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殲滅

「もう、あいつの言うこととか信用できまセン! レンジを助けるつもりとか最初からなかったはずデス! 私はもう勝手にさせてもらいまス!!」


「あ! 待って! 勝手なことしないで!!」


アリーネさんは完全に頭に血を上らせた状態で姿を消した。転移したんだ。たぶん、残りの怪物を倒しに行ったんだろうなと察せられた。怪物を倒せば僕の癌を治してくれるという話も嘘だと判断したんじゃないかな。


僕達が動き回れば動き回るほど被害は広がるけど、だからといって何もしなければあの怪物が結局は人間を滅ぼす。たとえ被害を出してでも怪物を殲滅するべきだという、いかにも軍人らしい判断だということか。そして判断したらためらわない。


僕にはもはや、彼女を止めることはできなかった。


「アリーネ…っ!!」


吉佐倉よざくらさんが悔しそうに声を上げる。吉佐倉さんの気持ちも分かる気はする。アリーネさんが怪物退治の為に動き回ればそれだけ確実に衝撃波による被害も出るから。


どちらを選べば正解なのか、そもそも正解なんてあるのか、僕には分からない。


ただ、何かとんでもないことが起こってると察したらしいみほちゃんとシェリーちゃんとエレーンさんが不安そうに寄り添い合って僕達を見てるのが辛かった。あの子達にも何もしてあげられない自分が情けなかった。


『目の前で不安がってる子供達さえ守ってあげられないのか……!』


零れる涙を拭うこともままならない。唇を噛みしめるしかできない。


すると、みほちゃんが近付いてきて、タオルを手にして涙をそっと拭いてくれた。


「泣かないで。わるいのはコヨミだから。おじさんはわるくないから」


どこまで事情を察してるのか分からないけど、彼女はそう言って僕を励まそうとしてくれた。たった六歳の子が、ただ単に守られているだけじゃなくて、こうやって僕の心を守ろうとしてくれてる……


そうだ……子供にだってそのくらいできたりするんだ。


『この子達を一方的に守ろうだなんて、僕は思い上がっていたのかもしれない……この子達だって不安な気持ちと一生懸命闘っていたんだ……!』


事ここに至って、遅すぎるかもしれないけど、僕はようやく決心した。


「みほちゃん…吉佐倉さんを呼んできて……あ、それからこれからは走ったりするのは禁止。動くときはゆっくりとして……お願いできるかな……」


たぶん、今さら気休めでしかないと思うけど、ゆっくり動くことで少しでも被害を小さくしたいと思った。


「うん、わかった…!」


みほちゃんなりに何かを察してたんだろうな。素直にそう頷いてくれたのだった。



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