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ヘルミの過去

ユウカと一緒に彼女の部屋に戻ったアーシェスは、「回鍋肉いただくね」と言って冷蔵庫からタッパーを取りだし中身をフライパンにあけ、コンロの火にかけ温め始めた。ユウカはテーブルに着いてそんなアーシェスを黙って見ているしかできなかった。するとアーシェスが静かに語り始めた。


「さっきも言ったけど、ヘルミは信頼していた人に裏切られて命を落としてここに来たの。だからあんなに気持ちが荒んでしまってるんだっていうのは私にも分かる…」


「……」


「彼女はね、昔は魔法使いだったんだよ」


「…ま、魔法使い…?。ヘルミさんが…?」


言われてみればあの部屋のおどろおどろしい雰囲気とか、イメージが無いというわけではないが、それでもどうにも結びつかなかった。ユウカの思う魔法使いと言えば、世界的に有名なあの映画か、もしくはアニメに出てくるような魔法少女が真っ先に頭に浮かぶからだ。


そんなユウカをよそに、アーシェスは言葉を続ける。


「彼女の惑星ほしの魔法使いというのは、クォ=ヨ=ムイのような邪神に対抗するために強い魔法使いを育てようとしてたの。でもそれが行き過ぎて、魔法使い同士で殺し合いをして生き延びた者をさらに鍛え上げるっていうことまでしてたの」


そこまで言われて、ユウカは思わず息を呑んだ。自分が思っていたものとはかなり違っているように感じたからだ。


魔法使い同士で殺し合い…?。そう思った時、ユウカの頭にハッとひらめくものがあった。


「まさか、魔法使い同士でって…?」


そう問い掛けたユウカに、振り返ったアーシェスが静かに頷いた。


「そうよ…。ヘルミは、魔法使い同士の殺し合いで殺されたの。しかも、彼女が信頼し、守りたいと思った人にね…」


「……!」


ユウカは言葉もなかった。そんなことがあったのなら、あの様子も無理ないと思ってしまった。アーシェスはさらに続けた。


「ヘルミはその人を守って戦った。その人はすごく優しくてとても戦いには向いてない人だったから。彼女はその人を守りたかった。でも…」


「……」


「でも、それは全て、その人の狙いだったのね…。優しくて思いやりがあってってすれば自分を守ってくれる人が現れるっていう狙いだったの。そしてヘルミは完全にそれに乗せられてしまった。その人を守って戦い抜いて二人だけになったヘルミはホッとして、その人に抱かれて眠ってしまったの。だけど、彼女はそのまま永遠の眠りにつかされて、それでここに来たのよ。しかも、そのことを彼女も知ってる。命が尽きる直前、一瞬だけ意識が戻って全てを察してしまったから……」


それを聞かされたユウカの目に、涙が光っていたのだった。


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