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アリーネ・エンデ・カシキの嘆息 その2

「グランパはなんであんな人と結婚したの? いちいちごちゃごちゃと煩いあんな人と!」


そう詰め寄る私を、祖父は悲しそうな目で見ました。


「前にも話したが、彼女は私の命の恩人なんだよ。捕虜収容所でアメーバ赤痢を患った私を、彼女は献身的に介護してくれた。彼女がいなければ私はここにいなかっただろう。


アリーネ。君が真面目で敬虔な神の子であることを私は疑っていない。しかし、もう少し広い視野を持つべきだろう。神は決して狂信を求めてはいらっしゃらない。そして、私にそのことを教えてくれたのも、彼女なのだ」


祖父はそう言うものの、それさえ私に言わせれば、


「グランパはあの人に洗脳されてるんじゃないの!?」


って感じでした。


それを見ていた父が、


「アリーネ! グランパに向かってなんてこと言うんだ!」


と怒鳴りながら私の頬をひっぱたきました。


私にはそれも納得できませんでした。神の御心を理解しているのは私の方で、それに従ってるのも私のはずです。非難されるべきは祖父母の方であって、私ではない筈だと思いました。


しかし不満はあっても、当時の私は自立できるだけの力もありませんでしたので仕方なく家にいましたが、それでも常にこのような家からは出て行くことを望んでいました。


その為には軍に志願するのが一番と考え、全て自分で準備をしてハイスクールを卒業と同時に軍に入隊しました。


軍での訓練は大変厳しく、あれこれ考えてる暇もありませんでした。いえ、考える余裕もないほど毎日が過酷で、訓練が終わると倒れるようにして寝ました。


でも、それだけに充実していたと思います。


ごちゃごちゃ考える前に神の御心のままに動く。人間はこれでいいんです。




なのに、軍に入ってから私は自分の認識とは意外なほど違っていることを知りました。


私は、危険があれば先制攻撃することこそが国や市民の安全を守る為には必要なことだと思っていたんですが、現在の軍事的な対応と、実際の<国際常識>としての戦闘行為について教わった時、実は<先制攻撃>は国際的に禁じられた行為なのだそうです。相手から攻撃があって初めて反撃が認められるのだと。


『それでは被害が出てしまう』


と思った私でしたが、実際の軍の記録には、<被害を防ぐ為の先制攻撃>に意味が無いことを知らされたのです。


攻撃を仕掛けた方は、殆どの場合で反撃を受け、被害を出しています。最初の一撃だけで相手を黙らせることがいかに困難なことも知りました


そして先制攻撃を行った方は世界的に非難の的となり、国際的な不利益を被るということでした。



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