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吉佐倉綾乃の独白 その2

当時の私は、何故自分が無視されないといけないのか分からなかった。私はあくまで先生に言われた通りにして、クラスをまとめようと、みんなで真面目に勉強できるように頑張ってきただけの筈だったのに。


「みんなちゃんとしてよ!」


先生が教室に来て教壇に立ってるのに、みんなは全然席につかなくて、勝手なことばっかりやってて、「静かにしなさい、授業始めますよ!」って先生が言っても言うこと聞かなくて、だから私が注意したんだ。なのにその時のみんなの目。


今から思い出してもゾッとするくらい冷たい目だった。


本当なら私の方が正しい筈だよね? 学校で授業を真面目に受けるのは当たり前でしょ? それなのにどうして私や先生の方が責められるの?


私が好きだった先生がまだいた頃からもう基本的には無視され始めてたけど、それでもまだ時々は話し掛けられたこともあったある時、クラスで割と何人もといつもつるんでる女子が言った。


「先生にエコヒイキしてもらってるからって調子乗らないで!」


仲間を従えて、いかにも『自分の方が正しいことを言ってます』みたいな態度がすごく気に障って、私も言い返してた。


「調子にとか乗ってない! 私はみんながちゃんとしてないから注意してるだけでしょ!」


って。


そうだよ。私はちゃんとしてる。ちゃんとしてないのはみんなの方だよ。だよね、先生?


正しいのは先生の言うとおりにして、先生の言うことも聞かないで授業を妨害してる子達を注意してる私の方の筈だと信じて、『正しい者はいつか勝つ』って信じて、私はそれに耐えた。


しかもそうしてれば、先生は私に優しくしてくれた。放課後、学年室に呼ばれて、他の子達が邪魔をして授業が遅れ気味なのを丁寧に補ってくれた。


それだけじゃない。先生は、


吉佐倉よざくらさんは優しいね。本当にいい子ね…」


って言いながら私のことを抱き締めてくれて、体も撫でてくれたんだ。それがすごく気持ち良くて、嬉しくて。


最初は服の上から。でもいつの頃からか先生の手が服の中まで入ってくるようになって、直接私の肌に触れる温かい先生の手がまた気持ち良くて、ふわっとした気分になるのを感じてて、敏感なところに触れてくるのも何の疑問も持たずに受け入れてた。


先生の手がそうやって私の体をやわやわと撫でてくれると、クラスの子らに無視されてるのとか、嫌なことを言われるのとかも平気になった。


だから、先生が私の顎に手を添えて上を向かせてそっと唇を触れさせてきた時だって、逆に嬉しくてドキドキした。


そして先生は言った。


「私が、吉佐倉さんのことを守るからね。ちゃんと守るからね」


って言ってくれたんだ。


それなのに……


ある日、先生は来なくなった。代わりの先生が来て、


「みなさんの担任だった釈埴しゃくじき先生は、事情があって他の学校に移ることになりました。急なことですが、しばらくの間は私が代理の担任になります」


とか言って……


そんな……



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