光陰矢の如し。されど見た目は変わらず
とりあえず一つの山は越えたということで、今日は、ユウカとガゼとメジェレナとレルゼーの四人でアイアンブルーム亭で簡単な打ち上げということになった。
「さあ、今日はうちからもご奉仕させてもらうよ。じゃんじゃん食べてね!」
ラフタスが上機嫌に笑顔を浮かべながら料理を次々と運んでくる。定番の回鍋肉を始めとして、唐揚げやサイコロステーキやパスタやサラダ等々。さすがに四人で食べ切るには無理があるのでは?という量が運ばれ、メジェレナとレルゼーにはビールも振る舞われた。
ユウカもガゼも年齢としては十分に大人だがどうも酒は好きになれなくていまだに飲まないようにはしていたから、ノンアルコールの甘いシャンパン風ドリンクではある。
「かんぱ~い!」
まずは四人で乾杯してパーティーが始まると、いつの間にやらちゃっかりとアイアンブルーム亭の常連たちが紛れ込み、料理までつまんでいたりもした。しかしこれもここでのいつもの光景だ。楽しいことはみんなで分かち合う。どんどん振る舞う。だから自分もご相伴に与れるそういうことなのだ。どっちが得とか損とか細かいことは気にしない。楽しければそれでいい。それが秘訣であった。
本当に気持ちのいい時間だった。ここに来るまではこんな風にして他人と関わり合いになることなんてありえないと思っていた。なのにそれは今では当たり前になっている。
ここに来てもう十三年ほど。単純な年齢で言えばユウカも二十七歳。地球でなら妙齢と言っていい年齢だろう。しかしその辺りではいまだに何の実感もない、自分だけじゃなく周囲の誰も年齢を感じさせるような変化がないから当然かもしれないが、今でも気分的には十四歳当時のままである。
まあそれもそうだ。相変わらず幼い少女の姿をしているガゼはもう三十七歳だし、メジェレナは二千歳以上(正確な年齢は自分でも分からない)だし、レルゼーに至ってはもはや天文学的な数字になる。ラフタスもアーキも、外見上は二十に届くかどうかだというのに実年齢は数百歳で十人以上の子持ちだ。
そういうのが身近に当たり前にいては、年齢に拘れという方が無理というものかもしれない。
だから、ポルネリッカに依頼した作詞の仕事の納期百九十八日なども、あっという間に過ぎて行く。そして、ユウカの下にポルネリッカから完成した詞が届けられたのは、納期を二日後に控えた百九十六日目のことであった。
それを手にし、黙って読み上げていく彼女の目からは涙が溢れ、止まらなかったのだった。




