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もし他の地域に出掛ける時は、食中毒にご注意を

「お昼は各自、お弁当を持参するか近所のお店でランチをとったりしてもらってます。今日は初めてなのでユウカさんには僕から唐揚げ弁当を奢らせていただこうと思ったんですが、それでいいですか?」


ハルマがそう言いながら出してきたのは、確かに唐揚げ弁当だった。アイアンブルーム亭の回鍋肉もそうだったが、なぜこんなに地球の料理が普通に出てくるのか、ちょっと不思議だった。


だがそれ自体は、実はそんなに珍しいことではなかった。他の惑星にもそれぞれ似たような料理が存在し、そういうものが合わさってそれっぽい料理になっているだけで、最も近い料理名があてがわれているだけなのである。だから厳密には、唐揚げ弁当に似た別の料理とも言えるのだが、味も触感も、使われている食材も、唐揚げ弁当と言って差し支えないものなので、そんなに神経質になる必要はないだけなのだ。


しかも、それぞれが住んでいる地域は、姿形だけでなく生態的だったり体質的だったりが近いものが振り分けられているため、食べられるものもそれほど違わないというのもある。そうでないと、ある種族にとっては必須の栄養成分が他の種族にとっての猛毒だったりするので、死ぬことはなくても大変な食中毒を起こしたりする場合もあるのだ。他の地域に出掛けたりする場合には気を付けないといけない注意点だった。


もっともそれも、特に危険な場合には、言語が自動翻訳されるのと同じように『これは食べられない』という直感が働くので、本来ならそれに素直に従えばいいのだが、たまに敢えてそういう感覚を無視するのがいて事故になったりするのである。


まあそういう注意事項もありつつも、ユウカのここでの生活はおおむね順調と言えるだろう。穏やかな笑顔を浮かべているハルマに見守られながら、彼女は昼食をいただいた。今日はハルマからのもてなしということだったが、明日からは自分で用意する必要が出てくる。…かもしれない。と言うのも、彼女が来たばかりと知れば誰かがもてなしてくれるので、当面、食べるには困らないはずだ。要はこの近所の店を巡って、行く先々でもてなしてもらえばいいのだから。


ただ、ユウカ自身があまりそういう風に積極的に『来たばかり』だということをアピールできる性分じゃないので、必ず気付いてもらえるわけでもないだろうが。


しかし、その辺の損得もそんなに気にしても意味はないとも言える。ここでは損も得もないのだ。損をしたからと言って死ぬわけでもないし、得をしたからと言って何か素晴らしい恩恵にあずかれるわけでもない。程々に頑張って程々に楽しむ。結局それがここでの人生を楽に生きるコツなのであった。


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