私と家族の18年間 ありがとう
私の家に初めて家族になった犬の立場になって書いてみました。
この話は。私の願望です。
こう思ってくれてたら嬉しと思って書きました。
本当にこう思っていたのかは分かりません。
でも、私と家族になって良かった思ってくれたら嬉しいです。
勢いで書いたので文脈等おかしいです。
すみません。
私は犬です。
生まれた時は他の兄弟より小さくて長く生きれないと言われました。
居酒屋の主人の下で生まれ、私の飼い主になった人はたまたま居酒屋にきた若い夫婦でした。
小さな体を女性は大切に育ててくれて、遠くに出かけるときはいつも車に乗せて出かけてくれました。
おかげで車が大好きです。
そんなある日、女性は男性と別れて引越しというのをしました。
そこにいたのはお年寄りと年配の夫婦と、女性より若い女の人でした。
私にはわからなかったんですが、どうも女性は男性と離婚をして家族の元に戻ったみたいです。
その瞬間から年配の夫婦が私の両親になり、私を最初に見つけた女性が姉になり、そして若い女性が妹になりました。
私はその家では初めての犬らしく大事に育ててもらいました。
お父さんは、元々は犬を犬を飼うのを反対していたらしいのですが、今は暇さえあれば私を抱っこしてくれます。
こんなに大事にしてくれているのに、犬が嫌いなのかな?と思ったら、妹が教えてくれました。
お父さんが若い頃犬を飼っていたが道路に飛び出してトラックに轢かれて死んじゃったらしい。
凄く悲しかったんだって。
だから犬は飼わないって反対してたんだって。
でもね、お姉ちゃんが帰ってくるとき、私を一緒に連れてきたから仕方なく受け入れたんだって。
仕方なくって言ってる割には、一番私を気にしてくれるのはお父さんなんだけどね。
お母さんはご飯をくれるの、そしておやつもくれる。
妹は・・・・良く怒る。
散歩中、気になるものがあって口に入れたらその場で怒られた。
口に手を突っ込まれて、折角食べたものを奪われて、頭を軽く叩かれ反省するまでお説教。
一番、怖かったのは妹かな。
でも一緒に寝てるのは妹なんだけどね。
私はいつの間にかお父さんやお母さんと妹に可愛がられていた。
そんな時姉が新しい友達を紹介してくれた。
ぽわぽわ毛が印象的で、まるで毛玉みたいだった。
新しい友達に家族はメロメロ。
私の居場所がなくなっちゃう。
私が項垂れているとお父さんが抱っこしてくれた。
お父さんはなんだかんだ言っても一番私のことを気にしてくれている。
私は大丈夫!
しょうがないわ。
新しい子に上下関係を教えてあげなきゃね。
私は、その子に教育的指導をした。
おかげでその毛玉は妹に叱られる回数は私より少ない
ちょっと不満だわ。
姉だからっていつも怒られる。
毛玉の方が甘え上手なだけよ!
良く姉と妹は喧嘩をする、そんな時私が間に入ると収まるの。
全く、世話が焼ける家族だわ。
年齢を重ねるにつれて私の怒られる回数は減った。
だからといって邪険にされてるとかじゃない。
家族はいつも側にいてくれる。
車が大好きな私は、車でお出かけするときは真っ先に飛び出して誰よりも早く車に乗る。
まぁ、そのせいで一度置いて行かれたことがある。
お母さんが真っ青な顔で戻ってきたけどね。
全く、謝っても許してあげないわよ。
えっ?全員が乗っていると思ってたって?
しょうがないじゃない、乗る前に猫を追っかけてったのよ。
大丈夫よ。猫は追い払ったから。
それよりも私外をみたいの。
お母さんの膝の上で立ち上がり外の流れる景色を見る。
早くてやっぱり車は最高だわ。
まぁ、あまりやりすぎると筋を痛めちゃうんだけどね。
前に3時間立ち乗りしたら足が痛くて足を引きずっちゃったの。
そしたら、次の日には病院よ。
大丈夫って言ってるのに。
ちょっと筋肉痛なだけなんだから。
あら?毛玉外を見ないの?
毛玉はあまり外を見ないのよね。直ぐに寝ちゃううの。
外見るの楽しそうなのに、ってどうしたの?
ハァハァしちゃって。
私が心配しているとお父さんが車を止めてくれてお母さんが毛玉を抱きしめてた。
どうも長時間車に乗って酔ったらしい。
情けないわ!
