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メジェレナの過去

洗濯が終わるのを待っていると、メジェレナが洗濯カゴを持ってコインランドリーに入ってきた。ユウカがいるとこに気付くと、メジェレナが「こ、こんばんは」と声を掛けてくれた。


照明の下でもやはり褐色の肌によるものかよく分からなかったが、メジェレナは確かに顔が赤くなっていた。ユウカを意識してるのだということに、勘のいい人間なら気付くだろうが、残念ながらユウカには伝わらなかった。


「こんばんは」と、さすがに慣れてきたからか笑顔さえ浮かべて挨拶を返した。その様子に特に変化はなかった。メジェレナのことは単に親切で優しいお隣さんと認識してるのが分かる。


とは言え、メジェレナのそれが恋愛感情などを示唆したものかと問われればそれは必ずしもそうとは限らないので、ユウカが気付かずにスルーしてくれるなら、そのうち落ち着くと思われた。


事実、少し落ち着くとメジェレナも加わって三人で普通に会話ができた。それは、メジェレナがここに来ることになったきっかけの話だった。


彼女がここに来てから二千年も引きこもっていたのは、彼女が元いた世界でひどい適応障害を起こして引きこもり、それを周囲から責められたことにより自ら命を絶ったからであった。アーシェスやヘルミのそれに比べれば些細にも思えることかもしれないが、それでもメジェレナにとっては辛く苦しい過去だった。ここに来た時にもすぐには馴染めず部屋に引きこもり、何度も命を断とうとしたがそれも叶わず、飢えて死のうともしたがそれすら叶わず、以前に八号室に住んでいた年配の女性に食事の面倒を見てもらいつつ、二千年もの時間を無為に過ごしてしまったのだった。


しかし、メジェレナが長い引きこもり生活からようやく少しずつ外に出られるようになりやがて仕事を見付けると、その女性は『旅に出る』と言ってこのアパートを出て行ってしまったのである。また、その女性がどうしてメジェレナをそこまで気にかけたのかと言えば、実は女性自身がメジェレナがそうしたように自ら命を絶つ形で娘を失った過去があったからだった。その後、女性も娘の後を追う形で自ら命を絶ち、そしてここに来たのだ。


だが、娘の姿はここにはなかった。それに打ちひしがれていた女性の前に、メジェレナが現れたという訳だ。だから救えなかった娘の代わりにと、メジェレナのことを気にかけたのだろう。やがて立ち直った彼女を見て、娘もどこかに転送されているかもしれないと考えて、それを探す旅に出たというのが経緯いきさつだった。実際、ここではそういうことはたまにあるのだから。


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