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[第二話] 電車で読めるショート小説

作者: ニルム
掲載日:2026/07/30

第2話『未来が見えるガチャ』

あらすじ

未来が見えるカプセルを引いた主人公。しかし未来を知るほど不幸になっていく。

最後は「未来を知らないこと」が一番幸せだったと気付く。

学校帰り、駅前の片隅で一台だけ古びたガチャガチャを見つけた。

周りには新しいカプセル玩具ばかり並んでいるのに、それだけはまるで何十年も前から置かれていたような見た目だった。

張り紙にはこう書かれている。

『未来が見えるガチャ 一回300円』

「未来?」

思わず笑ってしまう。

どうせ占いのおもちゃだろう。

財布から300円を入れ、ハンドルを回す。

ガコン。

出てきたカプセルを開けると、中には透明なビー玉のような球が入っていた。

球を覗き込んだ瞬間だった。

目の前の景色が変わる。

教室。

先生がテストを返している。

自分の点数は九十八点。

「え……?」

次の瞬間には元の場所へ戻っていた。

翌日。

返されたテストは、本当に九十八点だった。

「当たった……。」

偶然とは思えない。

その日の帰り、またガチャを回した。

今度見えた未来は、コンビニの前で財布を拾う自分。

翌日、本当に財布を拾い、届けると持ち主からお礼をもらった。

完全に信じた。

未来は見える。

なら、もっと利用すればいい。

毎日ガチャを回した。

忘れ物を避ける。

小テストを予習する。

じゃんけん大会で勝つ。

少しずつ人生がうまくいき始めた。

だが、ある日。

球に映ったのは、自分が階段から転げ落ちる姿だった。

「危ない!」

翌日は階段を使わず、エレベーターだけで過ごした。

事故は起きなかった。

「未来は変えられる。」

そう思った。

しかし翌日、またガチャを回す。

映ったのは、友人が車にはねられる未来。

必死に止めた。

「今日は別の道で帰ろう!」

友人は不思議そうな顔をしながらも従った。

事故は起きなかった。

安心した、その瞬間。

ドンッ。

横から自転車が飛び出し、主人公が転倒した。

幸い軽傷だったが、気づいてしまう。

未来は消えたわけではない。

形を変えただけだ。

それでもガチャをやめられなかった。

知らない方が怖い。

翌日も。

また翌日も。

未来を確認する。

眠れない夜が増えた。

笑うことも減った。

そして、ある日。

球の中には、真っ暗な映像だけが映っていた。

何も見えない。

何も聞こえない。

店へ駆け込む。

「これ、壊れてます!」

だが、ガチャガチャは消えていた。

代わりに、掃除をしていた老人が一人だけ立っていた。

「未来を見るのは、楽しかったかい?」

「あなたは……?」

老人は静かに笑う。

「人は未来が分からないから、今日を精一杯生きられる。」

「全部知ってしまえば、毎日が答え合わせになるだけさ。」

主人公は何も言えなかった。

家へ帰る途中、夕焼けを見上げる。

明日、何が起こるかは分からない。

でも、それでいい。

寄り道をするかもしれない。

新しい友達ができるかもしれない。

失敗するかもしれない。

それでも、自分で選んで進む一日には価値がある。

それ以来、駅前へ行くたびにあの場所を見る。

だが、古びたガチャガチャは二度と現れなかった。

あの日、本当に手に入れたものは未来ではない。

「未来を知らないことこそ、人生で一番の幸運だった」という答えだった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

「未来が見えたら幸せになれるのか?」という疑問から、このお話を書いてみました。

未来を知ることは一見便利に思えますが、知らないからこそワクワクしたり、失敗から学んだりできることもあるのかもしれません。

もし皆さんの前に「未来が見えるガチャ」が現れたら、回してみますか?

少しでも楽しんでいただけたら、ブックマークや評価、感想をいただけると次回の励みになります!

それでは、また次のお話でお会いしましょう。

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