表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/200

ガゼの決意

この<書庫>に凶悪な犯罪者はほとんどいない。しかしそれはあくまで<ほとんど>ということであって決してゼロということではない。法律と呼べるものがないのでそういう意味では犯罪と言えるものがなく故に犯罪者もいないという理論上のからくりではなく本当に犯罪行為自体が少ないものの、狂暴な奴も数は少なくとも存在はするのだった。そういう意味では、ヘルミもその一人だろう。


しかしこの時、ガゼの前にいたそいつは、そういうレベルを超えていた。粗暴とか喧嘩っ早いとかそんな次元ではない。テロリストか、それ以上の存在である。少なくとも、ガゼはそう認識した。


ガゼが元いた惑星せかいは、組織同士、地域同士、国家同士の諍いが絶えないところだった。その為、その星の人間たちは幼い頃から戦う術を叩きこまれ、その結果としてガゼのような特異な才能を発揮する者を生み出すこともあった。そう、ガゼの能力の高さは、彼女の世界でも異能と呼べるほどのものだった。だがそのガゼをもってしてもまるで敵わないと思わせる存在が、危険でないはずがない。


それでも、彼女はユウカを守りたかった。幼い姿にはあまりに不釣り合いな力を持ってしまったのは、まさにこういう時のためのものだとも思った。結果として敵わないかも知れないが、それでも最後まで足掻いて見せてやる。彼女はそう自らに言い聞かせ、挫けそうになる自分を奮い立たせた。


だが、ガゼの決意は立派ではあっても、いかんせん相手が悪すぎる。ガゼは知らなかったが、相手は邪神の一柱なのだ。人間がどれほど足掻こうとも歯牙にもかけない、まるで次元の違う存在なのだ。


にも拘らず、ガゼは自身の小さな体の中で力を練り上げ、己の全てを叩き付ける機会を窺った。じりじりと間合いを詰めていく。


が、彼女が練り上げた力を解放しようとしたその瞬間、その声は掛けられた。


「待て!、やめろ!。無駄死にしたいか!!」


それは、体だけでなく魂にまで叩き付けるかのような喝だった。ガゼの体がビクンっと跳ね、動きが止まる。ユウカに至っては、腰まで抜かしそうになっていた。二人が思わずその声の方に振り向くと、そこにいたのは、荒んだ目つきをしてこちらを睨み付ける、棘だらけの鋲付きジャケットを羽織った女だった。


「…ヘルミ…さん…?」


ユウカがほとんど無意識にその名を口にした。


そう。そこにいたのは紛れもなく、ユウカと同じアパートの三号室に住む、ヘルミッショ・ネルズビーイングァであったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