恍惚のガゼ
僅か三畳ほどの広さのシェルミのランジェリーショップに三人も一度に入るとほぼ身動きが取れなかった。それでもユウカは何を買うか決めていったので特に問題なかったようだ。
シンプルな白いショーツを二枚取り、会計を済ます。
だが思い付きでついてきただけのメジェレナはついでにと思ったので少し迷っていた。
「もう、さっさと決めなさいよ。先に行こう、ユウカ」
焦れたガゼがユウカにそう促す。しかしユウカの方は、
「ちょっと待ってね」
とガゼを抱き上げた。思わぬスキンシップに、ガゼは顔を真っ赤にしながら子供のように甘えた。
「う、うん、分かった…。ゆっくり選んでていいよ」
こうやってユウカが抱いててくれるなら、むしろゆっくり選んでほしいと思った。
手の平を返してそんなことを言い出したガゼに、ユウカもメジェレナも少し苦笑いを浮かべる。けれどユウカも、そうなることを見越して抱き上げたのだ。メジェレナには選ぶ時間を、ガゼにはメジェレナが選んでいる間の充足感を与える為の選択だった。
抱いているユウカ自身も、ガゼの柔らかい感触とどこか甘いような匂いとぬくもりが心地好かった。体力がないからいつまでもという訳にはいかなくても、できる限りこうして抱いていたいと思った。
「ガゼちゃん…好きだよ……」
思わずそう声が漏れる。でもそれも、嘘偽りない本心だった。恋愛感情とかはまだよく分からなくても、この幼い姿の愛らしいこの子を愛おしいと感じる気持ちに嘘はなかった。
それを耳にして、ガゼの顔はさらに真っ赤になった。ユウカの首筋に顔をうずめて、頬を擦り付ける。胸がどきどきして体が熱い。もし顔を上げていたら、蕩けるような恍惚の表情が見られていたことだろう。
「好き、私も好き、ユウカぁ…」
アパートの一室の一部を改造した、僅か三畳しかないランジェリーショップの店内で、十四歳当時のままの女の子に抱かれた八歳当時のままの幼女が陶然としているという、ちょっと異様な光景が繰り広げられていた。
しかしそれにもシェルミは平然としていた。ただ冷静に振る舞い、メジェレナが商品を選び終わるのを待っていた。そしてようやく、赤味がかった紫色のショーツと赤味の強いピンクのショーツの二枚を手に取り、会計してもらった。ユウカもメジェレナも、買ったショーツは包装もしてもらわずにそのままポケットに入れた。どうせ後は部屋に戻るだけなのだから、別に必要なかったのだ。
こうして、三人の買い物は終わって、ユウカの部屋へと戻ったのだった。




