表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/24

評価されなくても、確かに“強くなっている”

辺境の街・リュスト。


朝の空気は、

相変わらず冷たかった。


だが――

レオンは、昨日よりも少し早く目を覚ました。


(……体が、慣れてきてる)


評価が下がり、

《収納》の補助が弱まった今。


無理をすれば、

すぐに疲れる。


それでも――

昨日より、動ける。


ギルド。


相変わらず、

高難度依頼は表示されない。


レオンは、

黙って一枚の依頼書を取る。


《依頼》


内容:街道の巡回

危険度:C

備考:人手不足


「……レオン?」


周囲の冒険者が、

意外そうに声を上げる。


「そんな依頼、

 受けるのか?」


「今のお前なら、

 もっと――」


言葉が、途切れる。


“もっと”の先が、

言えないのだ。


街道。


魔獣は、

弱い。


数も、少ない。


だが――

油断できない。


《収納》が、

以前ほど先読みしない。


(……自分で考えろ、ってか)


遭遇。


小型魔獣・三体。


以前なら、

一瞬。


だが今は――

一呼吸置く。


間合い。

風向き。

足場。


(……来い)


戦闘。


派手さは、ない。


一撃一撃が、

重い。


避け損ね、

かすり傷を負う。


だが――

倒す。


確実に。


《評価更新》


戦闘評価:低

社会的影響:なし

総合評価:変動なし


(……上がらないな)


レオンは、

剣を拭いながら思う。


だが。


(前より、

 ちゃんと戦ってる)


昼。


街道脇で、

小さな馬車が立ち往生していた。


御者は、

震えている。


「魔獣が……

 近くにいるらしくて……」


本来なら、

ギルド経由の案件。


だが――

誰も来ない。


レオンは、

少し迷ってから言った。


「……見てきます」


評価は、

変わらない。


報告も、

されない。


それでも――


魔獣は、

一体。


だが、

動きが鋭い。


(……前なら、

 補助で押し切れた)


今は、

無理だ。


時間をかける。


誘導し、

地形を使い、

隙を作る。


そして――

一撃。


魔獣は、倒れた。


《収納》が、

遅れて反応する。


《取得:

 戦闘経験(自律)

 判断速度(微)》


「……あ?」


レオンは、

思わず声を漏らす。


(評価、関係ない……?)


馬車の御者が、

深く頭を下げる。


「ありがとうございます……!」


その感謝は、

ギルドに記録されない。


数値にも、

ならない。


だが――

確かに、あった。


夜。


宿に戻り、

レオンは身体を休める。


疲労は、

強い。


だが。


《収納》が、

新しい表示を出していた。


《取得条件:

 自己判断による戦闘

 外部評価:不要》


《成長進行中》


「……そうか」


レオンは、

小さく息を吐いた。


(評価がなくても、

 成長は“ゼロ”じゃない)


(遅い。

 地味だ。

 効率も悪い)


(でも――)


剣を握る。


(これは……

 俺の力だ)


遠く。


管理者側のモニターが、

微かに揺れる。


《想定外成長ルート:確認》


《外部評価非依存》


「……まずいな」


誰かが、呟く。


「彼は――

 観測なしでも進む」


その夜。


レオンは、

眠りにつく前、思った。


(評価を捨てても、

 全部失うわけじゃない)


(ただ――

 “速さ”を捨てただけだ)


追放された最弱は、

気づき始めていた。


評価がある道は、近道


評価がない道は、遠回り


だが。


遠回りでも、

 確かに“前に進んでいる”。


そしてそれは、

世界にとって――

最も厄介な事実だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