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遅れると

とにかく、クォ=ヨ=ムイの言う<敵>とやらをさっさと片付けてこの訳の分からない状況から僕はさっさと抜け出したかった。この<みほちゃん>だってこのままにしておけないし。


「移動についても既にお前の脳にインストールしてある。分かるはずだ。どうすればいいのかが」


分かるはずと言われても困るものの、実際に何故か分かってしまう。目的の場所に歩くような感覚で、僕は次の場所に向かった。


映画とかの場面展開のように突然景色が変わる。今度は東京駅の前だった。人混みの中に、さっきのと同じ一つ目の怪物がいて、周囲の人達に触手を伸ばそうとしてた。


でもさっきのよりは現れたのが遅かったのか、人の体に届きそうなほどじゃない。なるほど、こいつらも全てが完璧に同じタイミングで現れた訳じゃないから、少し出遅れた奴もいるってことか。僕はすっとそいつに近付いていって、今度は遠慮なく斜めにひっぱたくような感じで手の平を叩きつけた。


と言ってもやっぱり手応えらしい手応えもなく、スモークを扇いだみたいにくるりと渦を巻いて霧散した。とても<戦い>なんて言えるようなものじゃない。本当に害虫を手で追い払ってるような感じだ。


チートと言えばあまりにもチートすぎるな。むしろ慣れてきたら退屈になってきてしまいそうだ。


クォ=ヨ=ムイが言う。


「ふん。今回は女がいなくて残念だったな」


言われて気が付いた。確かに今回の奴の周りにいたのは男性サラリーマンばかりだった。でも僕はハーレムなんか期待してやってる訳じゃない。


気を遣わなくちゃいけなさそうだし、むしろ迷惑だよ。


「迷惑だとか言われると、ますますやってみたくなるなあ、<ハーレム>」


とか、本当にどこまで性格が悪いんだこの<自称神様>。


なんて、クォ=ヨ=ムイに対して苛立っても無駄だと割り切りつつ、僕は頭の中に次の<敵>を思い浮かべた。するとやっぱり、人が危険に曝されてる度合いがそれぞれ違うのが分かる。


だから特に差し迫ってるのから片付けることにした。


今度のは……凱旋門が見えるから、パリか? ここ。


「わあ、がいじんさんばっかり」


みほちゃんが驚いたみたいに声を上げた。でもその感じはどこか楽しんでるようにも聞こえて、実際彼女の表情もどことなく明るいものになってる気がする。


子供だから、まるでアニメとかのようなこの状況を楽しみ始めているのかもしれない。


でもまあ、泣き叫んだりされても困るから、楽しんでる分には別にいいか。


凱旋門が見える通りに現れた<一つ目の怪物>を同じように手で掃うように退治した。


だけど……


怪物の触手が、近くにいた白人女性の首の半分辺りまで食い込んでるのが分かってしまった。


『そうか……遅れるとこうなるんだ』



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