こんなに楽しいのに。
あら?お婆ちゃんに呼ばれたわ、挨拶に向かうとアイスの蓋を舐めさせてくれた。
美味しくて好きなんだけど、妹に見つかるとと厄介なのよ。
早く舐めちゃ・・・・・つ!!
怒られました。
何度も注意してるのにやめないからと思い切り叩かれました。
お婆ちゃんの事怒ってました。
そんな怒らないで、お婆ちゃんは優しいのよ。
もう、食べないようにするわ。
私は家族が食べているものを欲しがるのをやめた。
すると妹は凄く喜んでおやつをくれるようになった。
うん、アイスも好きだけどこのジャーキーのほうがもっと好きだわ。
そんな幸せな生活を送っていると、姉が毛玉を連れて帰ってこなくなった。
寂しい。
毛玉がいるときはむしろ邪魔にしか感じていなかったのに、いないと寂しい。
私は落ち込んで食欲がなくなってしまった。
しばらくすると毛玉だけが帰ってきた。
お姉ちゃんは結婚してしまったらしい。
でも、毛玉が帰ってきて良かった。
別に帰ってきたからって仲良くはしないわよ。
年が経つにつれて、家の様子が変わってきた。
お婆ちゃんベットで寝たきりになってしまったのだ。
私にアイスをくれることもない、背中を撫でてもくれない。
早く元気になってね。
シワシワになったお婆ちゃんの手を舐める。
昔は撫で返してくれたのに、今は動かない。
突然白い服を着た知らない人たちが入ってきてお婆ちゃんを連れて行った。
私はその背中を見守ることしかできなかった。
ある決まった日になると、お父さんは車で出かける。
私も連れて行ってと頼んでいるのに連れてってもらったことはない。
ある日お母さんと妹が私にケーキを買ってきてくれた。
二人が言うには私は10歳になったらしい。
10歳まで生きれればいいと言われた私がもう10歳だ!
道理で昔みたいに走ることができなくなたわけだ。
その年の寒さ厳しい日、私は新たに妹ができた。
小さな頃の私にソックリな妹だ。
まだまだ、老けてはいられない。
私は新たな使命に目覚めた。
上下関係を教えなければ。
徹底的に躾を教え込む日々を過ごしていた。
散歩に連れて行ってもらうと、末っ子が薄い桜の花びらと戯れるという横道に逸れ始める。
私は、ちゃっちゃと散歩を終わりたいのよ!
別に、ハラハラ散ってくるくる方向を変えるそんな花びらんに興味ないんだからね。
そんな日、お婆ちゃんがやっと帰ってきた。
外も大分暖かくなってきたからね。さぁ、私を撫でてもいいのよ。
私はお婆ちゃんの側に寄ろうとしたけど妹に優しく静止された。
お婆ちゃんもう動かないんだって。
シワシワの優しい手でなでてくれたのに、妹の目を盗んでアイスだけじゃなくってヨーグルトとかプリンとかくれたお婆ちゃんはもう私を撫でてくれることはない。
次の日閉じ込められた扉の向こうで、低くて単調なメロディが流れていた。
私は、何度も読んだ。
出して、お婆ちゃんといさせて。
でも、無理だった。
出してもらった時にはお婆ちゃんの姿はなかった。
今のお婆ちゃんは白い箱なっているのは感じられた。
ある日、私は首筋に激痛を感じて叫んでしまった。
叫んだ瞬間、家族顔色が変わった。
私元々それほど声を出さない。
出す前に誰かの目を見れば直ぐにその要望を満たしてくれるからだ。
次の日を待つのももどかしそうに、私は消毒臭い大嫌いな場所連れて行かれた。
診断は頚椎のヘルニアだった。
いつも行く病院では手術できなくて、少し遠い病院で手術することなった。
11歳になった私にしては大きな手術だったらしい。
お父さんとお母さんは心配そうだった。
でも、私は平気よ。寝て起きたら終わってたから。
無事な姿をみてお父さんとお母さんは安心したらしい。
後から聞いたら10歳過ぎての全身麻酔は危険な場合もあるらしい。
もう、早く言ってよね!
まぁ、無事に会えたから許してあげるわ!
そういえば妹はいなかったわね。
許さないわ!妹の癖に。
でも、入院中会いに来てくれたから許してあげるわ!
