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オレは魔物じゃねえ!魔法少女だ!  作者: Liaaa


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オレが魔法少女になった日③

※この小説は不定期更新です。


ブックマーク・評価・誤字報告ありがとうございます。


 

 頭を上げると、透明の剣を片手に持った傷だらけの魔法少女がこちらを睨んでいた。

 剣先をこちらに向け油断なく睨んできているあたり誤射の類ではなさそうだ。


「おいおいおい、一般人にそんなの向けんなよ」


 うっすらと笑い、大胆不敵に問いてみるも内心はビビりまくりである。

 齢25歳、平和な世界で生きていたオレが武器を向けられたことなど一度もない。言うなれば先程のゴリラ戦?が人生初の殴り合いかも知れない、そんなレベルである。


「……魔物の消失を確認しました。同時に新たな魔物の出現を確認し、同時に人語を話す知能も確認しました。私だけでは抑えられないと予想します、至急増援をお願いします。………はい、わかりました」


 その魔法少女は片耳に手を当て小声で誰かに話しているようであった。

 艶のある紺色に近い黒髪をおさげにし、服装は青に近い紺色のバトルドレスである。そして魔法少女らしく、フリルをふんだんにあしらったスカートは左足が丸見えになる形状なのか、そこだけ防御力が低い。

 オレに幼女趣味(ロリコン)の気質はなかったと思うが、その足に視線が引かれる以上自分を再認識しなければいけないようだ。


 その魔法少女は片手を耳から離すと、剣を両手に持ち直し、いつでも戦闘を開始できるようにこちらを凝視している。


「……はぁ。なあ、オレもう帰っていい? 今日、幸運やら不幸やらでもう疲れてんだわ」


 肩をすくめてため息を吐くと、彼女は少しばかり目を見開き右足を僅かに後退をさせた。ため息を着くタイミングで目を閉じたように見せたが、うっすらと気づかれない程度に開けていた。流石に背後から斬りかかられた以上、目を閉じるというのは愚策でしかないからだ。そして彼女の二つの反応から、おそらくは驚愕や恐怖だと考えられる。


 こっから予想できるのは一般人が魔物を倒したことによる驚愕に近い感情。または、オレに対する警戒に準ずるモノだろう。


「……質問です、あなたの目的はなんですか」


「ん、オレの目的?」


 先ほどは驚くだけであったのに対し、今度は質問を投げかけてくる。

 しかし、その目はこちらの一挙一動を見逃さないような視線だ。こちらの目だけを見ているようにも見えるが、じっくりと見てみると全身を広く見ている。やはり先程の反応は警戒の類いだろう。そしてふと疑問に思うのがオレはここまで目が良かったのか、という点だ。これは先の戦闘時に出たアドレナリンのパワーということにしておく。


 そして彼女の行動からも疑問が生まれる。

 ただ魔物を倒せた一般人に対するこの反応は過剰ではないか、というものだ。

 確かに魔物を倒せる存在はヒーローか魔法少女に限定されてきた。だが、ヒーローたちが現れる以前は軍が魔物を抑えていたというのは小学生で習う内容だ。であるならば、一般人でも魔物を倒すことができる存在のことを考慮してもいいではなかろうか。


「……? 答えてください、貴方……貴方たちの目的はなんですか」


 どうやら考え事に夢中になっているあまり、彼女を無視しているように感じさせてしまったようだ。

 だが目的か……目的など今は家に帰るだけである。

 それを言ってもおそらく彼女は帰してくれないだろう。そんなのは今までの反応を見てたら誰でもわかることだ。


「目的ね……帰りたいだけだよ。君たちのようにオレも住んでいる家があるからね」


 嘘をついたとしても、詰められたら辻褄が合わなくなってしまう可能性があるため、あえて本当の目的を話てみる。これで帰してくれるなら万々歳だ。だが、帰してくれないなら逃げるだけである。面倒ごとはこれ以上は御免被る。


