第三百五十八話 カズキ、棚ぼたで邪神を倒す
「・・・・・・おろ?」
間違いなく発動した【テレポート】。その結果を見たカズキは、どこかの流浪人みたいな声を出した。というのも――、
「邪神は何処行った?」
と、カズキが疑問に思ったように、転移先には邪神の姿はなく、ドクズ・サイトウだけがその場にいたのである。
「・・・・・・なんだ!? この湧き上がる力は!?」
だが、程なくしてその疑問は解けた。カズキの実験台になったドクズ・サイトウが、
「わかる! わかるぞ! この歴代最強の勇者、ドクズ・サイトウ様は! 宿敵である邪神を取り込み! 究極にして至高の存在になったのだ!」
と声高々に叫んだからだ。
「どうやら奴の言う事は本当みたいだな。・・・・・・理由は分からないが」
カズキはドクズ・サイトウの外見が全体的に黒っぽくなってるのだけを見て、そう判断した。
邪神もドクズ・サイトウもカズキから見れば雑魚なので、そこしか違いが分からなかったからだ。
元々実力差が隔絶しているので、1+1が2になったところで大して脅威に思えなかったのがその理由である。
「まあそれは置いといて、問題は【テレポート】の方だ。間違えて転移先に何かがあった場合、あんな風に融合してしまうのなら、もう少し考えないといけないな。何か思いつくまでは、使用を控えるとするか」
こうして初の試みであった【テレポート】の魔法の開発は、一時凍結される事になった。そうなると残っているのは、邪神の封印だけである。
そう思ってドクズ・サイトウ+邪神の方を見ると、何故か剣を拾い上げているところだった。
「ククク・・・・・・。ここでお前達三人を始末すれば、邪神を討伐した功績は俺様だけの物になる! 更に言えば、俺様が邪神を取り込んだ事を知る者もいなくなるという訳だ! その手始めにまずガキ! お前から血祭りに上げてやる! この俺様の存在を進化させた功績に報いる為、念入りに嬲り殺してくれるわ!」
「うるせえ」
何故か三人に勝てると思い込んでいるドクズ・サイトウの言葉をたった一言で斬り捨てたカズキは、飛び回る蝿を振り払う様な感覚で【ゲイボルグ】を叩きこむ。すると――
「ギャアアアアアア!」
今まで魔法が効かなかったのが嘘の様に、至極あっさりと竜巻で出来た槍はドクズ・サイトウ+邪神をすり潰した。
「おお、魔法が効いた。成程、こうするのが正解だったのか。すり潰されたのに悲鳴が聞こえてくるのはちょっとしたホラーだけど」
カズキはそう言うと、汚物は消毒とばかりに追加で【レーヴァテイン】を発動。これによって完全に灰になったドクズ・サイトウ+邪神は、一度目の滅びを迎えたのである。




