3話
更新が遅くて申し訳ありません。
「ん?」
突然の浮遊感に気がつく。
『卵があったぞ、転がって動いている。どうする?』
俺のことなんだろうな、やっぱり卵なのか
『ヒビは見当たらない、まだ孵る気配は無いが転がった後に変な音は出た』
俺はここから出たいのだが、変な音ってあれか転がった時の悲鳴だな。
外に聴こえたのか、恥ずかしい。
声が聞こえているなら卵を割ってくれないかな?多分、刷り込みはしないから
『まだ、お宝を手に入れてない『ゴォーーーーーー』ぞ』
お宝?そして何だあの轟音は?
何もわからない状況が続く、そして突然、上下左右に揺れはじめる。
「おい、やめ、あばばばばばば」
そして、揺れがおさまった。
「何なんだよ一体」
『ゴォーーーーーー』
またか?何の音なんだ?
そして若干の浮遊感と共に
『あああああぁぁぁぁぁーー』
絶叫が聞こえ、揺れはじめる。
「あばばばばばば」
大きく上下に揺れたあと停止する、もう勘弁してくれよ。
『クェーーーーーーー』
何の鳴き声なんだ?怖いな、どうなってるのか誰か教えてくれよ。
浮遊感と共に悲鳴が聴こえる。
『あああぁぁぁぁぁ』
おいおいおい、俺はこのまま死ぬのか?
そう思った時、一気に落下して行く感じがした。
例えるならジェットコースターの急激に降る感じがする。
そして、また何かにおちて引っかかる様な音がする。
『バサ、ガサガサガサ』
『バサ、ガサガサガサ』
『バサ、ガサガサガサ』
『バサ、ガサ』
「オェーーーーー!」
「はぁはぁ、やっと止まった、キモチワルイ」
落下した道具袋は木の枝に当たり引っ掛かりながら下へ下へと移動していた。
ボロボロになった道具袋は穴が開いてしまっていた。
その穴から、抜け落ちる。
『コロコロコロ』
「ん?」
『ゴロゴロゴロゴロゴロ』
「アーーーーーーーーーーーー!」
自分の意思では無いのに転がって行く、誰も止めてくれない状況で、どこまでもどこまでも。
転がる状況もやっと終わる時がきた。
『ポチャン』
「ん?水溜り?沼?池?湖?川?何に落ちた?」
ぷかぷか水に漂い、緩やかに流されていく。
「流されているな、川なんだろうな。この揺れは船酔いになるな」
上下に揺れ、時折回転してしまう。
「オェーーーーー!」
気持ちが悪いまま、流されていく。
怒涛の展開に疲れ果て、何時しか意識を失っていた。
川原の石に引っかかるまで、流されるまま一昼夜経っていた。
その引っかかっていた場所に流木が流れてきて、先客にぶち当たる。
『ガツッ!』
岩とぶち当たった流木の衝撃で目が覚める、続いて外殻にヒビが入ってしまった。
『ビキビキビキ!』
「はっ?何だ?殻にヒビが入っているのか、川で流されていたから沈んでしまう。俺は泳げないんだ、溺れてしまう」
慌てて脱出を試みる。
ここ最近の結果から、ヒビが入ったからといって簡単に脱出できるとは思わず、全力で挑んだ。
「オラァーーーーーーー!」
『パカッ!!!』
「えっ???」
簡単に脱出できてしまった、しかも勢いが余ってしまっているため、自分の体勢が崩れてしまい、水にのまれてしまう。
「ガボガボガボガボ」
溺れる、溺れる、土左衛門になりたく無い。
必死にもがいた。
「ボウズ、そこは浅瀬だぞ」
「え?」
周りを見ると川原の川岸だった。
バタバタとばたつかせていた、
手足を止め、落ち着き払って立ち上がる。
声の主を見ると、一羽の鷲に似た鳥がいた。
なぜ鳥の声が判別出来ているのか気にはなったが、まずはお礼を言わなければと思い
「ありがとうございます」
顔から火が出る程、赤面しながら頭を下げて答えると
「ボウズは火鳥か?火が出てるぞ」
え?何を言ってるんだ、この鳥はと思いながら、水面をみると頭から火が出ている鳥の顔が映っていた...
「燃えている...」
ヤバイ、焼き鳥になってしまう
「水水水みずぅぅぅ!!」
勢い良く川の水に頭を突っ込んで見たが消えない。
「消えない!消えない!焼け死ぬーーー!」
水に何度も頭を突っ込んでいると。
「待て待てボウズ!」
「ボウズ自身が出している火だから、自身は燃えないぞ。そして水じゃ消えないぞ、力を抑えるんだ」
「え?力を抑える?」
「そうだ、ボウズの力が顕現しているだけだから、力を抑えることで引っ込むさ」
「力を抑えるね、むーん」
教えてもらった情報で何とか火よ小さくなれと思いながら力を抜いた。
火が小さくなり、やがて消えた。
「おぉ、出来た、ありがとうございます」
再び、頭を下げる。
「礼はいらん、ボウズは今後、我等の頂点に立つ種族だからな、当然のことだ」
また、知らないことが出てきた
「頂点の種族って、どういうこと?」
「我々、全ての鳥系の頂点ってことだ」
「今はボウズの親が頂点だが、何百年後にはボウズになるだろう」
「ふ〜ん」
いきなり将来のことを話されたが、親、頂点、何百年後と言われてもいまいちピンとこなかったため、中途半端な返事をしてしまった。
実際、この状態になる前の親しか知らないし、寿命なんて80年位しか無いのが普通だったしね。
俺の返事が余裕がある様に聞こえたようで
「ボウズは大物になるな」
「大きくなれよ、じゃあな」
笑いながら、飛んでいった。
独りになり、見ず知らずの場所にいることを思い出したか、肝心の色々教えてくれそうな
鳥や人がいない。
まぁ鳥なので人と話せるかどうかは不明だが、それは試す機会があればやってみようと思う。
考えが落ち着いたところで周囲を見渡すが、ここがどこかもわからない。
川があって、川原があって、林なのか森なのかわからないが木が生い茂っているだけだ。
うん、ここに居座っても何も始まらないな、森なのか林なのかわからないが、道がないから突っ切ってみるか。
ん?鳥なら飛んで行かないのかって?
人間だった俺が鳥になったからっていきなり飛べるわけないだろ。
誰かが飛び方を教えてくれるなら別だけどね。
では、いざ行かん。未知との遭遇に向かって。
やっと、主人公が自力で移動できるようになりました。
まだ名前は出てきませんが、もうしばらくお待ち下さい。