第三百十五話 カズキ、勇者の酷さを知る
「国内での魔物の出現数が、邪神復活前と変わらない程度に戻ったと報告があった」
クリス、エルザ、カズキの三人がランスリード国内を転戦し、邪神が復活してから発生したと思われる魔物の上位種、エンペラーとクイーンを討伐し続けた結果、ジュリアンが言うように魔物の出現数が落ち着いた。
まあ厳密に言えば、一部の弱い魔物は今も出現頻度は高いままなのだが、それは敢えて放置している状況である。何故ならば、その魔物は食料になるからだ。
「この件の切っ掛けなったサハギンを倒してから三ヶ月経っているけど、エンペラーとクイーンは再出現していないとの報告がリーザからあったわ。その後のオークも同様だし、他の魔物もそう。まだ断言はできないけど、一度倒せばエンペラーとクイーンは再出現しないと考えても良いと思うわ」
ジュリアンに続いて発言したのはソフィア。当初危惧していた、クイーンとエンペラーのおかわりが無い事に安堵したのか、その表情は明るい。
「じゃあこれからは、国外での活動がメインになるのね。予定通り、隣国のザイム王国から始めればいいの?」
「いや、アークバ王国に向かってくれ。ザイム王国には第ニ騎士団を派遣する」
エルザの問いに答えたはジュリアンだった。
「それは構わないけど、どうして?」
「魔物の群れが現れていない地域の村や町が賊に襲撃され、占領されているから助けてくれと『次元ポスト』で連絡が来た。それらの村や町はいずれも豊かな穀倉地帯らしく、このままだと今年の冬は大丈夫でも、来年には国全体が干上がる可能性が高いらしい」
「小さい村ならともかく、穀倉地帯の町ならそれなりに兵士や騎士がいる筈よね? なのに賊に占領されたって事は・・・・・・」
「恐らく勇者だろうな」
「そんな・・・・・・」
話には聞いていたが、この緊急事態に邪神と戦う事を考えもせず、本来庇護するべき町や村を襲った勇者という存在に、カズキが呻き声を上げる。
「気持ちは解るがこれが現実だ。我が国にも勇者寄りの考え方をする貴族や商人がいて、そいつらは騎士団の足を引っ張る事も平気でする。何故ならば、それが自分の利益になるからだ」
「だからと言って・・・・・・」
「勿論、奴らに好き勝手させるつもりはない。勇者とその取り巻きには然るべき報いを受けてもらう」
取り巻きは兎も角、勇者をどうにか出来る存在は少ない。だがジュリアンには秘策があった。
それは勇者を圧倒できるクリス、カズキ、エルザの三人に勇者を捕獲させ、邪神と戦う時に武器として利用する事。
勇者による攻撃で邪神にダメージを与えつつ、容赦のない扱いをする三人に対する恐怖を植え付け、【死に戻り】しても行動に躊躇するように仕向けるという、一石二鳥の策だった。
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カクヨム様の方で一話先行で投稿していますので、続きを早く読みたい方はそちらをチェックしてみてください。




