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高所恐怖症の鳥ですが、何か?  作者: あどはだり
6/6

5話

更新がかなり遅くなり申し訳ありません。

歩く歩く、鳥の歩みなので遅いが、遅刻するような仕事も待ち合わせもないから急ぐ必要はない。


急ぐ必要はないが、さすがに情報が欲しい。

切実に話が出来る誰かと会いたいと思う。

まぁ、会うのは大兎だけなんだけどね、あいつら会話が出来ないんだよ。

ちなみに追っ払う方法は見つかった。

「むん!」と火を纏い、さらに「はぁぁぁぁぁぁ!」と力を込めると、火が大きくなって威圧出来るんだ、そうすると、逃げていく。

やり方が何となく「オラ、ワクワクすっぞ」の方々ぽくなっているのは、俺のイメージだから仕方がない。


歩いていると、5匹の大兎の群れが現れた。

追っ払ってしまおうと力を込めて火を纏いはじめたところで、風切り音が聞こえてきた。


風切り音が近づき、大兎の1匹に突き刺さる。

『ギュゥ!』

大兎は鳴き声と共に、動かなくなった。

さらに風切り音が聞こえ2匹目も倒れた。

2匹目が倒れた直後に、残りの3匹は逃げ出していった。


倒された大兎をボケ〜っと眺めていたら、『ガサガサ』と近づいてくる気配を感じた。


気配のする方を見ると、革鎧を装備し短弓を背負い、短剣を手に持った金髪、体系は小柄でスレンダー、耳が若干長めの女性が走り寄ってきた。


『今日の獲物はこんなものかな』

「こんにちは」

女性と俺の言葉がほぼ重なってしまった。


女性は突然の声に驚き、周りを見渡したが、声の主が見当たらずキョロキョロしはじめた。


「こっちですよ、お姉さん」

俺は跳ねながら、再度、声をかけた。


俺に気づいた女性は、瞬間的に短弓を構えた。

「待って待って、射らないで」

俺は射線から外れる様に横移動をしながら声を上げた。


『魔物なのに会話が出来るの?』

女性は、構えを解かないまま、質問をしてきた。


「今、話しているから、会話は出来てるね」


『そうね』


「鷲のおっさん(?)には、火鳥って言われたけど、魔物なの?」


『あなた、火鳥なのね。それなら幻獣かな、長く生きてるなら神獣になるけど』


「なるほど。卵からはさっき出てきたから、幻獣でいいと思う。ありがとう、お姉さん」

誤解も解けた様で、ほっとした。


話しながら女性は短弓の構えを解き、呆れながら続けた

『そんなに呑気でいいの?幻獣って珍しいのよ。場合によっては捕らえられて、見世物か売られてしまうわ』


「でも、お姉さんはその気が無い様だけど?」


『わたしには、あなたを見世物にする気は無いわ。大金を手に入れても使い道が無いし』

女性は視線を外し答えた。

何を隠している様だが、問いただして良いものか判断出来なかったため、話題を変える事にした。


「倒した、大兎2匹はどうするの?」


『いけない、忘れてたわ。早く血抜きと解体をしないと』

女性は短剣を取り出し、地面に穴を掘り、大兎の首を切り逆さまにして血抜きをはじめた。

血抜きが終わったら、近場の草の上に置き腹を裂き内臓を取り出し、穴に入れ埋めた。


『本来は、皮も剥がないといけないんだけど、今日はこのまま持って帰るわ』


女性は指笛を吹きはじめた。

しばらくすると、1頭の馬が走り寄ってきた。

馬を撫で、2匹の大兎を縄で縛り、馬にくくりつけた。

馬は慣れているらしく、身動ぎもせずにいた。


せっかく出来た話し相手を逃したく無い俺は頼み込む事にした。

「俺も、乗せていってくれない?」

「ここがどこかもわからないんだ。色々教えてくれるとありがたいんだけど」


女性は、左手で右肘を押さえ、顎に右手の人差し指を付けながら少し考えてから

『いいわよ。でも、あんまり目立たないでね』

と、許可を出した。


『じゃあ、後ろに乗って』

馬の尻側を指さされた。


「飛べないから持ち上げて貰っていいかな?」


『え?』

お前は何を言ってるんだ?と言うような目で見られながら、驚かれた。


「誰も教えてくれないから、飛び方がわからないんだ」

恥ずかしさはあるが、背に腹は変えられないから正直に答えた。


『わかったわ』

そう言いながら、女性は、俺を抱えて馬に乗せた。

「ありがとう、お姉さん」


『大した事じゃないわ』

『では、私の住んでる所へ帰るわ』

女性は馬に跨った。

『よろしくね、ティサージュ』

馬を撫で、手綱を持ち、腹を蹴った。

ティサージュと呼ばれた馬は歩き、そして走りはじめた。


『私の名前は、ティファーナ。あなたは名前はあるの?』


「孵ったばかりで名前はつけて貰ってない。でも、呼ぶのに困るなら、タケルって呼んで」


『わかったわ、タケルね。色々な話は帰ってからにしましょう』

『それから、面倒ごとに巻き込まれたく無いなら、他の人には話しかけたりしない様にね』


「了解、よろしく」

簡単に挨拶をし、ティファーナの住んでいる所へ向かった。


しばらく走ってところで森を抜けて、街道に出た。

そこから更に街道沿いに走り続けた。

道中は特に何も起こらないまま、集落までたどり着いた。


集落自体はそんなに大きくは無く、戸数は20位の規模で、集落の周りは獣の侵入を防ぐ程度の木の柵で囲まれていた。


一軒の厩付きの平屋前でティファーナは馬から降り、そのまま馬を曳いて厩へと向かった。

大兎を下ろして、馬を繋ぎ、撫でながら労った。

『ありがとう、ティサージュ』


俺は、馬の背中から飛び降り、眺めていたら、後ろから声がかけられた。


「おかえりなさい、お嬢」

声の方を見るとティファーナと同種族らしい年配の男性が歩いて近づいてきた。


『ただいま』

『お嬢はやめてって言ってるのに』

ため息をつきながらティファーナが答える。


「我々からすると、お嬢はお嬢ですから」

「今日の獲物は大兎2匹と鳥ですか?」

こちらを見ながら話を続ける。


『獲物は大兎だけよ、皮を剥がないまま帰ってきてしまったわ。ごめんなさい』

『それと、鳥は、私の友人よ』

ティファーナは申し訳なさげに答え、俺を抱き上げ肩に乗せた。


「わかりました。皮剥ぎと残りの解体はやっておきます。肉は後ほど届けますが、素材はいつもの様にします」

『ありがとう。肉はいつもより少しだけ多めにお願いね』

男性が会釈するのを確認した後、ティファーナは俺を肩に乗せたまま家の中へ入っていった。

早めに更新できるように頑張ります。

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