マリオン・ミリーア。銀河湯店主
表情一つ変えず淡々とハードコアな本の検品をこなすタミネルに対し、リルはその印象通りに奔放な性格なため、刺激の強い本などを見る度に驚いたり感心したりニヤニヤした表情を見せていた。
その様子に気付いてユウカが思わずリルの方を見ると、彼女が手にしていた本の表紙が目に入り、ユウカは慌てて目を逸らした。どういう本なのかは表紙を見ただけですぐに分かった。なにしろほぼ全裸に近い女性の写真が大きく載っていたのだ。
『そっか、本屋さんだもんね…』
焦りながらも自分にそう言い聞かせて、とにかく仕事をこなそうと努めた。タミネルはそんなユウカの様子に気付いていたが、仕事に集中してもらえるなら問題ないと敢えて何も言わなかった。
そんな感じでちょっと戸惑うことはありつつも、今日も仕事を終えられたユウカは、今日の分のお給金を受け取って、店の前で待っていたアーシェスと合流し、アパートの方へと歩きだした。
だがその時、アーシェスが言った。
「今日は、銭湯に寄ってから帰ろ?」
突然の提案に、ユウカは「え!?」と思わず声を上げた。
『銭湯って、お風呂屋さんのこと…?。私、お風呂屋さんってちょっと…』
そんな思考が頭をよぎる。しかしアーシェスはそれにはお構いなしという感じで、
「下着とかの替えもどうせ買わないといけなかったでしょ?。ランジェリーショップに寄って替えの下着を買って夕食にして銭湯行くよ」
と今までで一番強引な感じでランジェリーショップへユウカを連れて行き、パッと目に着いた可愛らしいブラとショーツのセットを、サイズは店員の目測に任せてしかももてなしということで代金はサービスしてもらって、次にイタリアンレストランっぽいレストランでピザを食べてこちらももてなされて、最後にこれまた昔懐かしい感じのいかにも銭湯といった風情の建物の前に来ていたのだった。
「タオルとか石鹸とかシャンプーは中で売ってるから。まあとにかくおいでよ」
どうして急にこんなに強引になったのか理解出来ないまま、ユウカは引っ張られて中に入った。
「いらっしゃい」
番台に座っていたのは、四つの目を持つ若そうな見た目の女性だった。
「あら、アーシェス。久しぶり。ということはその子、新しい子?」
「そうよ、イシワキユウカ。ユウカって呼んであげて」
「よろしくお願いします」
ユウカが頭を下げると、番台の女性はにっこりと微笑んで、
「ようこそ銀河湯へ。私はここの主のマリオン・ミリーア。今日はお代はいいからゆっくりしていってね」
と、歓迎してくれたのであった。




