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ヘルミVSカハ=レルゼルブゥア…?

「そいつは邪神だ。人間が勝てるとか思ってんのかバカが!」


カハ=レルゼルブゥアを相手に決死の一撃を浴びせようとしていたガゼを、ヘルミが一喝した。それにより体の中で練り上げていた力がまとまりを失い、ガゼは攻撃に移るきっかけを失ってしまったのだった。しかも、自分が正対していた相手が『邪神』と聞いて、全身にいっそう冷たい汗が噴き出してくるのを感じていた。彼女の惑星せかいでも、邪神の脅威は魂にまで刻み込まれるほどに知られていたのである。


言葉も出せずにカハ=レルゼルブゥアを見上げるガゼにはもう構わず、ヘルミが声を発した。


「久しぶりだな…」


それに、ここまで一言も発してこなかったカハ=レルゼルブゥアが呟くように「お前か…」と応える。


『え?、なに?、お知り合い…?』


状況が理解出来ず混乱するユウカの前で、今度はヘルミとカハ=レルゼルブゥアとの間で緊張感が高まっていくのを感じた。それを見てユウカもアーシェスが言っていたことを思い出す。『ヘルミの惑星ほしでは、邪神に対抗するために強い魔法使いを育てようとしてたの』という話を。だとしたら、邪神のことをよく知ってても当然かもしれないし、邪神に対する強い感情も当然かもしれない。


しかし―――――。


あのバーで見た光景を思い出すと、いくらヘルミが魔法使いだとしてもとても勝てる相手だとは思えなかった。魔法を使える程度の人間が敵うような存在だとは思えなかったのだ。そしてそれは事実だった。魔法だろうと科学だろうと、邪神そのものを滅ぼそうとして成功した事例は一つとしてなかったのだ。せいぜい、封印して一時的に退けるくらいである。


もう、ガラスのように手で触れられそうなくらいに硬く張り詰めた空気に亀裂が入りそうな気がした瞬間、ユウカの体が勝手に動いていた。


「だめえっ!、ヘルミさん死んじゃうっっ!!」


自分でも気付かぬうちにそう叫んで、彼女はヘルミに抱きつくようにして止めようとしたのだった。実はガゼの時にもそうなりかけたが、その寸前にヘルミが割り込んできたのである。


「ムリだよぉ…、ヘルミさん死んじゃうよぉ……。もうやめてよぉ……」


ユウカは、ヘルミの体に抱きついたまま泣いていた。幼い子供が駄々をこねるように何度も何度も懇願しながら。その様子を例の無機質な顔で見ていたカハ=レルゼルブゥアが、静かに声を発した。


「心配要らない…、彼女は、私のバンドの元メンバーだから……」


「……はい…?」


カハ=レルゼルブゥアが発したあまりに思いがけない言葉に、ユウカもガゼも、呆然とするしかできなかったのだった。


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