表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/87

因果の奔流と雷の誓い

レオンの前で世界がねじれ、

因果の守護者がゆっくりと姿を変えていった。


さきほどまで静かに語っていた存在はもういない。

そこに立つのは、

結果と原因の境界すら持たない“純粋な因果の意志” だった。


「……本気を出したってわけか。」


レオンは構え直す。

雷神の鎧が呼吸をするように脈動し、

剣先で淡い光が弾けた。


影はレオンの背に立ち、

輪郭を必死に保ちながら震え続けている。


――“あれが……第二段階の守護者……

 世界の流れを“直接書き換える”形態だ……”


そのとき、

空を埋めていた因果の糸が一斉に動き出した。

線は光となり、光は流れとなり、

まるで巨大な川が世界の上を逆流するようだった。


「ここから先は……一瞬でも飲まれれば終わり、ってやつか。」


レオンは深く息を吸い、

視界のすべてを戦場として捉える。


守護者の声が響いた。


「雷の継承者よ。

 お前は“結果だけを受け取る未来”を拒む。

 ならば証明しろ。

 原因を――選び取る力を。」


同時に空間が割れ、

レオンへ向かって“存在したはずの未来の斬撃”が降り注いだ。


レオンは雷の奔流を発し、

未来の傷が“今”現れるより早く動き、

そのすべてを切り払いながら前へ踏み込む。


「未来を勝手に決めるな……!

 俺の選ぶ未来は、俺の剣で掴む!」


守護者は少しだけ首を傾けた。


「選択によって因果を変える――

 その発想は、過負荷を招く。」


守護者の手が動くと同時に、

因果の流れがレオンの足元から“逆再生”のように巻き戻り、

世界の地形が一瞬で変貌した。


レオンは崩れゆく地面から跳び、

頭上で弾ける因果の流れを雷で裂いた。


影が叫ぶ。


――“守護者が……世界そのものの“履歴”を書き換えている……!

 あの流れに触れれば、

 “存在していなかったことになる”……!”


レオンは歯を食いしばり、剣に力を込めた。


「だったら――触れられる前に斬るだけだ!」


雷光が爆発し、

レオンの身体が空間の継ぎ目を走る。


守護者は瞬きもせずに言った。


「雷は“現在の力”。

 因果は“全時の力”。

 どちらが強いか――結果は決まっている。」


次の瞬間、

レオンの胸元に“未来で刻まれたはずの傷”が走った。


「ぐっ……!」


影が震え、絶望の色を帯びる。


――“やめろ……!

 レオンを未来で殺すな……!

 そんなの……ただの強制だ……!”


守護者は淡々と告げる。


「強制ではない。

 “観測された未来”を写しただけ。」


レオンは膝をつきかけたが、

その瞬間、胸の奥で雷が鳴った。


(……未来なんて知らねえよ。

 俺が知っているのは――“今ここで戦う理由”だけだ。)


レオンは立ち上がった。


剣に宿る雷光は、

もはや単なる武器の輝きではなかった。

存在の奥底から沸き上がるような確かな“意志”だった。


「俺が守りたいのは……こいつだ。」


レオンは影をかばいながら、

守護者に向かって歩み出す。


「こいつは、まだ理由を手に入れてない。

 だからお前みたいなやつに消されていい存在じゃない。」


守護者の目が細くなる。

わずかに、理解する色を帯びた。


「理由を持たぬ者に、未来はない。

 ゆえに排除されるべき。」


「持たせるんだよ。

 ――俺たちで。」


世界が震えた。

雷光が剣に集まり、

因果の糸が一瞬だけ緩んだ。


レオンは前へ踏み込む。


その一歩は、

因果の流れに逆らう者の誓いだった。


「未来を決めるのは――

 俺たちだ!」


雷光と因果が衝突し、

世界が大きく揺れた。


戦いは、ついに最核心へと踏み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