表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コイコイコイ  作者: カカオ
パパラッチVSパパラッチ
15/19

どこのどいつか知らんがやってくれるぜ

「こ、これはっ」と藤縄。

「破廉恥な!」と英輔。

 俺は二人に携帯電話の画面を見せていた。画面には一枚の写真が表示されていた。

「ほかにもこんなもんも送ってきやがった」俺はそう言うと、次の写真に切り替えた。

「こ、これはっ」と藤縄。

「破廉恥な!」と英輔。

「お前ら、もっと違うこと言えねえのかよ」

「いやぁ、驚きましたね」藤縄は頭をぽりぽりと掻いた。「まさか『演劇部のパパラッチ』の異名を持つ工藤さんがパパラッチの被害に遭うとは、これは事件ですね」

 藤縄の言うとおり、俺もこれは事件だと思っていた。

 一枚目の写真は俺がこの近くの畑からこっそりと、とうもろこし二本を盗み出そうとしている現場を激写されていて、もう一枚は演劇部の部員のスキャンダルを激写している俺を激写していた。

「これはいつ送られてきたのだ?」と英輔は俺に訊いた。

「昨日の夜だ。寝ようと思ってたときに着信があったんだよ。ただ俺は面倒だったからその時は無視したんだ。どうせ藤縄だろうと思ったしな」

「失敬な。僕のメールは常に一大事を知らせるものばかりなのですよ」

 俺は藤縄を黙殺して続ける。「で、朝起きてメールを見てみたら、その二枚の写真が添付されたメールだったわけだ。まったく、どこのどいつか知らんがやってくれるぜ」

「どこのどいつか知らんが、って、誰だかわからないのか?」

「わからねえ。フリーメールのアドレスだ。でなきゃこんなもん送ってこねえよ」

「なるほど。どれ、ちょっと携帯を貸してくれないか」

 俺は英輔に携帯を手渡した。

 英輔はピポパポと軽快にボタンを押し、送り主のアドレスを表示させた。

『onigashima@××××.××××』

「このアドレスに心当たりは?」

「ないなぁ。見当もつかねえ」

「ふーむ」英輔は腕を組んで難しい顔をして考え始めていた。

「工藤さん、もしかして今日ここに集まったのって、このしょうもない写真を僕らに見せるためですか」

「違う。見せるだけじゃなくて、さらに犯人が誰かを推理してほしんだ」

「推理ですか? 僕たちは探偵さんじゃないのですよ」

「うっせえ。いいからお前も英輔のように難しい顔をして推理しろ。パパラッチがパパラッチされたなんて、パパラッチの沽券に関わる重大な問題だぜ」

「パパラッチの沽券なんてどうでもいいじゃありませんか」

「いいからお前も推理――」

「そもそも」と英輔が口を挟んだ。「とうもろこし畑から盗みを働くとは、まずそこを反省すべきである」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