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第三百五十八話 カズキ、再び暴走する

「・・・・・・おい。カズキの奴、邪神を倒しちまったぞ? 封印するんじゃなかったのか?」

「ええ、その筈だったんだけど・・・・・・。何か思いついたのかしらね?」


 【ホーリーシェル】の中でカズキの様子を伺っていたクリルとエルザは、突然消えたドクズ・サイトウが何故か邪神と融合。直後にカズキに倒されたのを見て、困惑の表情を浮かべた。


「まあカズキに聞けばわかる事か。って、ん?」

「どうしたの?」

「いや、カズキの様子が・・・・・・」


 クリスの言葉にエルザがそちらに視線を向けると、眩暈がしているのか体をふらつかせ、今にも倒れそうなカズキの姿があった。


「カズキ!」

 

 慌てたエルザが【ホーリーシェル】を解くと、即座に駆け出したクリスが地面に激突する寸前だったカズキを受けとめる。


「どうした!」


 そして、状況を理解するために端的な問いを発すると、


「ちょー眠い・・・・・・」


 と答えて目を目を閉じてしまった。


「不眠不休で丸一日戦ってた所に、魔力を尋常じゃなく消費する魔法を使ったのが原因ね。魔力枯渇寸前の状態に陥った事で、体が休みを求めているんだわ。話は後で聞く事にして、今は休ませてあげましょう」

「そうだな。なら、封印の魔法があった遺跡でいいか」


 カズキ同様、丸一日戦っていた二人。彼らもカズキが眠ってしまった事で緊張の糸が切れたのか、頻繁にあくびを繰り返しながら件の遺跡に移ると、やはり疲れからか早々に寝入ってしまった。




「ナンシー!」


 泥のように眠る事半日。目覚めたカズキは開口一番、ナンシーの名を叫んだ。

 眠りにつく直前に【テレポート】を試したのは、偏にナンシーの元へ一刻も早く帰りたいという気持ちからだった。

 先に起きていたエルザやクリスはそんな事情を知らなかったが、道中で禁断症状が出ていたのを見ているだけに、起きてすぐにカズキが叫んだ事には驚きはない。


「今帰るぞーーーーーーーーーー!」


 だが、起きたと同時に魔法を発動して砂の船を造り、問答無用で移動を開始するとは思っていなかった。


「この調子じゃ、ランスリードに戻るまでどうやって邪神を倒したのか聞けないな」

「『邪神と魔法で融合させた後、目に見えなくなる程にすり潰して、念入りに燃やし尽くした』。辛うじてこれは聞き出せたけど、肝心の『どうやって邪神とドクズ・サイトウを融合させたのか』はそのとおりね。その前にオアシスの砦に寄って、邪神を倒した事を報告しないといけないんだけど、どうすればカズキを説得できるかしら」

「・・・・・・そこは最悪、物理で」


 こうして決死の覚悟を決めたクリスだったが、幸いなことにエルザの説得(ナンシーに会う前に倒れたら、余計に会うのが遅れるわよ)が功を奏し、一行はオアシスの砦に邪神討伐の報告をする事が出来たのだった。

 

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