残念、お風呂入れませんでした
しかし、歓迎してもらえたとは言ってもやはり人前で裸になるのは抵抗があった。とは言え、アーシェスはすでに服を脱いで待ってるし、今さら逃げられないと諦めかけたその時、彼女は自分の体に違和感を感じたのだった。もっとも、彼女にとってはある意味で慣れ親しんだ違和感ではあったが。
『来ちゃった…!』
月経だった。ここに来た時からもうそろそろだと思っていたが、急激な環境の変化のせいか少し遅れていたらしいのが今になって始まってしまったのだ。しかし皮肉な話ではあるが、これで入浴を断る大義名分が出来たことにユウカは正直言ってホッとしていた。
「そう…、じゃあ、仕方ないわね。ここで待ってて。私、入ってくるから」
耳元で小声で事情を打ち明けると、アーシェスは残念そうに小さく笑顔を浮かべながらそう言った。その表情に、ユウカも少しだけ胸が痛むのを感じた。
そんなやり取りを見ていた番台のマリオンが察してユウカに向かって手招きした。そして、
「これ、紙ショーツ。トイレはそっちだから、替えてきたらいいよ」
と、小さめの声で言ってくれた。
「ありがとうございます」
ユウカは使い捨ての紙ショーツとそれに隠されるように一緒に渡されたナプキンを受け取りながらトイレに向かった。中で確認してみるとシェルミから貰った生理ショーツが汚れていた。それを脱いで、ナプキンを貼り付けた紙ショーツに穿き替えた。生理ショーツは仕方なく小さくたたんでポケットに入れた。帰ってから洗うしかない。
何とも言えない複雑な気分で脱衣所に戻ったユウカは、そこにあったソファーに腰掛けて「はあ…」と小さく溜息を吐いた。
少々強引だった気もしたけれど、アーシェスもなるべく早くここの暮らしに慣れてほしくてそういう行動に出たんだと彼女にも分かった気がした。だからアーシェスに対して少し申し訳ない気持ちにもなってしまっていたのだった。
そういう気持ちも抱えつつユウカは何気なく目の前の光景を見ていた。そこには本当にいろいろな体形やプロポーションの女性がいた。地球人しかいないそこよりはるかにいろいろだった。そのせいか、不思議と恥ずかしさも感じなかった。中には地球人のそれに近い体をしている女性もいたが、何故かそういうのも他のに紛れてしまって気にならなかった。
彼女が同性の前であっても裸になるのが恥ずかしいのは、無意識に自分の体を他人のそれと比べてしまうからだろう。しかしここでは比べるべき同種の女性がほとんどいないのだ。比べたくとも比べられないのである。
『これだったらあんまり恥ずかしくないかも…』
ユウカはそう考え、次に来れた時にはちゃんとお風呂に入ってもいいかもと思ったのだった。




