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父の遺産を返しに行く話

作者: 神崎玄

父の遺産整理をしていた時の話です。

ちょっとやっかいな本が出てきました。

 父が亡くなったのち途方に暮れたのが、残された大量の本と紙の類でした。

 大学教授だった父は、大量の本と紙ごみを残していきました。

 紙ごみで困ったのが試験の答案、そして成績表。

 定年退官の前には、小学生の自分も手伝って大学の焼却炉で山のような答案を燃やした物です。が。それ以外に、家に持ち帰っていた物が山ほどあったのです。その中には、今ではノーベル賞受賞者となった方の物もあり、ちょっとリサイクルには出せない物ばかりでした。

 ……夜中に焼却しましたよ。


 さて、遺品を整理していると、中に大学の蔵書票がついた物が三冊ばかり出てきました。

 いわゆる借りパクですね。

 ひょっとしたら、貸し出し記録のないまま持ち出した物かもしれません。

 母がパニックになったので、自分が返してくると言って大学に持って行きました。

 ただ、蔵書票の形式も違って、持ち帰ったのははるか昔のことのようです。

 紛失扱いで除籍されてしまった本かもしれません。

 かといって図書室に持って行けば、どこの誰それと名乗らねばならないでしょう。父の名誉に傷がつきます。

 仕方ないので、大教室の机の中に入れて帰りました。

 親切な学生さんが忘れ物として届け出てくれることに期待しつつ。

 届けられた図書室ではさぞや困惑していたことだろうと思います。


 もう時効ですよね。

 私がやりました。



え?

どんな本だったかって?

それが書けるようならやっかいな本じゃないですヨ。

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