仕事頑張りなさい。
私は退院して再び家に帰ることができた。
また、激痛がくると思うとちょっと怖いけど。
今のところは悲鳴をあげる心配もないわ!
そして、再桜の花びらが舞い散る日。
毛玉が突然 夕飯を吐き出した。
何をやってるのよ!
もったいない!
私は横目で睨みつけたけど毛玉の様子はなかなか良くならない。
次の日病院に連れて行かれてた。
まぁ、私も病院によく行くし、注射されてあっという間に元気になるわ。
だって、私も吐き戻して病院に連れてかれるとぶっとい注射を打たれて即元気よ。
痛いけど女は耐えるの。
毛玉も耐えなさい。
夕方電話が鳴っった。
何かしら?ダメよ。その電話取らないで。
妹が電話をとってしまった。
そして、真っ青な顔でお父さんの運転する車で出かけた。
私の大好きな車でのお出かけ、でもちっともワクワクしないの。
妹が隣で泣きながら電話をしていた。
病院に着くとお母さんと妹が車から飛び出していった。
わたしを忘れていくなんて、そう思ったらお父さんが抱き上げてくれた。
お母さんと妹のいる部屋に私も連れてかれた。
あれは?あれは・・・毛玉なの?
何か管を口から入れられて、舌も出ちゃってるよ。
ねぇ、毛玉、元気ないよ。
どうしたの?いつもきゃんきゃんうるさいくらい吠えてるよね。
ねぇ、毛玉鳴きなさいよ。
お母さんと妹が白衣の先生と話すと首を横に振った。
すると口の中で邪魔そうだった管が外さた。
さぁ、叫びなさい。
苦しいじゃないのって叫びなさい。
いつまで、寝てるのよ。
早く起き上がりなさいよ。
私は心の中で怒鳴りながらじっと見つめた。
お父さんを見上げるとお父さんの目に水が溜まっていた。
あぁ毛玉は私より先にお婆ちゃんに会いに行ったんだと気づいた。
家に帰ると散歩仲間のお母さんが毛玉の為にお花を持ってきてくれた。
そしてしばらく見なかったお姉ちゃんも帰ってきて泣いていた。
大好きな車、でもウキウキしない車に乗って動かない毛玉とお出かけ。
毛玉は小さな白い箱に入って私たちと一緒に我が家に帰ってきた。
お母さんが一番寂しそうだった。
妹が、毛玉はママっ子だったからね、誰よりも悲しいんだよ。
そんな時、まだまだ子供だと思っていた末っ子がお母さんに甘えまくってた。
元気な末っ子にお母さんも次第に元気を取り戻していった。
でもね、妹は表面上大丈夫だけど、私と一緒にいるときによく言うの。
「お願い死なないでね。
もっと一緒にいてねって」
縁起でもない。
私はあなたより長生きするんだから大丈夫よ。
顔を舐めると、私の首筋に顔をうずめてきた。
私って12歳になるけど結構なハード生活よ。
昼間はお父さんの様子をみて、夜は妹なんだから。
無邪気に遊んでる末っ子を見ると、ちょっとムカツクは。
私はお父さんが作ってくれた、私特性のダンボールに篭もり、目の前に末っ子が来たらシュッと飛び出して叱ってやるの。
たまにやらないと、あの子馬鹿だから上下関係を忘れるのよ。
そんな私をみて、妹は「うつぼ」がいる。と笑っていたが。
うつぼとは何かしら?
きっと可愛くて、しっかりしている子に違いないわ。
毎日、寝ておやつ貰って、ご飯もらって、気が向いたら遊んであげて大嫌いな病院には月に一度行ってるわ。
腎臓が少し弱くて毎食薬を飲まされるの。
まぁ、私は頭がいいから、直ぐに見つけて薬だけ吐き出すけどね。
妹は苦笑いしながら直ぐにおやつをくれる。
おやつ食べたとき苦い味が混ざってることもあったけど気のせいよね。
ベットから飛び降りた時首に激痛を感じることがあるの。
そうすると妹が泣きそうな顔で私に大丈夫と聞いてくるの。
私はこの年になると人間が何を言っているのか大分理解できるようになってきた。
だから、私は手に手を重ねてあげる。
大丈夫だからって。
私はもう16歳になった。手術は無理らしい。
だから妹は夜私を抱きしめながら、涙を流す。他の家族に知られないように私の前だけ。
「お願いだから・・・選ばせないで。私は決められない。貴方が苦しんでいても私にはきっと選べない。
だから、私に選ばせないで。安楽死の選択を選べないよ。
大好きだからね。長生きしてね。
あなたは私が20歳の時に我が家に来た。一緒に大人の道を歩いてきた子。
大好きよ。長生きして。お願い。」
そう言われれば私は頑張りますよ。
当たり前じゃない。お父さんもお母さんも妹も大好きだもの。
ちょっと目が見えなくなって、歩行も昔より危ないけど、若くないから軽快に歩けないだけなのよ。
大丈夫。大丈夫よ。
その年病院に行くと先生が言った。
年を越えられるかわからない。
何言ってるのかしらこの先生私は大丈夫よ!
