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吉佐倉綾乃の独白 その3

私が好きだった先生がいなくなってからのクラスは、しばらくは学級崩壊の状態が続いたけど、それもいつしか収まってた。


だけど、私は完全にクラスの全体から無視され、それどころか他のクラスの子にまでそうするように言いふらされたのか、進級してクラスが変わっても、やっぱり無視された。


それは小学校を卒業するまで続き、中学に入って他の小学校から来た子らはその辺の事情を知らなかったからか、普通に話しかけてくれて友達になってくれた。


その中の一人の子が特に私に優しくしてくれて、いつしか先生が急にいなくなったっていう心の傷もその子が癒してくれて、本当に自然に、そうなるのが当然って感じで私はその子と付き合うようになっていった。


彼女も、男よりは女の子が好きな子だったから。


思えばこの頃が、人生で一番幸せだったかな。お互いの親が出掛けてて留守の時なんか、それぞれの家に行って自然とお互いの全てを求めるようになって。何度も肌を重ねたりもしてたんだ。


彼女の肌はとてもすべすべで柔らかくてしっとりしてて、私は夢中になってた。


だけど、彼女は勉強は苦手で、学校も嫌いで、学年が進むごとに休みがちになり、三年の三学期以降にはそれこそほとんど来なくなってしまった。


どうやら彼女は、両親から精神的な虐待を受けてたみたい。私も薄々は気付いてたから彼女を癒そうと頑張ったつもりだった。


でも、中学を卒業し、私は高校へと進学しても、彼女は高校を受験することさえせずに突然家出して、それ以来、行方もしれない。


噂では、中学の同級生の子が東北のある県に帰省した時に彼女を見かけたらしいけど、派手な化粧をして、それ以上に派手な化粧をした水商売風の女性と腕を組んで歩いてたって話だった。


そうして初めての<恋人>も失った私は、高校ではそのショックを忘れようとしたのもあって親と会話する時間も惜しんで真面目に勉強に打ち込んで、クラスの子らが浮かれた話をしてるのにも関わることなく、おかげでそれなりの大学に進み、新しい<恋人>とも出逢えた。もちろんその恋人も女性だ。


これまでの苦労が実を結んだのか、新しい恋人とは上手くいってた。でもそこに、叔父が癌になったって連絡が届いて、私も一応はそのお見合いに行ったりもした。でもそこで見たのは、もう手の施しようのないくらいに癌が進行してしまって後は死を迎えるだけになった家族を持つ家庭の壮絶な葛藤だった。


病室で、叔父の前では笑顔で接してた義理の叔母や従妹は、病院から出ると取り乱して、私にまで当たり散らしたのだった。



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