「家……ですか。 それはどこにありますか?」


 はっきり言って予想外の返答であった。

 なぜに我が家を知りたいのかが理解できない。

 もしや我が家に魔物を倒せる秘訣があると思っているのであろうか。そんなのがあればとっくにお国に献上している、こちらも楓を連れて旅行にいきたいのだ。魔物が減少することで悪いことはない、逆に良いことづくめだ。


「……なんで家を?」


「貴方たちの目的を、秘密を知るためです」


「帰るだけだよ? 目的も秘密なんか何もないよ?」


 それよりも先程から彼女は何を言っているのだろうか。目的やら秘密やら、そんなの帰る意外ないだろう。そして「たち」とはなんだ?彼女から目を離せば斬られそうな勢いのため目を離せないが後ろに誰かいるのだろうか。もしいるのだったら彼女の説得を手伝って欲しい。


 幼い魔法少女に職質される25歳男性ってどんな図よ。

 気がついてないと思っているだろうが、マンションの一室からこちらにスマホ向けてるやつ、肖像権で訴えるぞマジで。


「……チッ」


 おっと、ついイラッとして舌打ちしてしまった。

 それに気がついた彼女がなおさら血走った目でこちらを見ているのだが、どうすればいいのだろうか。

 この舌打ちは確かに申し訳ないと思うけど、あのスマホ向けてるやつどうにかしてくれよ。


 ……マジで、どうしたらいいの? オレ本当に帰りたいだけなんですけど。


 アレか、攻撃された時点で逃げるのがベストアンサーだったのだろうか。

 それだとしたらオレは彼女の警戒度を上げまくってしまっている。今更逃げたところで捕まるだけだろう。


「わかりました、貴方は帰りたい…ですね?」


「そうだよ」


 魔法少女はようやく分かってくれたのか、こちらにそう問いかけてくる。


「そうですか……気になる話も少しはありました。 しかし、情報を吐く気もなさそうですので貴方を討伐します」


「なんでぇ!?」


 彼女は下を見てブツブツ何かを言うといきなりこちらを切り付けてきた。あれか、魔法少女以外が魔物を倒せるようになると大人の事情が絡んじゃう系のやつなのか。まぁ確かに魔法少女たちの給金って税金が使われているって聞いたことあるけどさ。


 それにしても、その……なんというか………遅い。


 先程のゴリラよりかは攻撃に小回りが効いてる分マシだが、児戯に付き合っているようである。手加減されている可能性もある、てか魔法少女に本気を出されるとそれこそ困るのだが。


 そんなことよりも本当に今日はなんなのだろうか、幸運と不幸が重なりすぎだと思う。

 そういえばチャラ男くんは無事だろうか。誰かが救助してくれたり、あるいは無事でいることを願う。


「ふっ! くぅ!」


 当たったら痛そうな剣のような透明なものを避けていると、彼女が苦しげな声を漏らした。

 今考えたら児戯とはいえこんなに避けられたら確かに悔しいだろう。ここは大人として受けてあげるべきだったかもだ、すまないな少女よ察しが悪くて。


 だが児戯といえども相手は魔法少女だ。その攻撃は一味違うかもしれない。

 しかしオレも大人だ、痛いのは嫌だが当たってあげようではないか。もちろん、ただで受ける気はない。


 作戦としては、

 ・蹴られる

 ・吹き飛んであげる

 ・後ろの十字路に素早く駆け込みお家に撤退

 こんなもんだろう。即席にしてはなかなかの完成度でなかろうか。


 しかし、ここでオレの運が試される。

 一つは、蹴って攻撃するか。今のところ彼女は剣をメインにしている。ここでちょうどいいタイミングで蹴ってもらわねばいけないわけだ。

 二つ目はそれなりの威力で蹴ってもらわなければいけない点だ。軽めのキックで遠くまで吹き飛ばされると、彼女が演技だということに気がついてしまうかもしれない。彼女のプライドを守るためにも必要なのだ。








 だがここでもオレの幸運は発動する。


 ほらきた。


閲覧ありがとうございます。


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