今夜からは一人です
少なくとも今の様子を見る限りではここでの生活を楽しみ始めたユウカに、アーシェスはホッとするものを感じていた。
ここに来たことは、ユウカにとっては救いになってるのかもしれないとも感じた。だから言った。
「私、家に帰って大丈夫かな?」
いずれはこういう時が来るだろうとユウカも分かっていた。結婚してるのにご主人を差し置いてアーシェスを独占するようなことしてしまってて申し訳なくも思っていた。そして、
「はい、大丈夫です」
と明るく応えられた。実際、こうしてアニメを見てられれば気も紛れるし、アパートの住人の人たちにも優しい人がいる。そう思えばそんなに寂しくなかった。
「じゃあ、お言葉に甘えて帰るね。でも明日はまたリサイクルショップに一緒に行こう。電子レンジとかもいるでしょ?」
確かに、冷凍食品があるから電子レンジは欲しいところだと思っていた。あと、トースター。以前は朝食はトーストだったから、そっちの方が慣れているし手軽だし。出来ればノートパソコンのようなものも欲しい。電話は、そんなに急がないからそれは別でもいいかと思った。
「あ、いいよいいよ、ここで。じゃ、また明日」
アパートの外まで見送りに出ようと立ち上がったユウカに対してそう言って手を振りながら部屋を出て行くアーシェスを見送り、ユウカの一人暮らしが本格的に始まりを告げたのだった。
しかし今はそれよりもアニメが気になっていたのが正直なところだった。でも、別の惑星に出稼ぎに行ったきり連絡が途絶えた母親を探す為に男の子が一人で旅をするというアニメが始まったところで、ユウカはシャワーを浴びることにした。
その種の話は胸が苦しくなるから苦手だった。だからその間にシャワーを浴びようと思ったのだ。
シャワーから上がってもまだ終わってなかったから、リモコンを操作して番組表を見た。すると、アニメは大体四時間ごとに同じ内容を繰り返してることが分かった。これならずっと見てなくてもいいから助かる。アニメが気になって仕事にも行けないとなったら困るし。
ついでにEIpodを繋げればネットも見られるというのを試してみようと思った。ケーブルはテレビと一緒に箱に入っていた。USBケーブルのように差し込むだけで済み、しかもこれ一本でデータも画像も音声も通信もすべて行うという便利なものだった。だからユウカでも誰にも説明されなくても簡単に接続できた。
リモコンで画面を切り替えると、見慣れた感じだが文字はやはり初めて見るページが表示されたのだった。




