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ヌラッカの憂鬱

「やっぱり心配だし、私、ちょっと見てくる…!」


ヌラッカが出て行ってしまった後、部屋でガゼと一緒にアニメを見ていたユウカだったが、いてもたってもいられなくなってそんなことを言い出したのだった。しかしガゼは冷めた目で言う。


「別にほっときゃいいと思うけどね。二人の問題なんだし」


ガゼの言うことももっともだろう。これは本来、キリオが解決する問題であって、ユウカには何の落ち度もないのだ。むしろキリオに言い寄られて迷惑している被害者でさえある。ヌラッカに引け目を感じる必要さえない。


とは言え、それを放っておけないのが石脇佑香いしわきゆうかという少女だった。いや、見た目は変わってなくても既に少女という年齢ではないが、それでもここにいる人間達の中ではかなり若い方ではある。


そんなユウカにとっては気になってアニメを楽しめないのだから、アニメに集中して楽しむ為にも是非とも解決してほしいと思っていた。


なのでヌラッカを探す為にアパートを出た。自分の給料で買った電動キックボードに乗って近所を走り回る。


ちなみにここには<道交法>というものがない。自動車は決められた動きしかできないので違反のしようがなく、それは電動キックボードもそうだった。車道には出られない、通れないところには入っていけない、事故は起こらないし起こせないのだ。しかし車道以外なら殆ど規制されていないので電動キックボードを使う者も少なくない。まあ、一番多いのはやはり自転車だが。わざわざ買わなくても集合住宅などには住人用のものが備え付けられているからだった。ユウカが電動キックボードを買ったのは<面白そう>だっただけである。


ガゼもお揃いの電動キックボードで付き合ったが、ヌラッカを探すというよりはユウカとのお出かけを楽しんでるだけであった。だがその時。


「あ、ヌラッカさん!」


川の近くの公園のベンチにヌラッカの姿を見付け、ユウカが声を上げる。


「良かった、ヌラッカさん。キリオさんのこと、ごめんなさい」


ベンチで黄昏ていたヌラッカの前に立ち、ユウカは頭を下げた。その隣でガゼが少し呆れたように見ている。


『なんでユウカが謝るの?。関係ないじゃん』


でもそれは口には出さず、敢えてユウカの好きにさせた。


そんなユウカのことを見上げてヌラッカも言った。あまり表情を作るのは得意ではない彼女だったが、その時の顔は確かに悲しそうに見えた。


「ユウカ、悪くない…。悪いのはキリオ…。私、もう疲れた……」


これには、てっきりいつもの感じで仲直りするんだろうと思っていたガゼも呆気に取られたのだった。



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