熟な能力によりこんなことになってしまって」

「あなたが気にすることではありません。フィリップが自分で招いた事です。だからそんなに自分を責めないで下さい」

 ソルレイト公は反対にシアを慰めた。

「これは昔、アリシアに横恋慕していて、アリシアが隣国に嫁いだのは、国王の陰謀だと決めつけていたんですよ。あなたの顔を見たとき、フィリップが何かするのではないかと思いました。だから、あなたに会わせないよう気を付けていたのですが・・・。本当に申し訳ない」

「いえ、こちらこそ申しわけございません。今の私ではこの魔法は解くことが出来ません。勉強して必ず解きますので、それまでお待ち頂けますか」

 シアは魔法を解く方法を探すことが、ソルレイト公に詫びることだと思った。

「兄さん、本当にすまないことをした。もっと早くシアの事を知らせていたらこんな事にはならなかった」ブライダム公も謝った。

「いや、悪いのはフィリップだ。こいつはいつも問題ばかり起こす。今回の事は国王陛下にもご報告するつもりだ。その時一緒に行ってくれないか」

「いいとも、これからの事もあるから二人で行こう」

 ソルレイト公とブライダム公は思うところがあるのだろう、しっかりと握手をした。

 しばらくして、ブライダム公とシアは馬車に乗って帰って行った。

 アレスもラウルと一緒に帰ろうとしたが、ユリウスに呼び止められた。

「アレス、私とコーデリアも君の側近として働くことにするよ」

 ユリウスの言葉にソルレイト公爵が驚いた。

「ユリウス!」

「お爺さま、お父様は今回の他にも何か有るのでしょう。それが何か私でもわかります。だから、アレス殿下の側近になることをお許し下さい」

「許すも何も。私はお前がその気であれば応援する。そうすることが、亡くなられた王妃様の為にもなる」

 ソルレイト公爵はユリウスがアレスの側近になることを許した。

「ありがとう、ユリウス。君が俺の側近になってくれて、こんなに心強いことはないよ。これからもよろしく頼む」

 アレスはユリウスとがっちりと握手を交わした。そしてコーデリアを見た。

「コーデリアもユリウスと一緒に俺の元で働いてくれる?」

「ラウルはもうそうしているのでしょう。だったら私もそうします」

 コーデリアはラウルを見た後、アレスに向かって、

「アレス殿下、私を側近に加えて下さり、ありがとうございます」と淑女の礼をした。

 こうして、アレスはユリウスとコーデリアという心強い側近を加えることになった。

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