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初めての外食へGO

生まれて初めて仕事をして、生まれて初めてのお給金をもらって、ユウカはほんの少しだけ自分が大きくなったような感覚を覚えていた。


「これはユウカが自分の力で稼いだお金だよ。自分のために使ったらいい」


アーシェスに言われて、ユウカはお金が入った封筒を再び手に取った。何に使えばいいのか今はまだ思い付かなかった。世間ではこういう時の美談として両親にお礼の品とか考えるのだろうが、今の彼女にその両親はいない。アーシェスにお返ししようとしたらそれは必要ないと言われた。他の住人達へのお返しも必要ないということだった。彼女らは彼女らで、ここに来た当時に誰かから同じようにしてもらったのだ。彼女らの方こそ、ユウカをもてなすことでその恩を返した形になるのだから。だからユウカも、次に新しい誰かが来た時にそれを返せばいいのである。


「お腹減ったね。そうだ。もしよかったら、そのお金で何か食べに行こうか?」


「あ、そうですね!」


アーシェスの提案に、ユウカは目を輝かせた。実に格好の使い道が見付かった気がした。そう、お金とは本来、自らが生活する為に使うものだ。その当たり前のことを彼女はまだ教わってなかったのだった。


「あ、メジェレナ、おかえり」


二人でアパートを出ようとした時、仕事から帰ってきたメジェレナとばったり会って、アーシェスが声を掛けた。


「た、ただいま」


少しはにかんだ感じでメジェレナが応える。その様子に、ユウカも「こんばんは」と自然に声が出た。すると、ユウカの顔を見たメジェレナがますます照れくさそうに視線を泳がせた。褐色の肌とすでに日も暮れた暗さのせいで分かりにくいが、どうやら顔が赤くなっているようだ。しかしアーシェスはそれに気付きながらも敢えてそのことには触れず、思い付いたように言った。


「これからユウカと夕食に行くんだけど、良かったらメジェレナも行かない?。あなたの分は私が出すからさ」


その提案に、メジェレナは戸惑いながらも、


「う、うん、分かった」


と応じた。そのやり取りを見てユウカは、『可愛い女性ひとだな』と思った。見た目は、褐色の肌でピンクの髪を逆立てた、爬虫類を思わせる縦長の瞳孔を持つ金色の瞳がややきつい印象を与える外見だったが、その中身はすごくあどけない感じの大人しい『おんなのこ』だというのがよく分かった。だから思わず微笑んでしまってた。


そんなユウカを見たメジェレナが、さらに顔を赤くするのにアーシェスは気付いて、クスっという感じで小さく笑った。


そして三人で、近所の食堂へと向かったのであった。


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