表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高所恐怖症の鳥ですが、何か?  作者: あどはだり
5/6

4話

やっと主人公が動き出しました。

俺の名前は(じん) (たける)、神を尊ぶと書くんだが、神道では無く一般的な仏教徒だ。

熱心な信者では無い、何せ自分が何宗なのかもよくわかって無いからな。

歳は30歳、職業はフリーター、一度は正社員として働いたが給料が低すぎて未来が描けなかったから仕事を辞めてしまった。

学生時代は特にやりたいことも何も見つけられず、惰性で生きてきたからこの様なんだかが、こんな事ならもっと努力しておけば良かったと後悔中だ。


北国生まれ(北の国からのあれでは無い)

冬は寒いが、-20度なんて事はなく、二桁台の寒さはほぼない位の所に在住している。

あぁ雪は降るよ、冬の間はかなり降って毎日雪掻きが必要だ、住みたいと思うなら覚悟をした方がいい、雨と違って流れていかないから、積み重ねて除けて置かないといけない、屋根から落ちた雪が隣家に入ってクレームになることもある。

その雪なんだが、降る、積もるを繰り返して行くと圧縮されて行くんだ、時々晴れると表面が少しだけ溶けて、寒くなると凍る、その繰り返しで2月下旬には家の1階の半分程には積もった状態になる。

子供や、雪が積もらない地域の人にはわからないことらしく、柔らかいと思ったら大間違いでかなり硬い。

なぜ、こんな話をしているかって?

それは、俺が平家の屋根から落ちたからだ。しかも顔面から、柔らかいと思っていたその雪の上にだ。

激痛だよ、しばらく動けなかったからね。

そして高所恐怖症が俺のパッシブスキルとして身についてしまった。

自ら高いところに行けない上に、映像を見ても身が竦んでしまうそんな状態だ。


身長は180cm、体重は75kg

日本人男性の平均身長よりは高いが、大きすぎる程でも無い、うん、普通体系だな。


そして、今

俺は鳥になっている。

鷲のおっさん(?)には火鳥と言われたが、よくわからない。

覚えている外見では無いことはわかっている。

早く誰かに会って話を聞かないと、情報がなさすぎる。


歩きながら森なのか林なのかわからない所を移動中、飛べるかと思って羽ばたいてみたが、跳べるけど飛べなかった、走り幅跳びしているのと変わらない、早く飛べるようになりたい。

でも、高い所は嫌だ。


歩いていると、茂みから「ガサガサ」と音がしていた。

立ち止まり、音のする方がを窺うと、突然灰色の塊がこちら目掛けて突進してきた。


「危なっ!」

跳んで躱し、突進してきた塊を確認すると、大きい兎だった。

「でかい兎だな〜」

眺めていると、またこちらに向かって突進する態勢になった。

「コイツ、俺狙いか」

撃退する手段が何も無い、このまま大兎が諦めるまで、永遠と躱し続けなければいけないのか?

対策を考えながら跳んで躱した。


「あっ!」

力を入れると火を纏える事を思い出し、試してみた。

「むん!」

気合と共に、体全体が火に包まれた。

首を廻して纏っている火の状況を確認し、大兎に向き直る。


大兎は『びくっ』と反応し、見合うような状態になった。

数秒見合った後、突進してきた。


今度は躱すのではなく反撃に移ろうと考え、先程とは跳ぶタイミングを変え嘴で上から突っ込む様にしてみた。

丁度、大兎の頭が通り抜けた背中に当たり、

毛皮を焦がすことに成功した。


『ギュイィィ』

と、熱による痛みなのか大兎は鳴き声をあげた。

毛皮を焦がしたが、倒すまでには至らない。

もう少し貫通力を上げないといけないようだ。

どうする?、どうする?・・・・・・・・

よし、アレだ!

アレでいけるだろう。


再び大兎と向き合い、突進を待つ。


きた

跳ぶ、そして、これだ回転して嘴を突き刺す!

見事に大兎の背中に突き刺さった。


『ギュゥゥゥ』

背中に突き刺さり、そのまま大兎に火が燃え移った。

暴れて、火を消そうともがいてはいるが、全体に燃え広がっている。

嘴が突き刺さった傷と火の影響で大兎は動かなくなった。


「ふぅ。倒したな」

力を抑えて、火を纏うのをやめた。

黒焦げになった大兎を見ながら、これは食べられるのだろうかと疑問に思い、足の爪と嘴で焦げた皮を剥いでいく。

皮を剥ぎ取ったところで確認したが、表面だけが焼けている状態だった。

「生焼けじゃ食えないな、焼いてみるか」

「むん!」

再び、火を纏って肉に近づいてみたが、いっこうに焼ける気配が無かった。

どういう事か悩んで、接触しないと熱が伝わらないのではないか?という考えに至り、嘴を『プスッ!』と刺してみた。

『ジュワ〜』と、音が鳴りはじめて、どんどん火が通って肉が焼けていった。

頃合いを計って嘴を抜き、肉をつまんでみた。

「うん、ただの焼いた肉だ。しかも獣臭くて美味しくない」

次は、倒さず追い払う方法を考えよう、そう思いながら再び、歩きはじめた。

読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