五話
いろいろと風景描写が増えてきましたが、物語に関係する描写はあまりありません。
どこに向かっていたのか、目的があったのか。
俺の手を握ったミコの手は、小さかったけれど、ほんのり暖かかった。
そのまま五分ほど、人通りの少ない道を二人で歩いた。
一言も話さず、ただ歩いた。
ミコはその時でも笑みを浮かべていた。
そして、ある場所で足をとめた。
滑り台と砂場、二人掛けの木製のベンチがある小さな公園だった。
俺たちのほかには誰もいなかった。
ミコは俺の手を突然離し、滑り台に上った。
こちらを一度見ると、滑り降りて俺のところへ戻って来た。
また手を掴むと、木のベンチの前に行き、一緒に座った。
ミコの左手から俺にあげたのと同じ、いちごみるくのあめ玉を取り出した。
その飴、好きなの? と訊いてみたが、答えは返ってこなかった。
しかし、ミコの笑顔を見る限り、好きだから食べていたのだろうと勝手に解釈した。
その後も、何をするわけでもなく、何を喋るわけでもなかった。
けど不思議と気まずい空気はなかった。
まるで俺一人でそこに座っているような感覚だった。
彼女はいた。そこに、いた。
結局、公園にいたのは1時間ほどだった。
再び手を掴まれた俺は、完全に彼女のペースに飲まれていた。
来た道を戻るわけではなく、駄菓子屋からさらに離れていった。
少しずつだが、人通りの多い所にやってきた。
多いといっても、四人か五人ほど。
車もある程度走っており、名もないようなコンビニが一軒あった。
迷うことなくミコは手動のドアを開け、そこに入っていった。
店内には店主と思われるおじいちゃん一人、お客二人だけだった。
ミコの姿は適当に、それぞれの妄想力に任せます。
本当は1月30日に更新する予定でしたが、ネタが出てきませんでした。
31日も同様に。
2月1日の夜にゆっくり書いていたら、いつの間にか日付が変わってしまいました。