妹!そんな心配な顔しないの。
約束したでしょう。
私は生きるわよ。
頑張るんだから。
私は年を越した。
そして、17歳になった。
お父さんは長い旅行には行かなくなった。
もし、私が危なくなったら、一緒にいれなかった事を後悔するからだって。
でもね、私は全然大丈夫よ。旅行にでも行ってくればいいじゃない。
先生の行ったことなんて嘘よ。
まぁ、家の中を歩いていると、私の前に物があってぶつかることがあるけど。
私の前に物があるのがいけないのよ。
ちょっとヨタヨタしてるけど、まだ四本足で立つことだってできるのよ大丈夫。
ウトウトとしていると大きな地震が起きた。
真っ先に私をお父さんが抱えてくれた。
お母さんは末っ子を抱えて庭に逃げていた。
長く続いた揺れの後、妹が降りてきて家族の無事を確認した。
四角い箱の向こうに流れる映像を家族は真剣な顔をして見ていた。
翌年、私たちは今の家を出た。
移った場所は今の家より狭くて、不便な場所だった。
落ち着かない私は、抗議の意味を込めて寝床におしっこを漏らした。
妹にはしこたま叱られた。
聞いたところによると、今の家を取り壊して新しい大きな揺れにも耐えられる家を建てるらしい。
ちょっと老体には慣れない場所を移動するのが辛いんだけど。
文句を言いたいけど、仕方がない。
前の家は大きな揺れの時、家がキシキシと鳴いてたし。
私もその音がちょっと怖かったからね。
ちょっとだけよ。
だから、キシキシならない場所を提供してくれるなら歓迎よ。
そんなある日。私はお父さんの座っているマッサージ椅子の下に潜り込んだ。
悲劇が起こった。
私の背中の肉がマッサージ椅子に噛まれたのだ!
痛い!痛い!痛い!
何度も叫んだらお母さんが飛んできてくれた。
お父さんはまるでお化けみたいに真っ白な顔をしていたわ。
痛くて笑えないけどね。
でもね、私生きてるから大丈夫よ。
それに病院にも連れてってくれたじゃない。
痛み止めも貰ったしもう平気よ。
だからそんな心配そうな顔をしないで。
私は所定の位置で、ちょこっとだけ痛い体を癒すために目を閉じた。
しばらくすると妹の怒鳴り声で目を覚ました。
お父さんが妹に叱られてた。
まぁ、私もうっかり椅子の下に入っちゃったんだし、許してあげなよ。
妹は父親の顔色をみて、口を噤んだ。
私の傷も癒えた頃、再び移動の日がやってきた。
今まで慣れない場所からやっと慣れた場所へ移動だと思ったら、全く変わっていた。
私の匂いなんて一つもなかった。
見知った場所じゃなかった。
ちょっと不満だわ。
でも、しょうがないわね。家族は嬉しそうだもの。
年長者の私が譲ってあげなきゃ。
でも、私のお気に入りのダンボールは用意してちょうだいよ。
いらないわ!そんなフワフワしたもの。私は暗くて狭い場所が好きなのよ!
ちゃんと用意してくれたのね。
うむ、余は満足じゃ。
私はダンボールに入り、寝床を整えると横になる。
私の寝床からはお父さんの顔がよく見える。
最近お父さんは顔色が良くない。
どうやら重い病気にかかってしまったようだ。
お母さんと妹がよく話をしていた。
生存率って何かしら?
3年で50%って何?
治らない病気?
5年で20%?
