ガゼとメジェレナ。宿命のライバル。とまで言ったら大げさか
ガゼと二人でアニメを見ていると、またドアがコンコンとノックされた。すでにユウカは、そのノックの仕方で誰なのかが分かるようになっていた。メジェレナだ。
「は~い、開いてます~」
そう声を掛けると、やはりメジェレナだった。しかしその顔は、どこか緊張感をはらみ、見た目通りの少し怖そうな人という印象になっていた。そして、そんな彼女と同じように緊張感を漂わせてる者がいた。ガゼだった。明らかにお互いに不穏な空気を発しているのが分かる。
どうもこの二人、あまり相性が良くないらしい。そしてその原因はユウカのようだった。ユウカ自身が何かをしたわけではない。平たく言えば双方共に、ユウカと親しい相手に嫉妬しているのだ。
「毎日毎日、ちょっと迷惑というものを考えたらどうかな?」
そうメジェレナがジャブを繰り出すと、ガゼも負けじと、
「そういうあなたこそ別にアニメにはそんなに興味ないのにお邪魔するとか、空気読めないんじゃないですか?」
という、恒例の応酬が始まった。最初の頃はユウカもおろおろとしたりしてアーシェスや他の住人たちに仲裁してもらったりしていたが、あまりにも毎度のことなので、さすがに慣れてしまっていたのだった。だから、
「もう、聞こえないよ!」
と、二人の声がうるさくてアニメの音声が聞き取れないことを諫めるくらいのことはできるようになっていた。二人もシュンとしょげかえって、
「ごめんなさい…」
と一緒に頭を下げた。
そう、この二人は本当に仲が悪い訳ではない。親しくはなくても、恨みとか憎しみとかは無いのだ。ただお互いに自分がユウカの一番の友達だと思っているだけである。
だが、やっぱりヤキモチは妬いてしまう。だから決して慣れ合うことはしなかった。ユウカもそんな二人を『困ったな』と思いつつも、そこまで想ってくれることに対しては心のどこかで感謝したいとも感じていた。だって、そのおかげで一人暮らしでもぜんぜん寂しくなかったのだから。
ちなみに、メジェレナは二千年も引きこもっていたので、当然、ガゼより年齢は圧倒的に上である。しかし外で仕事をしていた経験についてはわずかだがガゼが上だったりする。そのせいもあって精神的にはどっちが上という感じはなかった。口もガゼの方が達者だったりもする。
しかしこういう人間関係も、ユウカにとっては地球では考えられなかった。部活の仲間でさえここまであけっぴろげな感じでは接することができてなかった。それが今ではこの調子なのだから、本当に変われば変わるものだと言えたのだった。




