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可惜夜

作者: 林代音臣
掲載日:2026/04/09

 左隣のベッドの上で、小さく寝息を立てる君を見ていた。

 日中見た時より長く見えるまつ毛。

 年齢よりあどけなく感じる、締りの無い顔。

 きっとたくさん準備をして来てくれたであろう、整えられた眉毛に、切り揃えられた髪。


 部屋の何処かの灯りが点いていたのか、それとももう明け方で空が白んでいたのか。

 どうしてこんなに君の寝顔がはっきり見えたのかは…よくわからないけれど。

 

 今すぐ起きて欲しいような。

 でも、もうしばらく眠っておいて欲しいような。


 何となく、君が起きたら本当に朝が来てしまう気がして。

 いや、起きなくても……日が昇ってしまえば朝が来るのは避けられないけれど、それでも。

 

 玉響のようなこの時間を、この空気を、匂いを。

 肌に触れる柔らかいシーツの感触を、規則正しい君の呼吸音を。

 目の前でほんの少しだけ上下する、薄めの掛け布団の膨らみを。


 もう少しだけ感じていたくて。

 私は、眠いふりをしてちょっとだけ目を閉じた。

 そうすればまだ、私と君の夜は明けずにいてくれるような気がした。

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