それって高いのかしら低いのかしら全くわからないわ。
ダメね、私より病気にかかるなんて。
私と一緒に長生きするのよ。
仕方ないわね。私がビシビシ長生きのコツを教えてあげるわ。
まずは、二時間たったわ、お父さん私おしっこがしたいの。外に連れ出してちょうだい。
きっと動いていれば元気になるわ。
私と一緒よ。
まったくあの医者はヤブなんだから。
また言われたは今年持つかわからないって。
この間妹が読んでた本に乗っていたわ。
私と同じ姿の子が22歳で元気らしいわ。
それに比べて私はまだ18歳よ。
元気に決まってるじゃない。
今年も妹からハッピーニュイヤーってたたき起こされたからね。
さぁ、今年も長生きするわよ。
でも、寒さと暖かさが交互にくるこの時期って辛いのよ。
ちょっと寒いし、食欲がないわ。それにお腹も壊しちゃったみたい。
まぁ、いつもの風邪でしょう・・・って病院に連れて行かなくても大丈夫よ。
ちょっと風邪をひいただけ。直ぐに元気になるわ。
直ぐにご飯も食べれるし。
ちょっと、ヤブ医者、何言ってるのよ!
もって今週末だ~、私を舐めないでよね。
生まれた時は10歳まで生きられたらいい方と言われた私が18歳よ。
直ぐに風邪なんて吹き飛ばすわよ。
ちょっと、ちょっとだけ食欲がないのよ。
だからお父さん毎日車出さなくてもいいよ。
私が車の中で寝ているのは今はまだ外を覗けないだけよ。
直ぐに外を見るようになるわ。
お母さん。大事に毛布に包まなくても平気だよ。
震えてるのはちょっと寒いだけなの。
年だからね。毛の量も減って寒いだけよ。
私はこの所毎日注射を3本打たれている。
注射は最初チクっとするけど、一度も鳴きわめいたことはないわ。
注射で鳴くなんて子供のすることだもん。
家に帰ると、懐かしい味のものが口元に運ばれてきた。。
お婆ちゃんが妹の目を盗んでくれた味。
それはプリンだった。
美味しくて何度も飲んだわ
妹が苦笑いするぐらいガツガツ食べたの。
そしてら、私の体調もグングン良くなっていったの。
これなら、普通のご飯も食べられそうだわ。
差し出したそれを勢いよく食べたの。
久しぶりのご飯は美味しいわ。
そしたら器官に入った。
苦しい。
何度も咳き込んだけど中々取れないの。
二時間ぐらい苦しんでやっと収まった。
それから私はご飯を貰えなくなった。
でもその代わり懐かしプリンをもらったわ。
でもね、だんだん食べれなくなっちゃうの。
食べたいと思う欲求がないの。
その代わり眠くて眠くて仕方がない。
それに伴い気が付けま朝でも夜でも私が目を開けると家族の誰かがいてくれる。
朝はお母さん、昼間はお父さん、夜は妹が一日中側にいてくれる。
一番ご飯を上手にくれるのは妹ね。下手なのがお父さん。スポイトでもらってもすぐ誤嚥しちゃうの。
なぜなのかしら?わざとじゃないんだけど・・・
昼なのか夜なのか分からない日が続いたわ。
私、ちょっと咳をしちゃった。
胸がちょっと熱くなったからね。
そしたら、口から赤い何かが飛び出たわ。
それを見たら妹が慌ててた。
私をベットごと持つとお父さんと一緒病院へ。
もう、最近毎日病院に来てる気がするわね。
緊急だからと私だ待っている人よりも早く医者に見てもらうことができた。
私の体を見た先生は心痛な面持ちで言った。
内臓系が弱ってきてます。今週が山でしょうと。
ヤブ医者ね。あなた私に何回余命宣告したのよ。
私はそれをくぐり抜けたのよ。
大丈夫よ!妹!私は全然生きるからね。
それから私は毎日病院に通っていた。
家に帰ったらお母さんと妹が喧嘩してた。
喧嘩を止めたいのに、体が動かないの。
今はちょっと眠いから、だから喧嘩はやめて。
私の事で喧嘩しないで。
私はどちらの言い分も間違っていないよ。
だって二人共私を思って喧嘩してくれてるんでしょう?
大丈夫だよ。私頑張れるよ。
結局妹言い分が通ったようだ。私のプリンには相変わらず栄養剤が入れられている。
一生懸命作ってくれてるのわかるんだけどね、でもごめんね。もうあまり食べられないよ。
私は心が弱くなってきているのだろうか?
