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焼き魚定食、六百五十ダール。ご飯おかわり自由

昼からの仕事も順調にこなして、ユウカは今日も自分の役目を果たすことができた。それがなんだか嬉しくて、ほんの少しだけど誇らしいような気持ちにもなれた。


「はい、今日の分のお給金」


ハルマから給金を渡されて、「ありがとうございます」とやっぱり頭を下げていた。自分にはまだこうするのが自然なんだと彼女は思った。


店を出ると、そこにはアーシェスが待っていてくれた。どうやら用件は無事に終わったようだった。


「お疲れ様。このまま帰る?。それとも夕食でも食べてから帰る?」


そう聞かれてユウカの頭に浮かんだのは、アイアンブルーム亭だった。あの気持ちいい夫婦のお店になんだか無性に行きたいと思った。


「ラフタスさんのお店に寄っていいですか?」


その言葉に、アーシェスも嬉しそうに微笑んで「もちろん」と応えてくれた。そして二人でアイアンブルーム亭へとそのまま向かったのだった。


「いらっしゃい!。あ、ユウカちゃん、来てくれたんだ。ありがとう!」


ニレアラフタスがユウカの顔を見るなり、満面の笑みになった。


「どうぞ座って座って、今日はもううちのおごりだよ。何でも頼んで!」


ユウカとアーシェスを席に座らせながら明るく笑う。その笑顔がユウカにはまぶしく思えた。


「え、と、じゃあ、焼き魚定食でお願いします」


パッと目に着いたメニューの中にあったそれを頼むと、ニレアラフタスが少し驚いた様子で、


「おおう、若いのに渋いところ攻めてくるねえ」


と言ったあとすぐ、


「よっしゃ、焼き魚定食いっちょう~!」


と、ネルアーキに向かって声を上げた。それに対してネルアーキも、「おう」と短く応えてさっそく作業に取り掛かる。続けてアーシェスは「私は今日は冷奴定食で行こうかな」と慣れた感じで注文した。


「あいよ~!」


ニレアラフタスの元気な受け答えに、ユウカは思わず頬が緩むのを感じた。『素敵な人だな』と改めて思った。それから店の中をちらりと見まわすと、今日も他にも何組かお客がいた。が、昨日いた常連らしき酔客は、若干時間が早かったからか見当たらなくて少し胸を撫で下ろした。あのノリは彼女にはまだ早かったようだ。


しばらくして焼き魚定食が出てきてから、昨日の回鍋肉がまだ冷蔵庫に残っていることを思い出してしまった。でも今さら食べない訳にもいかず、冷奴定食を前にしたアーシェスと一緒に、ちゃんといただいた。ご飯はおかわり自由だったがおかわりはしなかった。


「今日はうちのおごりだよ~。また来てね~」


そう言って見送られた後、アパートへ戻る途中でアーシェスが言った。


「まだもうちょっと食べられそうだから、帰ってから昨日の回鍋肉を温め直してもらっていい?」


その言葉にユウカも、「はい!」と元気に答えられたのだった。


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