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現実

白人女性の首に怪物の触手が半分以上食い込んでいるのを見て僕は体が震えるのを感じた。もう完全にその女性は助からないと直感的に悟ったからだ。


「残念だったな。ハーレムに加えられなくて」


クォ=ヨ=ムイの言葉が、手遅れだったことを裏付けていた。


ここまではどこか緊張感に乏しい、アトラクションのような感覚がなかったと言えば嘘になる感じだったけれど、これが紛れもなく人の命がかかった現実なんだということが改めて思い知らされた気もする。


ただ、だからといってここで僕が取り乱すと、あまり事情を分かってなさそうなみほちゃんがショックを受けそうだから、僕は敢えて平然としてるふりをした。


そんな僕をクォ=ヨームイがニヤニヤと意味深な笑みを浮かべながら見てた。


『くそっ…!』


なんて心の中で吐き棄てると、それを読んだのかクォ=ヨ=ムイはますますイヤらしい笑みを浮かべる。


僕が苛立ってることそのものが面白いんだろうな。


気にするだけ無駄だと割り切るしかない。


次に移動した先は、有名なマーライオンが見えるからシンガポールか。ここでも観光客らしい人波の中に一つ目の怪物が現れていた。しかも、三人、さっきの白人女性と同じように首に触手が食い込んでいる。


『く……またか……』


動揺しそうになる自分を抑えて、怪物を払い除ける。


「なんだお前、ハーレム要員は要らないのか? さっきから手遅れな奴ばっかり片付けて」


「いいから黙っててください。俺が引き受けたんだから俺のやり方でやらせてもらいます…!」


明らかにわざと癇に障る言い方をしてくるクォ=ヨ=ムイに対して、つい刺々しい言い方をしてしまった。ハッとなってみほちゃんを見ると、また怯えたような表情になってる。


「ごめんね。忙しくてイライラしちゃってたね。でもみほちゃんが悪い訳じゃないからね」


なるべく優しい言い方を心掛けて、みほちゃんの頭をそっと撫でる。すると彼女も少しだけ安心したような顔をしてくれた。


それからも、オーストラリア(例のオペラハウスが見えた)、ドイツ(国旗が上がってた)、インド(建物の感じからそう思ったが、もしかしたらネパールかも?)、アフリカのどこか(黒人ばっかりだったからたぶん)、中東のどこか(砂漠が迫ってたのといかにもな服装から)、ドバイ(ブルジュ・ハリファが見えたからきっと)、ハワイ(雰囲気でそう感じただけ。ひょっとしてグアム?)、北欧っぽいどこか(完全に雰囲気だけでそう思った)を、体感では一時間ほどで回ったのだった。


正直どれも手遅れだったけどね……



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