凄く寂しい、誰か私のそばにいて。
ううん、目の届くところにいてくれてるのはわかるの。
でもね、我が侭なんだけど私に触れて。
そう思ったとき、妹が私の手を握ってくれた。
温かい。妹はここにいてくれる。私は安心して目を閉じた。
その時、妹の声が聞こえた。
か細く震えている声。
「ごめんね。本当はもっと早く言えば良かった。でもね、言えなかった」
なによ、水臭い貴方の愚痴をずっと聞いてたのは私よ。なんでも言いなさい。
私は目を閉じて妹の手を温もりを味わっていた。
「もういいよ。もう、頑張らなくっていいよ。ごめんね。早く言えなくてごめんね。頑張ってくれてありがとう。愛してるよ。だから、もう頑張らなくっていよ」
その言葉を聞いたとき私は気持ちがすっと楽になった。
私は頑張った事を妹に認めてもらったのだ。
そしてもういいよというお許しを得たのだ。
お父さんの為に頑張ってたわけじゃない、お母さんの為に頑張ってたわけじゃない、妹の為に頑張ってたわけじゃない、私の為に、私が家族と一緒にたかったら頑張ったんだ。でも、家族の言葉が私を楽にしてくれる。
本当はもう寝てしまいたかった。
朝お母さんが来て妹と交代をした。
昼妹が起きてきて私にご飯を食べさせようとしたけど、ゴメンネ2舐めしかできなかった。
味はもう大分前から変わってたね、シロップと栄養剤だけになってた。プリンすらも受け付けなくなっちゃったもんね。
私は体から力が抜けていくのが分かった。
おしっこをしてしまったので。
自分の意思以外でおしっこするのは久しぶりだった。
お母さんがおむつを替えたあと、私の顔を覗き込んだ。
お父さんがいる、お母さんがいる・・・妹は?
私はゆっくりと深呼吸をしながら妹を持った。
直ぐに妹が降りてきて私の名前を読んでくれた。
うん。お父さんとお母さんと妹、お姉ちゃん、お婆ちゃん、毛玉、末っ子。
.............ありがとう。
私は最後に大きく深呼吸をした。
誰かの泣き声が聞こえる。
うん、体は動かないけど耳は聞こえるよ。
驚いたことに、ちょっと前まで聞こえにくかったのが今ははっきり皆の声が聞こえる。
「幸せだった?私の家族になって幸せだった?」
当たり前でしょう?
幸せじゃなきゃ最後まで頑張らなかったわよ!
「ありがとう、私の家族になってくれてありがとう」
まぁ、私も貴方の姉になれて良かったわよ。妹にしては態度が大きくて逆らえなかったけど。
「ありがとう」
ちょっとお父さん泣いてもいいのよ?毛玉の時も泣かなかったでしょう?泣くのを我慢するのは体に悪いのよ?私を大事にしてくれたの知ってるから。
「ありがとう、ありがとう、大好き愛してる」
お母さん知っているわよ。私も好きだったもの。よく餌を妹に内緒で私にくれて、身体検査で太ってバレて怒られたわよね。ちょっと反動のダイエットが辛かったわ。ほどほどにして欲しいかった。でも美味しいもの大好きだからくれるならもらっちゃうけどね。
私は幸せよ。だって家族に全員に看取られて天国へ行けるのよ。これほど幸せな事はないわ。
もっともっと一緒にいたかったけど仕方ないわ。だって寿命だもの。苦しまなかったよ。幸せだったよ。
私は18年間あなたたちの家族で幸せでした。
仕方ないから虹の橋のふもとで待っててあげる、私は気が長いからゆっくり来ても怒らないわよ!!
だから、心配しないでね。
って、お父さん迎えに来るの早くない?あれからたった一年よ!お母さんも、妹も泣いてるじゃないのよ。
私の事心配してきちゃったの?
私は大丈夫だったのに。
お婆ちゃんと毛玉と一緒に楽しく遊んでたわ。
えっ、死にたくなかったって。でも、どうしようもできなかった。って泣かないで。
もう、生きてる時は妹の愚痴聞いてきたこの私が、今度はお父さんの話でも聞いてあげましょうかね。
死んでも世話が焼ける家族ね。
えっ?海外旅行に一緒に行こうって?しょうがないわね。次に来る家族が驚いて羨ましぐらいのお土産話をしてあげましょう。
私達は今も幸せだよ。
お母さんと妹が幸せでありますように。
疲れていてなんだか勢いで書いてしまいました。
読んでくれてありがとうございました。