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婚約者が寝取られ自殺して終わって。そして俺はタイムリープした。  作者:
第一章

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1/1

俺、田島治人たしまはるひとは何の為に生きてきたのだろうか。

親の為?婚約者の為?金の為?

そう考えながら首を吊る為のロープを見ながら全てを終わらせるつもりで椅子に乗った。

既に遺書は書いた。

あの浮気したクソ女に宛てて書いたものだ。

更に会社を解雇されて全てが絶望的になった俺は自殺する事にしたのだ。


「今に見てろクソ女」


マンションの一角での自殺行為。

そんな事を呟きながら俺は自殺をする為に椅子を蹴っ飛ばした。

そして死んだ筈だった。



「田島先輩」


そんな声がして俺は目を覚ます。

それから俺はハッとした。

周りを見渡してから「え」となる。

これはファミレスか?

思いながら俺は目の前を見る。


「どうしたんですか?田島先輩」


目の前の椅子に上島加恋うえしまかれんが居た。

その姿を見るがジャージを着ている高校生の様に見える。

顔立ちは幼いながらも可愛い顔立ち。

髪の毛はポニテ。


っていうか。

え?ジャージ?高校生?

ちょっと待ってくれ。


「上島。どういう事だ」

「何がですか?」

「いや。何でお前高校生に」

「はい?寝ぼけていませんか?先輩。先輩が奢ってくれるって言うから」


冷や汗が噴き出す。

それから俺は「上島。すまない。今はその」と言いながら上島の横に置いているスマホを見る。

これはリンゴのマークのスマホか?

だが機種的に10年前の機種だ。

じゃあまさか。


「上島」

「何ですか。さっきから」

「すまないが今は西暦何年だ」

「はい?んもー。先輩。しっかりして下さい。2012年です」


聞いた情報を考える。

今からきっかり10年前だった。

俺が死んだのは2022年10月だった。

だが外の景色を見るなり4月ぐらいに思える。

そして俺は記憶を持って今に至っている。

つまりこれは。


タイムリープしたのか。


「すまない」

「いえいえ。しっかりして下さい」


そう言う上島を見る。

上島はこの世界でも部活をやっている様だった。

そうか10年前に帰って来たのか。

何というか。


「先輩?何だかおかしくないですか?今日」

「おかしいかな。何だか疲れている様な気がするがな」

「疲れたっていうのはテストでですか?それとも学校生活で?」

「いや。人生の色々だな」

「何ですかそのお爺さんみたいな言い方は」


上島に苦笑しながら「だな」と返事をする。

それから俺は目の前にある多分俺が注文したものと思われるコーヒーを飲む。

ブラックコーヒーなのに甘く感じる。

違うか。

何か塩辛い味だ。


「何があったか知らないですけど先輩。約束は守って下さい」

「約束?」

「忘れたんですか!?私の買い物に付き合ってくれる約束!」

「あ、ああ。そんな約束していたっけ。すまない」


俺は苦笑いを浮かべながら怒る後輩を見る。

後輩か。

懐かしい響きだ。

そして全ての始まりで終わりの話だ。


「先輩」

「ああ。どうした」

「私は買い物を心底楽しみにしていたんですから。ちゃんと覚えていて下さい」

「あ、ああ。すまない」

「全く」


彼女は髪留めを縛り直しながら頬を膨らませる。

そして俺を見てきた。

俺は懐かしい感じに俯く。

涙が出そうだ。

だけど泣く訳にはいかない。


「先輩?」

「いや。すまない。疲れているみたいだ。本当にな」

「そうなんですか?」

「ああ」


俺は上島から視線を外す。

上島は「?」を浮かべて俺を見ていた。

とにかく今は。

泣くのは止めだ。


「そうだ。先輩。今日はありがとうございます」

「今日?」

「先輩が小さな大会で優勝したからこうして奢ってくれましたよね。嬉しかったです」

「そ、そうだな。良かったよ」


何も覚えてない。

むしろ上島に言われなかったら気が付かなかった。

俺は静かに上島に向く。

上島は本当に嬉しそうにはにかむ。

その姿に俺は「そんなに嬉しい事なのか」と聞く。

すると上島は「ですよ?だって先輩が私に祝杯をあげてくれていますから」とニコニコする。


「そう、なんだな」

「先輩?」

「いや。何でもない。すまん」


俺は控えめに笑みを浮かべながら上島を見る。

上島は「だから先輩。ありがとうございます」と優しげに笑みを浮かべた。

俺はそんな顔に「なあ。上島」と聞く。

その言葉に飲み物を飲もうとした上島の手が止まる。

「はい。何でしょう?先輩」と言ってくる。


「俺は魅力あるか?」

「魅力ですか?いきなりどうされたんですか?」

「いや。ちょっと興味本位だ」

「先輩は魅力的じゃないです」


まさかの事態だ。

バッサリ斬られた。

俺は苦笑いを浮かべてから「そうか」と言う。

だが上島はそれを言ってから顔を少しだけ朱色に染める。

それから「でも私は魅力的だと少しは思っています」と言ってからそっぽを向いた。

その言葉に俺は目を丸くしながら「そうか。ありがとうな」と苦笑した。


「っていうか何を言わせるんですか」

「ん?ああ。すまん」

「先輩は軽くそう言いますよね。私の気持ち考えてます?」


上島は怒りながら俺を見る。

そんな上島に苦笑しながら手を合わせ謝る。

何かよく分からないが。

今が楽しい気分だ。

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