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ハールマリオン・ポルテルナ・メルテ、書店店長

ただ冷凍チャーハンをフライパンで温めただけの、とても料理とも言えないようなものではあったが、ユウカは初めて自分で食べるものを用意して、少し気分が高揚していた。そのせいか、とても美味しく感じられたのだった。


「美味しい…!」


と思わず声を出して、アーシェスはそれを微笑ましげに見ていた。


だが、そうやって腹ごしらえが終われば今度は仕事探しである。


「さ、いよいよここで暮らしていくための本番だよ。とりあえず、私の心当たりから行ってみよう」


そう促されて、ユウカは身が引き締まるのを感じていた。


アーシェスに従うように歩き、今度は本屋らしき店に来た。


「やあ、アーシェス、元気そうだね」


彼女の顔を見るなり、店員と思しき男性が声を掛けてきた。細身の眼鏡をかけ、痩せ型で背の高い、尖った耳を持ち緑がかった長髪を後ろでまとめた、いかにも普段から本ばかり読んでそうな印象の若い男性だった。


「こんにちは、ハルマ」


と答えながら、アーシェスがユウカに向けて手を差し出し、ハルマと呼んだ彼に向かって紹介した。


「この子が、昨日連絡したユウカ。あなたと同じで大人しい子だから、まずはここでと思ってね」


それに合わせてユウカも頭を下げて、


石脇佑香いしわきゆうかです。よろしくお願いします」


と少しオドオドした感じながらも自分で声を出して挨拶できた。そんなユウカに向かってハルマは、


「僕はハールマリオン・ポルテルナ・メルテ。この書店の店長だよ」


『え?、店長さん…!?』


声には出さなかったが、ユウカは心の中で思わずそう驚いていた。せいぜい大学生くらいにしか見えなかったからだ。だがその後すぐに、『あ、そっか、ここでは年齢とか見た目では分からないんだ…』と気が付いた。事実、


「若そうに見えるかもしれないけど、僕ももうこれで百歳を超えてるんだよ」


と少しはにかんだ感じでハルマが言った。しっかり目を見られなかったから彼の口を見ていたら、やっぱり口の動きと声が合ってなかった。日本語に自動変換されてるということがまた改めて感じられた。


彼のことには少し驚かされて一瞬気が逸らされてしまったが、ユウカはこの時、正直言って困っていた。人と接することが得意でない彼女は、接客仕事とか有り得ないと思っていたからだ。だがそれを見抜いたかのように、ハルマは言った。


「大丈夫だよ。まず君にしてもらう仕事は、バックヤードでの商品の整理だから。そんなに難しい仕事じゃないよ」


自分の考えてることがバレバレなことに改めて気付いて、ユウカは恐縮しきりになっていたのだった。


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